結論
コンフィデンス・インターワークスは、ゲーム・エンターテインメント業界の人材派遣を出発点に、人材紹介と製造業向け求人サイト「工場ワークス」を加えた会社である。筆者の結論は「やや割高」だ。2026年3月期の売上高は約100億円、営業利益は約13億円に達したが、売上の伸びほど本業の稼ぐ力は伸びていない。
最大の強みは、ゲーム業界の主要企業との広い取引網と、人材を採用して高い稼働率で送り出す運営力にある。製造業の求人広告でも、長く運営してきた専門サイトと顧客基盤を持つ。しかし、これらは顧客が他社へ移れないほどの独占的な仕組みではない。ゲーム制作、品質検証、求人の照合、採用事務の多くがAIエージェントによって省力化されれば、顧客が買う人月や仲介件数そのものが減りうる。
財務には大きな救いがある。2026年3月期末の純現金は約44億円で、現在の時価総額約93億円の半分近くに相当する。一方、2026年10月に取得したゲーム開発会社flaggsには赤字と債務超過の実績がある。手元資金の厚さを、すべて株主が自由に受け取れる価値とみなすことはできない。
10年後の中立では、営業利益が約8億円、純利益が約5億円となる。会社が消える筋書きではないが、名目価格の上昇でもAIによる実質仕事量の縮小を補い切れない。5つの筋書きを資本コスト7.75%で現在に割り引き、期間中の株主還元も含めた本質価値は約70億円と見積もる。現在の時価総額を約25%下回る。株価が不合理なほど高いとは言わないが、長く持つための十分な安全域は見つからない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、まず確認すべきは10年後も同じ顧客から繰り返し利益を得られるかである。ゲーム会社と人材会社の関係は、一度きりの取引ではない。人材の能力を理解し、継続して配置する仕組みには価値がある。工場ワークスにも、求人企業と求職者が集まり続ければ再現しにくい利点が生まれる。ただし、それだけで将来の料金を自由に引き上げられるとは言えない。
同社のオーナー利益を考える際は、帳簿上の純利益から、人材採用と教育、媒体の集客、システム更新、買収による事業維持に必要なお金を考えなければならない。固定資産が軽い点は魅力だが、人材の定着と新規顧客の開拓には継続的な費用がかかる。特にAIによって顧客の仕事が減る場合、同じ売上を守るために再投資しても十分な利回りを得られない可能性がある。
優れた資本配分とは、売上規模を増やすことではなく、投じた資金以上の価値を作ることである。純現金の厚さは安心材料だが、赤字の買収先を増やしてしまえばその価値は薄まる。flaggsで取得した開発技術が受注や利益に結びつくかを、慎重に見極めたい。AIを使って制作費を減らせるという説明だけでは、株主が受け取る利益の増加までは証明されない。
中立の筋書きで10年後の純利益は約5億円にとどまり、自己資本は増えても収益率は低下する。高い利益率が続く求人広告は一定の支えになるが、全社の人月売上を守るほどの規模ではない。筆者が所有者なら、買収を含む成長投資の利回りと、配当を払い続けられる利益の質を優先して見る。現在の値段には、事業の不確実性を引き受けるだけの安全域が不足している。
何で稼ぐ会社か
収益の中心はゲーム・エンターテインメント業界向けの人材派遣・受託である。企画、開発、デザイン、品質検証、運営などに必要な人材を顧客企業へ送り、稼働人数と請求単価に応じて売上が生まれる。2026年3月期の売上高は約69億円で、全体の約7割を占めた。年度末の稼働人数は1,072人、直近四半期の派遣稼働率は99.4%だった。ただし、稼働人数の増加にはレッツアイやBRAISEグループの連結効果が含まれる。
人材紹介はミドル・ハイクラスの転職支援が中心だ。専任コンサルタントが求人企業と候補者の双方を担当し、採用が成立した時点で紹介手数料を得る。売上高は約15億円、セグメント利益率は3割を超える。2026年3月期の平均コンサルタント数は68人で、成約件数は減少傾向にある。人数を多く抱えなくても稼げる事業だが、AIによる候補者検索や直接採用が進むと、仲介する理由を一件ずつ問われる。
メディア・ソリューション事業では、製造業の求人広告サイト「工場ワークス」が柱だ。直近四半期の取引顧客数は891社、平均求人掲載数は19,463件だった。求人広告・紹介の売上は約13億円、採用支援などは約3億円である。自社媒体は、単なる人月販売と異なり、求人企業と求職者が集まるほど使いやすくなる余地がある。ただし、応募者がIndeedや求人ボックス、検索エンジンのAI機能を利用すれば、専門サイトを経由する価値は低下する。
2023年には旧インターワークスとの統合で製造業の採用市場へ広がった。その後はプロタゴニスト、レッツアイ、BRAISEグループなどを加え、2026年10月にはflaggsの70%を取得した。ゲーム開発の受託能力と独自技術を取り込む狙いだが、従来の人材仲介から制作そのものへ事業リスクを広げる転換でもある。
優良さと弱いところ
競争力の核は、特定業界に絞った顧客開拓と人材供給の運営にある。会社はゲーム業界の主要企業の約9割と取引関係があるとしており、採用候補者の技能情報と顧客の開発現場への理解を蓄積してきた。取引先の部署ごとに必要な人材が異なるため、実際の就業経験や担当者との関係は新規参入企業に対する障壁となる。ただし、「主要企業の9割と取引」は売上シェア9割を意味しない。価格を独占的に決められる証拠でもない。
稼働率がほぼ100%に近いことは、採用した人材を遊ばせずに配置する能力の証拠だ。派遣料金の交渉でも専門性や長期就業は有利に働く。しかし、顧客が減らすのは人材会社のシェアとは限らない。ゲームの検証工程をAIで自動化し、必要な人員自体を減らすことができる。業界内で高い地位を保っても、市場の仕事量が縮めば成長しない。
工場ワークスの強みは、製造職に絞った求人と長年の運営である。2023年3月期第1四半期を100とする顧客単価指数は、2026年3月期末に116だった。この実績は一定の販売単価改善を示すものの、物価を超えた恒常的な値上げ力を証明するほどではない。年5%未満の解約率、年単位の移行負担、法令上不可欠な記録基盤といった証拠も確認できない。したがって、独自データを持つというだけで強い堀とは判定しない。
財務は優良だ。純現金44億円、自己資本比率約80%は景気後退への耐久力を高める。ただし、かつての高いROEには小さかった自己資本と事業統合前の構造が影響する。2026年3月期のROEは約13%まで低下した。今後の資本効率は、買収先を含む現実の利益成長と、余った資本をどれだけ適切に株主へ返すかで判断すべきだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ゲーム関連人材には二つの相反する力が働く。高品質な作品を作るための人材需要は残るが、制作費が膨らむほど顧客は省力化を急ぐ。2025年の国内家庭用ゲーム市場は約4,181億円と前年から大きく増えた一方、国内モバイルゲーム市場は約1兆6,634億円で前年比3.8%減少した。ゲーム市場の売上が増えることと、開発者・検証者の人月が増えることは同じではない。
会社の2026年3月期の説明でも、既存ゲーム会社向け派遣は軟調だった。人材派遣の稼働人数は買収した会社の寄与で1,072人となったが、既存分の伸び悩みが指摘されている。2027年3月期第1四半期も、グループ売上高が増加する一方で営業利益は前年同期比約36%減少した。このため、直近の連結増収率をそのまま10年先の数量成長率として使うべきではない。
ゲーム・クリエイター派遣には、クリーク・アンド・リバー社やIMAGICA GEEQを含む専門会社、ゲーム会社の直接採用、フリーランスの仲介が競合する。人材紹介ではリクルート、JACリクルートメント、ビズリーチなどが候補者の獲得を競う。製造業向け求人広告ではIndeed、求人ボックス、スタンバイ、派遣会社の自社採用サイトとの競争がある。各市場の分母と同社の対象売上を揃えた公的な市場シェアは確認できないため、具体的なシェア率は断定しない。
市場規模の物差しも分ける必要がある。人材紹介・派遣・求人広告を合わせた国内人材サービス市場は約10兆円規模という広い推定があるが、これは同社が直接争うゲーム人材市場ではない。全国求人情報協会の2026年8月の求人広告掲載件数は約275万件であり、工場ワークスの約1.9万件はその一部分にすぎない。ただし、集計対象や重複掲載の扱いが違うので、この比を正式なシェアとはしない。
10年先には、顧客企業が必要とする仕事内容が変わる。人間による作品の判断、現場との調整、高度な制作統括は残るが、初級の制作・検証・照合作業は大きく減りうる。人手不足を理由に人材関連の数量を一律に増やす見方は採らない。製造業の採用市場も、求人数が多いことと広告媒体の手数料を維持できることは別問題である。
資本政策と M&A
資本配分では、配当の実績と買収の収益性を分けて評価する。会社は継続的な配当を基本方針とし、将来的に配当性向30%超、自己資本配当率DOE10%超を目指している。2026年3月期の配当性向は58.4%、DOEは7.7%だった。2027年3月期の会社資料ではDOE8.9%を見込み、連続増配の姿勢を示している。利益が伸びないままDOE10%を維持すれば、自己資本を取り崩すか、将来の成長投資を抑えることになる。
事業計画では、プライム市場への移行を見据えて売上高200億円、営業利益30億円、営業利益率15%を目指す。買収では、原則としてのれん負けを避け、EBITDA倍率と買収価格を精査すると説明している。財務上は自己資本比率50%以上、のれん対自己資本倍率1倍以下を管理の目安とする。目標は明確だが、200億円という売上高は既存事業の実質需要が増える保証にはならない。
旧インターワークスとの統合後、プロタゴニスト、レッツアイ、BRAISEグループを取り込み、2026年10月にはflaggsの70%を取得した。flaggsの2025年9月期は売上高約2.9億円、営業損失約1.1億円、純資産は約マイナス4.0億円だった。取得価額は非公表だが、会社は直前期末純資産の15%未満としている。ゲーム開発力の獲得には意味がある一方、赤字と債務超過を引き受けた判断の成果はまだ示されていない。
中立の10年間では、純利益の累計約67億円のうち46億円を配当・自社株買いで還元すると見込む。利益の縮小が続く場合は還元も減らす。買収に使った現金と、既存株主に払い戻せる現金を同時に数えることはしない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ゲーム業界に特化して積み上げた顧客網は、一般的な人材派遣会社が簡単にまねできるものではない。主要ゲーム企業の多くと接点を持ち、クリエイターの能力を把握し、ほぼ全員を稼働させる運営力は既に実績で示されている。ゲーム制作では、AIが普及しても企画、監修、品質の最終判断、開発チームの調整といった人間の役割は残る。高度な人材へ提供内容を切り替えられれば、従来の派遣人数を守りながら単価を改善できる。
工場ワークスにも独立した価値がある。製造業の求人に絞った媒体は、一般的な求人サービスより求職者の目的が明確であり、採用企業にとっても使い分ける理由がある。掲載企業と求人件数の蓄積に加え、広告の掲載だけでなく応募者対応まで提供することで、顧客の採用効率を改善できる。求人広告の単価指数が実際に改善してきたことは、専門媒体の競争力を示す一つの材料だ。
2023年の統合以降、会社はゲーム業界だけに依存しない収益構造を築いてきた。人材紹介とメディアのセグメント利益率は3割を超え、事業構成の改善余地も大きい。flaggsの独自技術やゲーム開発の経験がグループの顧客網と結びつけば、完成した作品を提供する事業へ進める可能性もある。純現金44億円と明確な株主還元方針を持つため、需要の停滞を乗り切る財務余力もある。ゲーム人材の高度化と製造業求人サイトの維持が同時に実現すれば、今より高い企業価値を獲得できる。
慎重な見方
同社の最大の問題は、顧客との関係が強くても顧客の必要人員そのものは守れないことである。ゲーム制作の初級作業、品質検証、映像制作、候補者の検索、採用業務の事務処理は、AIエージェントによる置き換えが進みやすい。これまで高い稼働率を実現してきたことは過去の運営能力を示すが、10年後も同じ人数に仕事があるという証明にはならない。人数の減少が進むと、単価が物価並みに上昇しても売上と利益は細る。
人材紹介も構造変化から逃れられない。求人企業はAIを使って候補者を発見し、直接接触できるようになる。求人情報の掲載、応募者の照合、面談日程の調整に払われる手数料には値下げ圧力がかかる。工場ワークスについても、検索エンジンや大手求人サイトのAIが直接候補者を案内すれば、独立した求人サイトに集客するコストが上がる。情報を蓄積しているだけでは、そのデータを競合に対して恒久的に独占できない。
直近の数字にも警戒すべき兆候がある。2026年3月期は連結売上高が増えた一方、営業利益は減った。人材紹介の成約件数も低下し、2027年3月期第1四半期には増収ながら営業利益が大きく落ち込んだ。買収で増えた売上と既存事業の実力を混同すると、将来の利益を過大評価する。さらに、flaggsは3期連続の営業赤字と債務超過を抱えていた。赤字の開発会社に資金と経営資源を注ぎ込み続ければ、現在の純現金も減る。売上規模が目標に近づいても、少数株主が受け取る価値は増えない可能性がある。
どちらに重みを置いたか
顧客網、稼働率、専門求人媒体の実績は高く評価する。しかし、価格決定力と事業の寿命を比べると、慎重な見方がやや優勢だ。特に既存ゲーム人材の伸び悩み、買収による増収と利益の乖離、flaggsの赤字実績は同社固有の懸念である。AIによる縮小は中立の数量と長期成長率に既に反映し、悲観確率でも同じ理由を二重に数えない。楽観側28%、悲観側38%、中立34%とし、直近の実行リスクの分だけ下側を厚くした。厚い純現金のおかげで致命的な損失にはなりにくいが、今の時価総額に対する本質価値は約25%低いと判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,552 円97 億円(+ 還元の換算額還元の合計 672 円42 億円)。 今の値に割り戻すと 1,198 円75 億円、今との差 −16.4%、 期待の年率 +5.4%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 3,084 円193 億円 | 1,152 円72 億円 | +195.6% | +14.0% | 381 円24 億円 |
| やや楽観 | 19% | 2,380 円149 億円 | 960 円60 億円 | +133.1% | +10.8% | 635 円40 億円 |
| 中立 | 34% | 1,488 円93 億円 | 736 円46 億円 | +55.2% | +5.5% | 756 円47 億円 |
| やや悲観 | 24% | 931 円58 億円 | 464 円29 億円 | −2.7% | −0.3% | 335 円21 億円 |
| 悲観 | 14% | 661 円41 億円 | 176 円11 億円 | −41.6% | −5.8% | 117 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,552 円97 億円 | 672 円42 億円 | +55.2% | +5.4% | 2,224 円139 億円 |
今の株価時価総額 1,433 円90 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 高度人材と専門求人媒体の強みが残る 利益 13 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,084 円193 億円
ゲーム会社が開発の高度化を進める中、同社は企画統括、高度な品質判断、顧客と開発チームの調整を担える人材を確保する。AIが単純な検証や制作を減らしても、提供する人材の専門性を引き上げることで稼働人数の減少を防ぐ。派遣・受託の数量は現在と同程度を維持し、専門性の高い仕事への移行によって物価相当の単価上昇を実現する。
人材紹介では、直接採用とAI照合の普及に対し、企業の経営課題を理解する高難度の紹介へ重点を移す。工場ワークスは製造職の採用成果を改善し、求人企業から選ばれる媒体であり続ける。検索経由の流入減少をSNSや既存利用者の再訪で補い、広告顧客を維持する。
flaggsは開発受託の採算を改善し、既存顧客との共同開発で赤字を解消する。大型の買収を乱発せず、増えた利益の相当部分を配当と自社株買いへ回す。企業全体の営業利益率は2026年3月期を上回り、過去に実現した高収益の水準に近づく。ただし、AI関連商品の売上実績が十分に確認できないため、AIによって人月需要が増えるという楽観は織り込まない。
- ゲーム・エンタメ人材派遣・受託:数量 1,007(年度平均稼働人員数・人。派遣、業務委託、受託を含む開示KPIから算定)× 価格 0.09(年度平均稼働人員1人当たり年間売上・億円。受託売上を含む平均値)→ 売上 93 億円・営業利益 19 億円。AI代替後も高度人材への構成転換で稼働人数を維持。実質数量1.00倍、価格1.34倍。
- ミドル・ハイクラス人材紹介:数量 544(年間紹介成約件数・件。非開示のためコンサルタント数から推定)× 価格 0.04(成約1件当たり平均紹介手数料・億円)→ 売上 20 億円・営業利益 7 億円。高難度求人へ特化し成約件数を維持。数量1.00倍、単価1.34倍。
- 工場ワークスの求人広告・紹介:数量 891(有料取引顧客数相当・社。直近四半期の顧客数を年度売上の代表数量とする)× 価格 0.02(取引顧客1社当たり年間求人広告・紹介売上・億円)→ 売上 17 億円・営業利益 7 億円。工場ワークスの有料顧客を維持。広告価格は物価相当の上昇。
- 採用業務代行・メディア関連受託:数量 300(業務量を換算した年間請求人月・人月。非開示のため推定)× 価格 0.01(請求人月当たり平均売上・億円)→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。高度な採用支援へ移行し、人月数量の維持と採算改善に成功。
倍率:資本コストk=7.75%、AIエージェント代替を反映した10年後以降の名目g=0%。余剰現金20億円を除いた事業純利益は12.92億円、事業自己資本は76.6億円で事業ROEは約16.9%。普通の堀として超過ROEの半分が残るRONICを用いるが、g=0%なので正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)=1/k=12.9032倍となる。事業純利益12.92億円×12.9032倍に余剰現金20億円×戻り方0.75を加える。市場の過去PERは根拠にしない。
確率:ゲーム人材の既存顧客関係が維持され、工場ワークスの集客力も保たれ、flaggsの赤字を解消する複数の成功が必要である。AI導入だけを理由とする仕事量の増加は認めず、人月数量は今以下とするため、確率を9%に限る。
やや楽観 19% 仕事量の減少を専門化と単価改善で補う 利益 10 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,380 円149 億円
ゲーム会社の制作体制はAIを前提に変わるが、同社は人間が必要な品質判断や制作統括の仕事を獲得する。派遣・受託の稼働人数は現在の9割弱まで減るものの、残る仕事の専門性が高まり、契約単価は物価に近い速度で上昇する。既存のゲーム会社だけに頼らず、映像制作やWeb領域への展開も一定の成果を上げる。
人材紹介はAIによる候補者検索の効率化を受け、低付加価値の案件を減らす。コンサルタントを大量に増やさず、難しい求人への対応に注力して利益率を保つ。工場ワークスは広告主の一部を失うが、製造職に特化した蓄積データと応募者対応の仕組みによって、競合サイトへの流出をある程度抑える。
flaggsの再建は緩やかに進み、ゲーム制作受託で大きな利益を生むほどではないが、深刻な資金流出は回避する。買収の相乗効果を過度に見込まなくても、既存事業の高いセグメント採算と管理費の抑制が利益を支える。配当は利益の伸びに合わせて増えるが、事業の実質数量が減る以上、かつてのような高成長企業には戻らない。
- ゲーム・エンタメ人材派遣・受託:数量 886(年度平均稼働人員数・人。派遣、業務委託、受託を含む開示KPIから算定)× 価格 0.09(年度平均稼働人員1人当たり年間売上・億円。受託売上を含む平均値)→ 売上 81 億円・営業利益 15 億円。人月数量0.88倍、請求単価1.32倍。
- ミドル・ハイクラス人材紹介:数量 473(年間紹介成約件数・件。非開示のためコンサルタント数から推定)× 価格 0.04(成約1件当たり平均紹介手数料・億円)→ 売上 17 億円・営業利益 6 億円。成約件数0.87倍、紹介手数料1.30倍。
- 工場ワークスの求人広告・紹介:数量 855(有料取引顧客数相当・社。直近四半期の顧客数を年度売上の代表数量とする)× 価格 0.02(取引顧客1社当たり年間求人広告・紹介売上・億円)→ 売上 15 億円・営業利益 6 億円。有料顧客数0.96倍、広告単価1.28倍。
- 採用業務代行・メディア関連受託:数量 264(業務量を換算した年間請求人月・人月。非開示のため推定)× 価格 0.01(請求人月当たり平均売上・億円)→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。人月0.88倍、単価1.24倍。
倍率:k=7.75%、g_long=0%を使用。余剰現金の税後利息0.28億円を外した事業純利益9.42億円と、余剰現金を除く事業自己資本72.6億円から、事業ROEは約13.0%。普通の堀で超過ROEの半分が残るとしてもgが0%なので正当化PERは1÷0.0775=12.9032倍。事業純利益×正当化PERと、現金20億円×戻り方0.75を加える。
確率:既存のゲーム会社との関係と製造業の求人顧客が残る可能性を評価する。ただし、AIによる単純作業の減少は避けられないと考え、楽観側でも人月・成約数量を現在以下にする。
中立 34% 専門性は残るが、人月と仲介件数が構造的に縮む 利益 5 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,488 円93 億円
ゲーム業界では新作開発が続くが、同じ規模の作品を作るために必要な人間の作業時間は減る。制作工程の検証、デザインの補助、プログラムの定型作業がAIエージェントへ移り、顧客は人員の採用より成果物と生産性を重視する。同社は主要顧客との関係を守るが、稼働人数は現在の約7割に縮小する。単価は賃金と物価を反映して上がるものの、仕事量の減少を完全には補えない。
人材紹介は企業の直接採用とAI照合が普及するため、成立件数が減る。残った案件は専門性が高く、紹介手数料の名目水準は維持できるが、全体の売上は縮む。工場ワークスは製造職に特化した媒体として残る一方、検索経由の求職者流入が減る。広告主をつなぎ止めるため、値上げも物価を下回る。
管理部門は会社分割や既存子会社との統合によって効率化を進めるが、人材採用、研修、集客、IT基盤の費用は残る。flaggsの再建は大きな成功を収めず、将来の開発投資も慎重になる。株主還元は継続するが、DOE10%という目標の達成より、利益と現金の維持を優先する。10年後も事業は続くものの、稼ぐ力は現在より細くなる。
- ゲーム・エンタメ人材派遣・受託:数量 715(年度平均稼働人員数・人。派遣、業務委託、受託を含む開示KPIから算定)× 価格 0.09(年度平均稼働人員1人当たり年間売上・億円。受託売上を含む平均値)→ 売上 64 億円・営業利益 11 億円。人月・工数型の数量0.71倍、名目価格1.29倍。物価上昇を数量に含めない。
- ミドル・ハイクラス人材紹介:数量 359(年間紹介成約件数・件。非開示のためコンサルタント数から推定)× 価格 0.03(成約1件当たり平均紹介手数料・億円)→ 売上 12 億円・営業利益 4 億円。紹介成立件数0.66倍、平均手数料1.20倍。
- 工場ワークスの求人広告・紹介:数量 766(有料取引顧客数相当・社。直近四半期の顧客数を年度売上の代表数量とする)× 価格 0.02(取引顧客1社当たり年間求人広告・紹介売上・億円)→ 売上 13 億円・営業利益 5 億円。自社媒体の取引顧客0.86倍、価格1.20倍。検索AIと大手媒体の競争を考慮。
- 採用業務代行・メディア関連受託:数量 198(業務量を換算した年間請求人月・人月。非開示のため推定)× 価格 0.01(請求人月当たり平均売上・億円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。採用事務の人月0.66倍、請求単価1.22倍。
倍率:k=7.75%、10年後以降の名目g=0%。余剰現金20億円の税後利息0.28億円を除いた事業純利益は5.12億円、事業自己資本は63.6億円でROEは約8.05%。普通の堀としてRONIC=k+0.5×(ROE-k)を用いる。g=0%なので、正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)=12.9032倍。上限そのものを採用し、追加で恣意的に割り引かない。事業純利益5.12億円に倍率を掛け、余剰現金20億円の75%を加算する。
確率:ゲーム業界の人材需要が全て消えるとは考えないが、品質検証・初級制作・採用照合の自動化で仕事量が減る。2026年の既存事業の軟調さを出発点とし、派遣・紹介・採用受託の数量をAI代替基準の0.55~0.75倍に収めた中心シナリオとする。
やや悲観 24% 既存顧客の発注が減り、買収後の固定費が重くなる 利益 2 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 931 円58 億円
ゲーム会社の開発案件が減り、残る案件も大手の内製化と専門会社への直接発注が進む。同社は主要企業との取引関係を失わないが、受注量を以前の水準まで戻せない。稼働人数は現在の約6割まで下がり、顧客に転嫁できる料金上昇も物価を下回る。高い稼働率を維持するための人材採用調整と固定費削減が追いつかず、派遣・受託の利益率も低下する。
人材紹介は候補者への直接接触と大手サービスへの集中によって成約件数が半減する。残る仕事は難易度が高いが、コンサルタントの採用と育成に必要な固定費を十分に回収できない。工場ワークスでは大手求人媒体の集客力が強まり、顧客数が減る。既存の専門求人サイトとしての存在価値は保つものの、成約成果を求める広告主に対し、手数料を引き上げることが難しくなる。
flaggsの業績改善には時間がかかり、一部の開発案件の採算が悪化する。グループは大幅な事業拡大を諦め、資金流出を抑えながら規模を縮小する。配当は減額されるが、手元資金と収益が残るため経営危機には至らない。事業の稼ぐ力より、のれんを除いた資産の回収可能価値が企業価値を支える状態となる。
- ゲーム・エンタメ人材派遣・受託:数量 594(年度平均稼働人員数・人。派遣、業務委託、受託を含む開示KPIから算定)× 価格 0.08(年度平均稼働人員1人当たり年間売上・億円。受託売上を含む平均値)→ 売上 49 億円・営業利益 7 億円。数量0.59倍、単価1.20倍。発注低迷と固定費負担で利益率低下。
- ミドル・ハイクラス人材紹介:数量 272(年間紹介成約件数・件。非開示のためコンサルタント数から推定)× 価格 0.03(成約1件当たり平均紹介手数料・億円)→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。紹介件数0.50倍、単価1.10倍。
- 工場ワークスの求人広告・紹介:数量 624(有料取引顧客数相当・社。直近四半期の顧客数を年度売上の代表数量とする)× 価格 0.02(取引顧客1社当たり年間求人広告・紹介売上・億円)→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。有料顧客数0.70倍、広告単価1.10倍。
- 採用業務代行・メディア関連受託:数量 156(業務量を換算した年間請求人月・人月。非開示のため推定)× 価格 0.01(請求人月当たり平均売上・億円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人月0.52倍、単価1.08倍。案件数の減少で採算悪化。
倍率:ROEは約2.15%でk=7.75%を大幅に下回るため、利益の持続成長価値は認めない。稼ぐ力の上限は純利益1.8億円から余剰現金の税後利息を除いた部分÷kと戻せる現金を合計しても約40億円に届かない。これに対し2026年3月期末の自己資本62.6億円からのれん約15.7億円を除く実体資産価値は約46.9億円であり、回収可能資産の床を優先する。PBRは10年後の積み上がった自己資本ではなく、現在の自己資本62.6億円に対する0.75倍。
確率:AI代替そのものは中立数量に織り込み済み。この筋書きでは、ゲーム会社の発注低迷、紹介人員の生産性悪化、flaggs再建の遅れという同社固有の追加要因を重視する。
悲観 14% 人月型の競争力が崩れ、買収損失と撤退費用が発生 利益 −5 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 661 円41 億円
ゲーム開発の作業分担が大きく変わり、同社の派遣・受託は従来の案件数を保てなくなる。AIによる作業の自動化だけでなく、ゲーム会社自身の再編と内製化が重なり、顧客企業が外部人材の調達枠を大幅に削る。稼働人数は現在の4割程度に落ち、残る仕事も価格競争が激しくなる。採用済み人材の配置転換、契約終了、教育体制の縮小には費用がかかり、派遣部門の収益力は失われる。
人材紹介はAIを用いた直接採用と大手サービスへの集中によって、成約件数が現在の約3割まで減る。高付加価値の案件だけでは既存の営業体制を維持できない。工場ワークスも大手媒体と採用AIへの移行が進み、求職者を集めるための広告費に対して顧客から受け取る料金が不足する。自社媒体は残るが、成長事業ではなくなる。
flaggsを含む子会社の再建が失敗し、開発受託の損失やのれんの減損が生じる。経営陣は買収の継続を諦め、不採算事業の縮小と資産回収を優先する。2026年3月期末の純現金の一部は買収代金、運転資金、撤退費用で失われる。少数株主にすべての現金が直ちに返ることも期待しない。この筋書きでは利益の永久成長価値を認めず、のれんを除いた資産の売却可能額が企業価値の中心となる。
- ゲーム・エンタメ人材派遣・受託:数量 403(年度平均稼働人員数・人。派遣、業務委託、受託を含む開示KPIから算定)× 価格 0.07(年度平均稼働人員1人当たり年間売上・億円。受託売上を含む平均値)→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。数量0.40倍、単価1.03倍。受注縮小と再配置費用により低採算。
- ミドル・ハイクラス人材紹介:数量 169(年間紹介成約件数・件。非開示のためコンサルタント数から推定)× 価格 0.03(成約1件当たり平均紹介手数料・億円)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。成約件数0.31倍、平均手数料0.95倍。
- 工場ワークスの求人広告・紹介:数量 383(有料取引顧客数相当・社。直近四半期の顧客数を年度売上の代表数量とする)× 価格 0.01(取引顧客1社当たり年間求人広告・紹介売上・億円)→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。有料顧客数0.43倍、広告単価0.92倍。
- 採用業務代行・メディア関連受託:数量 105(業務量を換算した年間請求人月・人月。非開示のため推定)× 価格 0.01(請求人月当たり平均売上・億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月0.35倍、単価0.95倍。採用体制の維持費を回収できない。
倍率:継続的な営業赤字と純損失を想定するためPERを使わない。基準は積み上がった2036年の自己資本ではなく、2026年3月期末の自己資本62.6億円。既存のれん約15.7億円の回収価値を認めず、買収先の損失、買収代金の現金流出、撤退費用を見込んで売却可能資産を約41億円とする。現在の自己資本に対する0.66倍を資産回収価値の近似とする。
確率:ゲーム制作・検証・採用支援の構造変化に加え、既存ゲーム顧客の発注減少、専門媒体の集客力低下、赤字買収先の再建失敗が重なるケースである。倒産ではなく、縮小と資産毀損を伴う事業再編を想定する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ゲーム・エンタメ人材派遣・受託
ゲームの開発、企画、品質検証、映像制作などに人材を派遣し、または仕事を受託する。AI代替の型は主に「人月・工数で売る」で、実際の撮影など人間の現場対応は比較的残りやすい。
| 数量年度平均稼働人員数・人。派遣、業務委託、受託を含む開示KPIから算定 | 価格年度平均稼働人員1人当たり年間売上・億円。受託売上を含む平均値 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,007 | 0.07 | 69 | 12 |
| 10 年後 中立 | 715 | 0.09 | 64 | 11 |
取り方:2026年3月期の派遣・受託セグメント売上69.38億円は有価証券報告書に基づく。四半期末稼働人員は893、1009、1053、1072人であり、4点の単純平均1006.75人を年度の平均稼働人員の近似値とした。69.38億円÷1007人で1人当たり年約689万円。実際には受託制作や買収子会社の売上も含むので、純粋な派遣単価ではなくセグメントの混合単価である。ゲーム業界主要企業の約9割との取引は顧客接点の広さを表すが、収益シェアを表す数字ではない。中立の数量はAIエージェント代替の人月型の範囲に従い今の0.71倍とする。
ミドル・ハイクラス人材紹介
企業と求職者を両面型のコンサルタントが仲介し、採用成立時に紹介料を得る。候補者の調査・照合と採用事務はAI代替の影響を受ける。
| 数量年間紹介成約件数・件。非開示のためコンサルタント数から推定 | 価格成約1件当たり平均紹介手数料・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 544 | 0.03 | 15 | 5 |
| 10 年後 中立 | 359 | 0.03 | 12 | 4 |
取り方:有価証券報告書のセグメント売上14.82億円と会社の平均コンサルタント数68人を使用。絶対成約件数は非開示なので、コンサルタント1人当たり年間8件、全社544件を推計の出発点とした。売上をこの件数で割ると1件当たり約272万円となり、年収800万~900万円に紹介料率約30~35%を掛けた水準と概ね整合する。実際の成約数や手数料ではなく、数量と単価を分けるための仮定である。会社開示の2026年3月期第4四半期の成約件数指数は2023年3月期第1四半期を100として78に低下しており、成約件数を過大に成長させない。中立の数量は10年で0.66倍。
工場ワークスの求人広告・紹介
製造業の採用企業に求人掲載や応募獲得のサービスを売る。自社専門媒体であり、人月型よりネットワーク効果が残る可能性があるが、検索・求人仲介AIの脅威を受ける。
| 数量有料取引顧客数相当・社。直近四半期の顧客数を年度売上の代表数量とする | 価格取引顧客1社当たり年間求人広告・紹介売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 891 | 0.01 | 13 | 5 |
| 10 年後 中立 | 766 | 0.02 | 13 | 5 |
取り方:2026年3月期のメディア事業売上のうち「求人広告・紹介」は12.58億円と開示される。工場ワークスの第4四半期取引顧客数891社を数量の代理変数にすると、1社当たり年間約141万円になる。直近四半期の平均求人掲載数は19,463件で、顧客単価指数は2023年3月期第1四半期を100として116。広告を含む契約単位は多様なので、141万円は厳密な広告契約単価ではない。営業利益4.80億円は広告部分だけの開示がないため、メディア全体の利益5.42億円から採用支援分を分離した分析上の推計である。中立の有料顧客数は10年で0.86倍とし、検索AIによる流入減少を考慮する。
採用業務代行・メディア関連受託
顧客の採用事務や関連業務を委託で引き受ける。人の処理時間を売る部分はAIエージェントで置き換えられやすい。
| 数量業務量を換算した年間請求人月・人月。非開示のため推定 | 価格請求人月当たり平均売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 300 | 0.01 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 198 | 0.01 | 2 | 0 |
取り方:2026年3月期のメディア事業における「受託・その他」売上は会社資料で3.04億円、端数を含むセグメント合計との接続のため約3.05億円とした。実際の契約人月数は非開示である。請求単価を人月約102万円とする便宜的な仮定から年間300人月に分解したもので、開示された人数ではない。採用支援・その他の業務には単純な事務処理が含まれるため、中立の仕事量を10年で0.66倍とする。営業利益0.62億円はメディア全体の開示利益5.42億円から求人広告部分の推計利益4.80億円を引いた配賦推計であり、会社公表値ではない。
リスクと懸念
AIエージェント代替による人月需要の減少
ゲームの品質検証、制作補助、定型的な開発作業、候補者の検索、採用事務は、AIエージェントが人の作業時間を減らしやすい。顧客が少人数で同じ成果を得られるようになれば、同社の売上数量である稼働人数と紹介成約件数が縮小する。これまでの増収率を延長せず、中立の派遣数量を10年で0.71倍、紹介成約を0.66倍、採用受託人月を0.66倍とした。10年より先の名目成長率にも0%を反映している。
ゲーム会社の制作投資と特定業界への依存
家庭用ゲーム市場の回復が、そのまま外部クリエイターへの発注増加を意味するわけではない。国内モバイルゲーム市場は2025年に前年比で縮小しており、開発費高騰と作品の選別が続く。大手顧客が開発拠点を統合したり、外注を減らしたりすれば、主要企業との幅広い取引関係を維持しても稼働人数は減る。買収による稼働人数の増加と既存事業の配属改善は区別する必要がある。
flaggs買収の損失と資本配分
2026年10月に取得したflaggsは、直近3期の営業利益がいずれも赤字で、2025年9月期末の純資産は約マイナス4億円だった。買収価格は非開示であり、ゲーム開発技術を取得したことがどれだけの追加利益を生むかも未確定である。開発受託の受注不足や継続的な資金援助が必要になれば、純現金と将来の株主還元が減る。赤字会社の再建を成功扱いしないことが重要だ。
求人媒体の集客と広告料金の競争
工場ワークスには製造業に特化した蓄積データと取引先があるが、Indeed、求人ボックス、スタンバイなどの大規模サービスや、AIを用いた直接応募の仕組みと競争する。検索画面から専門サイトへ移動せずに求人を比較・応募できるようになれば、利用者獲得費が上がり、広告主が支払う料金は下がる。専門媒体の長い運営実績は強みだが、解約率や切り替え費用の開示がないため、恒久的な価格決定力とはみなさない。
買収増収と既存事業の利益成長の乖離
2026年3月期は買収子会社の寄与で売上高が増えた一方、営業利益は前年を下回った。2027年3月期第1四半期にも増収と営業減益が同時に起きている。今後も新しい子会社を連結すれば、見かけの売上規模を増やせる。しかし、買収代金とのれん、管理費、人材採用費を含めた増分利益が資本コストを上回らなければ、株主価値は増えない。買収前からある既存事業の利益を別に追う必要がある。
人材規制、賃金上昇、固定費の硬直性
派遣契約では労働者派遣法、同一労働同一賃金、職業紹介では紹介事業の規制や個人情報の管理が事業運営の条件となる。賃金だけが上昇し、顧客への請求単価の転嫁が遅れれば利益率は下がる。加えて、稼働人員が減っても教育、営業、媒体開発、管理部門の費用を同じ速度では削減できない。悲観側では数量減少と固定費負担を営業利益率に反映した。
今後の分かれ目
- 買収の連結効果を除いた既存ゲーム人材の稼働人数が、複数四半期にわたり前年同期を上回ったら
- AIによる仕事量減少を抑える顧客需要が存在すると評価できる。高付加価値人材の構成比と請求単価も確認したうえで、中立の稼働人数を引き上げ、やや楽観側の確率を増やす。
- 派遣・受託の稼働人数が減る一方、請求単価とセグメント利益率がともに改善したら
- 単純な人月販売から高度な成果への転換が進んだ可能性がある。減少した人数を高い付加価値で補えているかを、売上と利益の絶対額で確かめる。売上総額が縮むなら、単価上昇だけで強い堀ができたとは判断しない。
- 工場ワークスの取引顧客数、求人掲載数、顧客単価がそろって増加し、解約率の低さも数字で開示されたら
- 自社媒体のネットワーク効果と値上げ力をより高く評価できる。AI代替の影響を受ける事務型の仕事とは分け、求人媒体部分の長期成長率と利益率を再検討する。
- flaggsの営業損益が黒字化し、取得価額と追加投資を含めた投資収益率が確認できたら
- 買収による資本毀損の懸念を減らせる。生成AIを使った制作効率化が実際の有償受注や利益につながった場合に限り、ゲーム開発の受託事業の上振れを反映する。
- 配当を維持する一方で、営業キャッシュフローが減り、買収資金によって純現金が継続的に減少したら
- 余剰現金の回収可能価値と株主還元の持続性を下方修正する。特にDOE目標のために資産を取り崩している場合は、配当実績を企業価値の増加と誤認しない。
- 人材紹介の成約件数指数が低下し続け、コンサルタント1人当たりの成約額も悪化したら
- 直接採用とAI照合による競争圧力が収益化に及んだ可能性が高い。紹介事業の数量と営業利益率を下げ、やや悲観・悲観の確率を高める。
見ておくもの
- ゲーム人材派遣・受託の稼働人数と買収子会社を除いた既存事業の増減
- 稼働率、平均請求単価、派遣・受託セグメント利益率
- 人材紹介のコンサルタント数、成約件数指数、成約単価指数
- 工場ワークスの取引顧客数、求人掲載数、顧客単価指数
- 工場ワークスの自然検索流入、応募数、顧客継続率に関する追加開示
- flaggsの営業損益、開発受託実績、追加資金負担、のれんの減損
- 買収による増収と既存事業の営業利益増減の差
- 純現金残高、年間配当総額、配当性向、DOE、自社株買いの実行額
- プライム移行に向けた売上高200億円・営業利益30億円の目標に対する利益率の進捗
- AIを自社の商品として販売した売上または受注額の開示
倍率と資本コストの決め方
基準株価1490円と株数6251463株から現在の時価総額は約93.15億円となる。ただし、この時価総額から逆算して将来の利益率や倍率を決めていない。2026年3月期のセグメント開示を基に、稼働人数、紹介成約推定件数、工場ワークスの取引顧客数、採用受託人月を分けた。中立の人月型数量はAI代替の0.55~0.75倍という範囲を守り、物価3%の影響は価格にだけ反映した。10年後の倍率は資本コスト7.75%とg_long=0%による正当化PER12.9032倍であり、市場の現在または過去のPERを使わない。悲観側はのれんを除いた回収可能資産を床とし、現金の二重計上を避けた。日本基準の新リース会計適用後も、比較する営業利益は従来と同様に賃借料負担を反映した経済的な形で読む。5シナリオの現在価値は約70.1億円、現在の時価総額との差は約マイナス24.7%となり、結論は「やや割高」である。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%を足した基本7.5%に、事業の質の調整+0.25%を加える。買収の失敗やAI代替を個別の資本コスト上乗せとしては扱わず、数量・利益率・確率に反映する。
同じ業種(サービス業)の AI 分析
読んだ資料
- コンフィデンス・インターワークス「事業計画及び成長可能性に関する事項」2026年6月17日。セグメント別KPI、稼働人数、紹介コンサルタント数、求人広告の内訳、中期目標、株主還元方針
- コンフィデンス・インターワークス 2026年3月期有価証券報告書。事業内容、セグメント損益、ゲーム市場、経営上のリスク
- コンフィデンス・インターワークス公式IR 2027年3月期第1四半期決算の解説。既存事業の動向、セグメント変更
- 2026年9月30日「株式会社flaggsの株式取得(連結子会社化)に関するお知らせ」。取得条件、過去3年の財務、生成AI活用
- 全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果」。求人媒体市場の数量に関する参考資料