結論
CLホールディングスは、キャラクターを使った販促キャンペーン、限定グッズの企画販売、テーマカフェの運営を手掛ける会社である。筆者の結論は「やや割高」だ。事業には独自の強みがあるが、その強みの多くは自社が保有する知的財産ではなく、版権元や大手流通企業との取引関係に支えられている。10年間にわたって利益を伸ばし続けるには、契約の更新と新しい人気作品の獲得を繰り返さなければならない。
同社の魅力は、商品を企画するだけでなく、コンビニエンスストアや外食チェーンの売り場まで商品を届けられるところにある。2024年末に販促会社CDGを完全子会社化し、企画から製造、販促、物販、体験型店舗までを一体で提供する体制を整えた。2025年には売上総利益率が改善し、2026年上期も増益となった。経営改革が実際の利益に結び付き始めたことは評価できる。
ただし、2025年の売上収益390億円に対する営業利益は14億円にとどまる。2021年には売上202億円で営業利益15億円を稼いでいた。売上規模はほぼ倍になったのに、株主に残る営業利益は増えていない。この事実は、買収と事業拡大による増収が、そのまま株主価値の増加を意味しないことを示している。
10年後の中立では、物販とテーマカフェの成長が販促業務のAI代替を補い、年間純利益は15億円程度になると考える。だが、版権費用、店舗運営費、借入金利の負担も残る。楽観から悲観までの加重価値は約114億円で、比較対象となる時価総額約136億円を約16%下回る。優良な事業の芽はあるものの、長期保有の安全域が十分とは言い難い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、CLホールディングスの価値を考える際に、売上の大きさよりも、事業を維持した後で株主に残る利益を重視する。商品の企画・製造や店舗の運営には運転資金が必要であり、在庫、内装投資、店舗更新、版権使用料を支払わなければ収益を維持できない。会計上の純利益が増えても、その大部分を新しい商品や買収へ再投資しなければならないなら、株主が自由に使えるお金は限られる。
同社には確かに強みがある。人気作品を商品化する能力、全国規模の流通先、テーマカフェの運営実績は、ゼロから参入する企業には簡単にそろえられない。特に、版権元、流通企業、消費者を同時に満足させる調整力には長年の経験が必要だ。現物商品の供給や飲食体験はAIの普及後も残るため、会社のすべてが技術によって消えるとは考えない。
しかし、真に強い堀を持つ企業なら、事業規模の拡大に伴って利益が継続的に積み上がり、投資した資本に十分な利益が返ってくるはずだ。CLホールディングスでは、2021年以降に売上が大きく伸びたにもかかわらず、営業利益率とROEが低下した。CDG統合後の改善が長期的な構造変化なのか、一時的な費用削減なのかは、まだ十分な時間を経ていない。
最大の不確実性は、10年後にどの作品が人気で、誰がその商品化権を持ち、どの流通企業が何を仕入れるかを予測しにくいことである。版権元が収益の大きい部分を取り、流通企業が価格交渉力を持つなら、中間に位置する同社の利益は薄くなる。ここに販促受託のAI代替が加われば、過去の売上成長率を将来へ延ばすことは危険だ。
筆者が長期株主として望むのは、CDG買収後の資本効率を数字で示し、採算の低い事業から撤退し、利益を配当や自社株買いに回せる経営である。今の時価総額に対しては、そうした改善をある程度織り込まなければ十分な価値が出ない。企業としての将来性は認めるが、事業の予測可能性と現在の価格を合わせて考えると、積極的な安全域があるとは判断しない。
何で稼ぐ会社か
同社の事業は、販促業務を請け負うマーケティング、実店舗で体験を販売するロケーションベースドエンターテインメント、キャラクター商品を製造・販売するマーチャンダイジングの三つに分かれる。会計上の報告セグメントはマーケティングサービス事業の一つだけだが、経営管理上は六つの事業に分けて売上を開示している。事業の利益構造とAI代替の影響が異なるため、長期評価ではプロモーション事業をさらに二つに分けて考える。
最大の収益源は、2025年に約165億円を売り上げたプロモーション事業である。メーカーや外食チェーンから販促キャンペーンを受託し、景品の企画、製造、調達、品質管理、運用までを担当する。CDGの統合によって、単発の企画案件だけでなく、マーケティング業務や調達業務を継続して請け負うBPOも拡大している。ただし、企画書作成や運用管理を人の工数で売る部分と、実物の景品を供給する部分では将来の需要が違う。
流通エンタメ事業は約61億円を売り上げた。コンビニや小売チェーンを通じてキャラクター商品を展開し、販促キャンペーンと物販を結び付ける。マーチャンダイジング事業のODMMDとエンタメMDは合計約89億円で、委託製造、限定流通商品、自社企画のくじ商品などを扱う。人気作品の調達力と販売先を持つことが強みだが、商品の権利を永久に保有しているわけではない。
テーマカフェを中心とするフードエンターテインメント事業は約68億円の売上を持つ。子会社エルティーアールは、飲食の専門企業との合弁で、作品の世界観を料理、内装、限定グッズに変えて販売する。2025年末には23店舗を運営しており、2022年には年間106万人の来場実績があった。食事に加えて物販があるため客単価を高められる一方、家賃、人件費、内装投資、版権使用料が必要になる。
顧客との契約は継続案件もあるが、物販の需要は作品の人気と商品企画の成否によって変わる。売上を先に確保して在庫を持たない受託案件と、売れると見込んで商品を生産する自社企画案件では、在庫リスクも異なる。会社が目指すストック型への転換は理解できるものの、ソフトウエアの月額課金に似た安定収益と考えるべきではない。
優良さと弱いところ
同社の競争優位は、版権元、流通企業、商品製造先を結び付ける関係網にある。大手小売チェーンの売り場を押さえ、人気作品の権利を調達し、決められた発売日までに品質を満たした商品を大量供給する仕事には、企画力だけでなく実務経験が必要だ。統合報告書にはコンビニ約5万2,000店舗、郵便局約2万4,000店舗、外食約1万5,000店舗などの展開先が示されている。ただし、これは展開可能な流通網の規模であって、独占契約店舗数を示す数字ではない。
テーマカフェにも一定の参入障壁がある。飲食の衛生管理、予約や混雑への対応、作品の世界観を損なわない運営には経験がいる。エルティーアールが多くの作品や商業施設と協業してきた実績は、次の版権交渉でも役立つ。ただし、人気作品の所有者は別にいるため、契約が終わればその作品を使った売り物も失われる。
筆者は、この強みを「普通の堀」と評価する。世界的な独占商品も、法令によって利用が義務付けられる基盤も持たない。顧客解約率が年5%未満であることや、乗り換えに数年かかることを示す定量的な開示も確認できない。取引先が大きいほど発注先の選択肢が多く、同社が一方的に価格を引き上げることは難しい。
資本効率には改善余地が大きい。2019〜2021年には営業利益率が7%前後あったが、2024年には0.8%まで下がった。2025年は売上総利益率が33.3%に改善したものの、営業利益率は3.6%である。価格改定や低収益案件の縮小には効果が出ているが、それが何年も続く値決め力なのかは、まだ判断できない。
財務面でも、かつての純現金企業という印象をそのまま持つべきではない。2025年末には約26億円の純有利子負債を抱え、店舗賃借に伴うリース負債も存在する。2026年上期には借入金の返済が進んだが、収益が再び悪化した場合の固定費負担は残る。増分の投下資本が資本コストを上回るだけの利益を生んだかどうかが、今後の評価を左右する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内には二つの大きな市場がある。電通による2025年のプロモーションメディア広告費は1兆7,184億円で、国内総広告費は8兆623億円だった。矢野経済研究所による2025年度のキャラクタービジネス市場は2兆8,767億円である。後者は商品化権と版権の市場を含み、前者は交通広告や屋外広告も含むため、CLホールディングスの売上と完全に対応する市場規模ではない。
販促事業の2025年売上約165億円は、広義のプロモーションメディア広告費の約0.96%に相当する。流通エンタメ、ODMMD、エンタメMDの合計約150億円は、広義のキャラクター市場の約0.52%に当たる。ただし、広告費と受託売上、キャラクター商品の小売価格と同社の卸売売上は計上基準が違う。したがって、この比率を厳密な市場シェアと扱わず、競争上の規模を把握する参考値とする。
販促の競合には電通、博報堂DYグループの販促部門や、専門のセールスプロモーション会社がある。ノベルティや販促品ではトランザクションなども競争相手になる。キャラクター商品ではバンダイナムコ、サンリオをはじめ、自社IPを保有する企業や多くのライセンシーが競う。これらの企業の全社売上は対象領域以外を大きく含むため、同一定義の競合別シェアは確認できない。
市場全体では、ファンが限定商品や体験にお金を払う需要は10年後も残ると考える。国内人口の減少が数量の重荷になる一方、アニメやゲームの海外展開、訪日観光客、成人ファンの購買は支えになる。ただし、人気キャラクターは入れ替わる。今の作品の人気が続くことと、CLホールディングスが次の人気作品を獲得できることは別の問題だ。
AIエージェントの影響は販促企画・制作・運用に集中する。顧客企業がAIで販促施策を企画し、制作物を生成し、調達先を直接比較できるようになると、中間業者の受託件数や手数料は減りうる。一方、実物の製造、全国の売り場への納品、飲食店舗での体験はAIだけでは代替できない。中立では、広義の販促市場に対する同社の実質的な取り分は縮み、キャラクター物販の参考シェアは約0.5%から約0.6%へ小幅に上がる程度と考える。
景品表示法による景品類の上限、食品衛生、著作権・商標権、個人情報の取り扱いも収益構造を左右する。規制への適切な対応は事業継続の条件だが、それだけで高い利益率を守れるわけではない。今後は人手不足による店舗費用の増加と、版権元への利益配分が、物価上昇による売上単価の伸びをどこまで相殺するかが重要になる。
資本政策と M&A
資本配分で最も大きな出来事は、2024年のCDG完全子会社化である。CLホールディングスはCDG株式を対象とするTOBを実施し、残余株主には株式交換で対応した。買付価格はCDG株式当たり1,680円で、株式交換ではCLホールディングス株式712,731株を交付した。CDGは2024年12月に上場廃止となったが、上場親会社のCLホールディングス自身が買収対象となったわけではない。
買収の成果は慎重に測る必要がある。2025年には東京オフィス統合や共通機能の集約によって費用削減が進み、プロモーション事業の粗利益も改善した。しかし、売上規模の拡大に対して営業利益が長期的に増えていない事実は重い。2023年末には純現金だった財務が2025年末には純負債となっており、買収資金の回収と負債返済を継続して確認したい。
中期経営方針は、2028年12月期のEBITDA55億円を定量目標とし、ROEは8%程度を安定して上回る方針である。2025年の統合報告書では2027年のEBITDA50億円、EBITDAマージン10%以上を掲げていたため、最新計画では目標年度が後ろに移っている。期限のない長期方針としては営業利益100億円以上、営業利益率10%以上を掲げるが、これは2035年の業績予想として採用しない。
株主還元は連結配当性向30%以上が具体的な方針である。2025年には20万株、約1.71億円の自己株買いを実施した。2026年の配当予定額は現在の株数で約3.3億円に相当する。株主優待のポイント制度もあるが、実際の年間費用は明確に開示されていないため、年間約0.15億円の株主還元と仮定した。10年間の還元には通常配当、限定的な自社株買い、優待費用相当を含める。
今後は海外展開、商品企画、AI活用、新規事業、追加買収への投資を計画している。大株主に一定の集中があるものの、配当と自社株買いの実績もあるため、留保から生じる余剰現金の株主への還元可能性は75%と評価する。買収を繰り返すより、既存事業の利益率を改善し、負債を減らした後に余剰資金を還元できるかが重要である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
CLホールディングスは、単なる広告代理店から、IPコンテンツと小売網を組み合わせた商品・体験の提供企業へ変わりつつある。企画を請け負うだけでなく、限定商品の製造と販売、くじ、テーマカフェまで事業を広げたことで、人気作品が生まれた際に複数の売り場で収益を得られる。コンビニ、外食チェーン、商業施設、アミューズメント施設への展開力を一体で持つ企業は多くない。
2024年にCDGを完全子会社化した効果も現れている。2025年には売上総利益率が3.9ポイント改善し、営業利益は前年から大幅に増えた。2026年上期も営業利益は7億円を超え、統合と業務最適化が進んでいる。販促業務の共通化やAI活用が進めば、受託数量が減っても社内の作業費用を下げられる可能性がある。ただし、AIを利用した新サービスが収益を生んだという定量的な証拠は、まだ十分ではない。
物販では、自社企画商品の拡大と国内外の販売チャネルの増加が期待できる。人気IPの発掘と商品企画が続けば、くじや限定グッズの数量は国内人口の減少を超えて伸びる。テーマカフェでは、常設型店舗を増やし、飲食と物販を組み合わせることで、一時的なイベントより安定した収益を確保できる。海外で同じ事業モデルを再現できれば、日本国内の需要だけに頼らない成長も可能になる。
経営陣は2028年のEBITDA55億円を掲げている。この目標に近づくほど、既存の固定費を活用しながら売上総利益を積み増せる状態になる。資本効率が改善し、借入金を返済しつつ配当と自己株買いを継続できれば、2035年には現在を大きく上回る利益と株主価値が実現する。
慎重な見方
事業の構造を厳しく見ると、CLホールディングスは自社が所有しない人気作品と、大手流通企業の販売力に依存している。版権元が契約を更新しない、より高い使用料を求める、商品化を自社で行うと決めれば、同社は人気作品の収益を失う。大手流通企業も販促企画や商品調達を自社で行う選択肢を持っており、長期契約があっても同社の利益率が保証されるわけではない。
AIエージェントは、販促企画とBPOの経済性を大きく変える。キャンペーンの設計、制作物の作成、調達先の比較、販促結果の分析といった仕事は、従来より少ない人手で進められるようになる。顧客がその能力を内製化すれば、同社に外注される業務そのものが減る。残った業務でも価格競争が強まり、制作と運用で得られる手数料は低下する可能性がある。
現物商品とテーマカフェも安全ではない。限定グッズは人気が外れると在庫を抱え、安売りや廃棄によって利益が消える。テーマカフェでは、作品の人気がなくなっても家賃と人件費を直ちに減らせない。IPの権利使用料、原材料費、人件費が上昇する一方、消費者が支払う価格には上限がある。店舗数を増やすほど赤字店舗の処理費用も大きくなる。
過去の実績は、事業規模の拡大と利益の拡大が一致しないことを示している。2021年から2024年にかけて売上は増えたが営業利益は大きく低下した。CDG統合で借入負担と管理すべき事業が増えたことも、経営の自由度を制約する。経営陣が示すEBITDA目標は、減価償却や店舗更新のための支出を無視してよいという意味ではない。利益改善が定着しなければ、株主に残る価値は現在の時価総額をかなり下回る。
どちらに重みを置いたか
販促受託以外に、流通商品とテーマカフェという実体ある事業を持つ点は評価する。2025年からの採算改善にも証拠がある。ただし、主要IPを所有しないこと、過去の事業拡大が十分な利益増加につながっていないこと、販促業務のAI代替を重く見る必要があることから、慎重な見方がやや強い。確率は楽観側31%、中立31%、悲観側38%とし、下側を少し厚くした。中立自体にAI代替による販促件数の縮小を織り込んでいるため、確率で同じリスクを過度に重ねていない。現時点では本質価値が時価総額を下回ると判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,958 円210 億円(+ 還元の換算額還元の合計 357 円38 億円)。 今の値に割り戻すと 1,150 円124 億円、今との差 +3.2%、 期待の年率 +8.4%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 4,616 円496 億円 | 800 円86 億円 | +385.8% | +19.4% | 650 円70 億円 |
| やや楽観 | 19% | 3,256 円350 億円 | 568 円61 億円 | +242.9% | +14.7% | 726 円78 億円 |
| 中立 | 31% | 2,045 円220 億円 | 358 円39 億円 | +115.6% | +8.8% | 745 円80 億円 |
| やや悲観 | 25% | 500 円54 億円 | 145 円16 億円 | −42.1% | −5.9% | 161 円17 億円 |
| 悲観 | 13% | 205 円22 億円 | 47 円5 億円 | −77.5% | −14.8% | 33 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,958 円210 億円 | 357 円38 億円 | +107.7% | +8.4% | 2,316 円249 億円 |
今の株価時価総額 1,115 円120 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% IP商品と体験事業が大きく成長 利益 36 億円 · PER 13.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,616 円496 億円
国内外で日本のアニメ・ゲーム・キャラクターの人気が続き、CLホールディングスは複数の主要作品と商品化契約を継続して結ぶ。CDG統合で獲得した外食・小売顧客への販促提案と、レッグスの版権調達力が結び付き、流通エンタメの全国展開案件が増加する。エンタメMDでは自社くじの商品企画が成功し、アミューズメントやECで販売点数を伸ばす。
テーマカフェでは常設店と期間限定店の運営を最適化し、海外にも事業モデルを広げる。来店者数は増加し、限定物販も客単価の上昇に寄与する。人気IPを複数確保できるため、特定作品の終了による損失を吸収できる。受託企画のAI代替は進むが、社内でもAIを活用することで作業コストが下がり、残った案件の利益率が改善する。AIによる新たな売上拡大は証拠がないため前提に含めない。
経営陣は低収益案件の撤退とグループの共通機能統合を継続し、営業利益率は8%台に改善する。新規買収は限定的で、借入金返済と株主還元を優先する。2035年には売上約699億円、営業利益約59億円、純利益約36億円を稼ぐ企業になる。
- プロモーション・マーケティングBPOの企画運用部分:数量 850(年間受託・継続業務案件数(件、推計))× 価格 0.13(案件当たり年間計上売上(億円/件))→ 売上 107 億円・営業利益 9 億円。AI代替後も案件数は現在並みを維持。単価は1.08倍、内部の生産性改善で利益率上昇。
- プロモーション事業の現物景品調達・製造:数量 540(実物景品供給案件数(件/年、推計))× 価格 0.21(案件当たり商品供給売上(億円/件))→ 売上 114 億円・営業利益 10 億円。大手流通・外食の現物販促案件が増え、商品供給数量は約1.29倍。
- 流通エンタメ事業:数量 640(年間商品販売数量(万点、推計))× 価格 0.22(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 140 億円・営業利益 11 億円。人気IPと全国の小売展開が成功し、販売点数1.60倍。
- フードエンターテインメント事業:数量 240(年間来店者数(万人、推計))× 価格 0.54(来店者1人当たり飲食・物販計上売上(万円/人))→ 売上 130 億円・営業利益 9 億円。来店240万人、飲食と物販の客単価上昇、常設店の収益性改善。
- 催事事業:数量 90.0(年間催事案件数(件、推計))× 価格 0.13(催事1件当たり計上売上(億円/件))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。採算の良い催事に集中して小幅黒字化。
- ODMMD事業:数量 440(年間製造・販売数量(万点、推計))× 価格 0.17(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 73 億円・営業利益 7 億円。自社企画品への移行と流通先拡大で販売数量増加。
- エンタメMD事業:数量 720(年間商品販売数量(万点、推計))× 価格 0.17(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 123 億円・営業利益 15 億円。くじ・限定グッズのヒットが継続し販売点数1.60倍。
倍率:2035年ROEは35.5÷205=約17.3%。kは8.0%、moat=normalの残る割合は1/2であり、RONIC=8.0%+(17.3%−8.0%)÷2=約12.7%。g_long=1.0%から正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=約13.16倍。現在や過去の市場PERは使用せず、式の上限を採用する。
確率:全国の流通網、人気IP調達、カフェ運営の三つが同時に成功し、CDG統合の費用削減効果も定着する筋書き。複数の人気作品を継続して獲得し、海外販路まで広げる必要があるため、実現可能性は12%にとどめる。AIの企画業務削減を営業案件数の増加とは扱わない。
やや楽観 19% 物販が成長し統合効果も定着 利益 25 億円 · PER 13.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,256 円350 億円
CDGとの組織統合と共通業務の最適化が完了し、販促顧客への提案力が強まる。販促企画やBPOの受託数量はAIエージェントと顧客の内製化によって減少するものの、実物景品の製造・品質管理・納品業務は引き続き必要とされる。会社は高付加価値の業務を中心に受注し、低採算の仕事を減らすことで利益を維持する。
キャラクター商品の物販は、複数の人気作品を入れ替えながら成長する。コンビニの限定商品や自社くじが安定した収益源になり、ODMMDでは大型顧客の案件を一定程度確保できる。テーマカフェは常設型の運営効率が改善し、飲食と物販を組み合わせた客単価を高める。国内人口の減少はあるものの、成人ファンと訪日客の需要が補う。
2028年のEBITDA目標には近づくが、毎年のヒット商品と版権更新に費用がかかるため、営業利益率の上昇には限界がある。負債を管理しながら配当と限定的な自社株買いを続け、2035年には売上約588億円、営業利益約42億円、純利益約25億円を確保する。
- プロモーション・マーケティングBPOの企画運用部分:数量 635(年間受託・継続業務案件数(件、推計))× 価格 0.13(案件当たり年間計上売上(億円/件))→ 売上 80 億円・営業利益 5 億円。AI代替で案件数は現在の約0.75倍、価格1.08倍。
- プロモーション事業の現物景品調達・製造:数量 500(実物景品供給案件数(件/年、推計))× 価格 0.21(案件当たり商品供給売上(億円/件))→ 売上 106 億円・営業利益 8 億円。実物景品の供給契約が増え、価格は物価並み。
- 流通エンタメ事業:数量 560(年間商品販売数量(万点、推計))× 価格 0.20(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 114 億円・営業利益 8 億円。販売点数1.40倍、単価1.34倍。
- フードエンターテインメント事業:数量 220(年間来店者数(万人、推計))× 価格 0.52(来店者1人当たり飲食・物販計上売上(万円/人))→ 売上 114 億円・営業利益 7 億円。年間220万人の来店と常設店の採算改善。
- 催事事業:数量 80.0(年間催事案件数(件、推計))× 価格 0.12(催事1件当たり計上売上(億円/件))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。不採算催事を減らし小幅黒字化。
- ODMMD事業:数量 390(年間製造・販売数量(万点、推計))× 価格 0.16(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 62 億円・営業利益 6 億円。大型案件が定着し販売数量を増やす。
- エンタメMD事業:数量 630(年間商品販売数量(万点、推計))× 価格 0.16(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 103 億円・営業利益 10 億円。自社くじと限定商品を中心に販売数量1.40倍。
倍率:ROE=24.8÷174=約14.3%。k8.0%、moat=normalの残る割合1/2からRONICは約11.1%。長期名目成長率g_long1.0%による正当化PERは約13.00倍であり、その上限を採用する。
確率:2025年に確認できる利益率改善が続き、IP商品の数量拡大と店舗運営改善を両立する筋書き。海外事業の大成功までは前提とせず、一定の成功確率19%とした。
中立 31% 物販とカフェが販促業務の縮小を補う 利益 15 億円 · PER 12.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,045 円220 億円
10年間で販促業務の仕組みは大きく変わる。メーカーや外食チェーンはAIエージェントを使ってキャンペーン案を作り、制作物を生成し、調達先の選定や販促結果の分析まで行う。CLホールディングスの企画・運用・BPO案件は減少するが、現物の景品調達、品質管理、納品業務は引き続き受託する。CDG統合後の顧客網が一定の案件を守り、販促事業全体の売上は大きく崩れない。
流通エンタメとエンタメMDでは、人気作品の入れ替わりに合わせて限定商品を展開する。キャラクター市場は実質で緩やかに成長するが、強いIPを持つ企業や大手流通企業との競争が続くため、大幅なシェア拡大までは見込まない。テーマカフェの来店者数はおおむね現在の水準を維持し、飲食・物販の客単価が物価とともに上昇する。常設店の効率化によって採算は改善するが、家賃と人件費の負担は残る。
経営陣は採算の低い催事と商品を縮小し、グループの共通業務を整理する。利益率は2025年より改善するが、版権使用料と商品原価が上昇するため大幅には伸びない。2035年の売上は約487億円、営業利益は約26億円、純利益は約15億円となる。株主への還元を続けながら自己資本も積み上がるが、ROEは過去の高水準には戻らない。
- プロモーション・マーケティングBPOの企画運用部分:数量 553(年間受託・継続業務案件数(件、推計))× 価格 0.12(案件当たり年間計上売上(億円/件))→ 売上 69 億円・営業利益 3 億円。AIエージェント代替の人月・広告運用型。案件数は現在の0.65倍、価格は1.07倍にとどまる。
- プロモーション事業の現物景品調達・製造:数量 435(実物景品供給案件数(件/年、推計))× 価格 0.21(案件当たり商品供給売上(億円/件))→ 売上 90 億円・営業利益 6 億円。実物商品供給案件はほぼ横ばいで、価格は物価並み。
- 流通エンタメ事業:数量 470(年間商品販売数量(万点、推計))× 価格 0.20(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 93 億円・営業利益 6 億円。販売点数1.175倍、単価1.31倍。小幅な市場シェア上昇。
- フードエンターテインメント事業:数量 175(年間来店者数(万人、推計))× 価格 0.50(来店者1人当たり飲食・物販計上売上(万円/人))→ 売上 88 億円・営業利益 4 億円。来店者数175万人を維持し、飲食・物販客単価1.30倍。
- 催事事業:数量 65.0(年間催事案件数(件、推計))× 価格 0.12(催事1件当たり計上売上(億円/件))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。低収益催事の縮小により案件数はやや減少。
- ODMMD事業:数量 320(年間製造・販売数量(万点、推計))× 価格 0.16(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 50 億円・営業利益 4 億円。販売点数は約1.14倍。案件の山谷を平準化した利益。
- エンタメMD事業:数量 550(年間商品販売数量(万点、推計))× 価格 0.16(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 89 億円・営業利益 7 億円。人気IPの入れ替わりを乗り越え販売点数約1.22倍。
倍率:ROE=15.2÷149=約10.2%。資本コストk8.0%、残る割合1/2からRONICは約9.1%。g_long1.0%を使う正当化PER=(1−0.01÷0.091)÷(0.08−0.01)=約12.72倍を採用する。2035年以降のAI代替をPERにさらに重ねて差し引かず、g_longを低くする方法で反映した。
確率:会社の現在の強みと2025年の採算改善を認めながら、販促企画・BPOにAI代替圧力がかかる中心シナリオ。数量面の縮小と物価を下回る企画単価の伸びを既に反映しているため、過度に悲観的な利益率にはしない。
やや悲観 25% IP競争激化と販促内製化で利益が細る 利益 3 億円 · PER 12.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 500 円54 億円
大手メーカーと外食チェーンが販促企画の一部をAIエージェントで内製化し、CLホールディングスへの発注が減る。受託した案件でも企画制作費や管理手数料の値下げを求められ、プロモーション事業の収益性が低下する。実物商品の調達は残るが、顧客が製造会社へ直接発注する割合も増える。
キャラクター物販では、人気作品の版権を競合に取られることが増える。流通エンタメとエンタメMDの販売点数が減少し、在庫処分が粗利益を押し下げる。常設テーマカフェでは、作品の人気が弱くなった店舗の集客が低下する一方、家賃と最低限の人員配置を維持する必要がある。採算の悪い店舗を閉鎖しても、撤退費用と新店舗の開発費が発生する。
経営陣は追加買収を控え、在庫削減と借入金返済を優先する。利益水準に合わせて配当と自己株買いを縮小する。2035年の売上は約336億円、営業利益は約7億円、純利益は約3億円に落ちる。会社は事業を続けるものの、資本コストを十分に稼げない企業となり、株主にとって長期の価値創造は乏しくなる。
- プロモーション・マーケティングBPOの企画運用部分:数量 468(年間受託・継続業務案件数(件、推計))× 価格 0.12(案件当たり年間計上売上(億円/件))→ 売上 54 億円・営業利益 1 億円。AI代替で案件数は現在の約0.55倍。手数料は据え置き。
- プロモーション事業の現物景品調達・製造:数量 340(実物景品供給案件数(件/年、推計))× 価格 0.19(案件当たり商品供給売上(億円/件))→ 売上 64 億円・営業利益 3 億円。顧客の直接調達で案件数減少。
- 流通エンタメ事業:数量 340(年間商品販売数量(万点、推計))× 価格 0.18(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 62 億円・営業利益 2 億円。人気IPの獲得競争に負け、数量・値決め力が低下。
- フードエンターテインメント事業:数量 135(年間来店者数(万人、推計))× 価格 0.46(来店者1人当たり飲食・物販計上売上(万円/人))→ 売上 63 億円・営業利益 0 億円。集客低下と店舗固定費で営業損益は均衡。
- 催事事業:数量 43.0(年間催事案件数(件、推計))× 価格 0.11(催事1件当たり計上売上(億円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 −1 億円。低採算案件の撤退が進まない。
- ODMMD事業:数量 240(年間製造・販売数量(万点、推計))× 価格 0.14(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 33 億円・営業利益 1 億円。大型取引先への依存が残り、商品数量が縮小。
- エンタメMD事業:数量 390(年間商品販売数量(万点、推計))× 価格 0.14(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 56 億円・営業利益 2 億円。くじ・限定商品の販売点数が減少し、在庫負担も増える。
倍率:2035年ROEは3.3÷111=約3.0%でk8.0%を下回る。再投資による超過利益を見込めないため、稼ぐ力の上限1÷k=12.5倍を基準とする。販促と物販の採算が弱い構造を反映して12倍とした。純利益3.3億円による稼ぐ力39.6億円は、税後売却可能資産の慎重な床20億円を上回る。
確率:下に寄せる理由:同社は主要IPを所有せず、版権元と大手流通企業の交渉力に左右される。過去に売上拡大と利益成長が乖離し、2024年には営業利益率が0.8%まで低下した。AI代替に加えて物販の採算悪化が起こる可能性を無視できないため25%とする。
悲観 13% 主要IP喪失と販促受託の構造的衰退 利益 −9 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 205 円22 億円
主要な人気作品との商品化契約を更新できず、CLホールディングスの物販はヒット商品を失う。版権元は自社で商品化を進めるか、より高い条件を提示する競合ライセンシーを選ぶ。大手流通企業も販促企画をAIエージェントで内製化し、実物景品を製造先から直接調達する。販促業務の受託件数と手数料は継続的に縮小する。
流通エンタメとエンタメMDは販売点数が大きく減少する。商品企画に失敗した在庫の値下げ販売や廃棄が増え、売上総利益率も悪化する。テーマカフェは人気作品の契約終了と来店客数減少によって赤字となり、賃借店舗の閉鎖や内装設備の除却が必要になる。営業費用は売上ほど速く減らず、版権費用や人件費の上昇も重なる。
経営陣は追加買収を止め、事業売却、店舗閉鎖、人員削減を進める。借入金返済と事業再編を優先するため株主還元はほぼ停止する。2035年の売上は約210億円、営業損失は約11億円、純損失は約9億円となる。10年間の損失と追加減損で自己資本も縮小し、かつての成長企業としての収益価値を失う。残された現金、売掛債権、販売可能な棚卸資産などが価値の中心になる。
- プロモーション・マーケティングBPOの企画運用部分:数量 357(年間受託・継続業務案件数(件、推計))× 価格 0.10(案件当たり年間計上売上(億円/件))→ 売上 37 億円・営業利益 −1 億円。AI代替と顧客内製化で案件数は現在の0.42倍、単価も0.90倍。
- プロモーション事業の現物景品調達・製造:数量 250(実物景品供給案件数(件/年、推計))× 価格 0.16(案件当たり商品供給売上(億円/件))→ 売上 41 億円・営業利益 0 億円。直接調達の拡大で供給件数が大幅に減少。
- 流通エンタメ事業:数量 250(年間商品販売数量(万点、推計))× 価格 0.15(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 38 億円・営業利益 −2 億円。主要IPの契約喪失で商品販売が縮小。
- フードエンターテインメント事業:数量 100(年間来店者数(万人、推計))× 価格 0.43(来店者1人当たり飲食・物販計上売上(万円/人))→ 売上 43 億円・営業利益 −3 億円。年間来店100万人、家賃・人件費の固定負担が赤字を生む。
- 催事事業:数量 25.0(年間催事案件数(件、推計))× 価格 0.09(催事1件当たり計上売上(億円/件))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。催事需要減少と撤退費用。
- ODMMD事業:数量 150(年間製造・販売数量(万点、推計))× 価格 0.12(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 18 億円・営業利益 −1 億円。大型案件の喪失と在庫評価損。
- エンタメMD事業:数量 250(年間商品販売数量(万点、推計))× 価格 0.12(商品1点当たり計上売上(万円/点))→ 売上 31 億円・営業利益 −1 億円。自社くじの販売不振と主要IP喪失。
倍率:構造的な営業赤字を続けるため、正当化PERによる永続価値を採用しない。床のPBR0.28倍は2035年の自己資本48億円ではなく、現在の親会社自己資本78.5億円に掛ける。78.5億円×0.28=約22.0億円であり、税後売却可能資産の慎重な床20億円を上回る。10年間の純損失累計を約14.5億円、還元5億円、追加減損11億円とすれば、現在の自己資本78.5億円から約48億円へ縮小する。
確率:主要IPの契約喪失、顧客内製化、物販在庫損失、店舗閉鎖が重なる複合シナリオ。会社が存続しても事業価値が大きく失われうるため13%とする。売上は現在の約半分であり、継続的な稼ぐ力ではなく売却可能資産を中心に測る。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
プロモーション・マーケティングBPOの企画運用部分
販促キャンペーンの企画、制作、運用管理、マーケティングや調達業務の継続受託。AIエージェントによる代替が大きい部分。
| 数量年間受託・継続業務案件数(件、推計) | 価格案件当たり年間計上売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 850 | 0.12 | 99 | 2 |
| 10 年後 中立 | 553 | 0.12 | 69 | 3 |
取り方:会社の2025年通期決算説明資料ではプロモーション事業全体の売上164.57億円を開示し、旧マーケティングBPO事業を含むと説明している。企画、制作、運用、事務受託と実物景品供給の売上内訳は未開示である。AI代替を区別するため、前者を60%の98.742億円とする分析上の推計を採用した。年間850案件、平均約1,162万円はこの売上と業務規模からの仮定であり、会社が開示した案件数ではない。市場比較には電通の2025年プロモーションメディア広告費1兆7,184億円を参照するが、市場の定義は異なる。営業利益は全社利益との整合のための推定配賦。AIエージェント代替の型は『人月・工数で売る業務及び広告制作・運用』であり、中立数量は850件の0.65倍、価格は1.07倍、g_longは全社評価で制限する。
プロモーション事業の現物景品調達・製造
外食・メーカー等の販促案件で必要な実物景品の企画、製造委託、検品、調達、供給を行う。
| 数量実物景品供給案件数(件/年、推計) | 価格案件当たり商品供給売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 420 | 0.16 | 66 | 4 |
| 10 年後 中立 | 435 | 0.21 | 90 | 6 |
取り方:2025年のプロモーション事業164.57億円のうち、実物商品の調達・製造に対応する40%を仮に配分した。420件、平均約1,567万円の案件規模は開示された数量ではなく推計である。企画・制作工程はAIで効率化されるが、商品製造、品質検査、配送は物理的な需要として残ると考える。受託商品を実際に供給する部分なので、人月型を全額に適用せず、国内販促需要とシェアから案件数量を考える。営業利益は推計である。
流通エンタメ事業
コンビニや小売チェーンを通じたIP商品の販売と、キャラクター商品を利用したキャンペーン。
| 数量年間商品販売数量(万点、推計) | 価格商品1点当たり計上売上(万円/点) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 400 | 0.15 | 61 | 4 |
| 10 年後 中立 | 470 | 0.20 | 93 | 6 |
取り方:2025年通期決算説明資料の流通エンタメ事業売上6,051百万円を使用。販売点数は非開示のため400万点、1点当たり平均計上売上約1,513円と仮定した。コンビニなどの流通網を通じたキャラクター商品販売が数量の根拠である。市場比較には矢野経済研究所の2025年度キャラクタービジネス市場2兆8,767億円を用いるが、同社の卸売収益と市場の小売金額は一致せず、厳密なシェアではない。営業利益は推計。実際の製造・流通商品のためAI代替の人月型は適用しない。
フードエンターテインメント事業
キャラクターをテーマにしたカフェ、常設店舗、ベーカリー等での飲食と限定グッズ販売。
| 数量年間来店者数(万人、推計) | 価格来店者1人当たり飲食・物販計上売上(万円/人) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 175 | 0.39 | 68 | 2 |
| 10 年後 中立 | 175 | 0.50 | 88 | 4 |
取り方:2025年通期の事業売上6,780百万円を使用。エルティーアール公式サイトでは2022年の来店106万人、2025年に200万人を目指す方針が示されている。2025年末の有価証券報告書ではテーマカフェ23店舗が確認できる。2025年の実績来店者数は未確認のため175万人と仮定し、売上から飲食・物販合計の平均約3,874円を得た。実際のカフェメニューには2,000円前後の食事に飲料やグッズを追加する販売形態がある。営業利益は店舗賃借料等を考慮した推計。現場で提供する飲食体験はAIエージェントでは直接代替されない。
催事事業
商業施設等で行う期間限定の催事、イベント物販、ポップアップ販売。
| 数量年間催事案件数(件、推計) | 価格催事1件当たり計上売上(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 70.0 | 0.09 | 7 | −1 |
| 10 年後 中立 | 65.0 | 0.12 | 8 | 0 |
取り方:2025年の催事事業売上651百万円は会社開示。年間70件、1件平均930万円は仮定であり、実際の開催数は確認できない。会社は低収益催事の規模縮小を進めたと開示しているため、営業利益を赤字とする保守的な推計を行った。来場、出店、物販という物理的需要はAI代替の直接対象ではないが、企画作業の効率化は可能と考える。
ODMMD事業
委託者ブランドの景品・商品企画製造と、限定流通商品の製造販売。
| 数量年間製造・販売数量(万点、推計) | 価格商品1点当たり計上売上(万円/点) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 280 | 0.12 | 33 | 2 |
| 10 年後 中立 | 320 | 0.16 | 50 | 4 |
取り方:2025年のODMMD事業売上3,315百万円は会社開示。販売点数は開示されていないため280万点、1点当たり計上売上約1,184円と推定した。2025年は前期比53.2%減収、2026年会社予想では38.8%増収であり、特定大型案件の有無に数量が左右される。製造品の数量は実物需要として扱うが、デザイン・企画の作業部分にはAIの影響があるため、利益率の改善は控えめにみる。営業利益は推計。
エンタメMD事業
アミューズメント向け商品、キャラクターグッズ、自社企画くじ商品等の企画販売。
| 数量年間商品販売数量(万点、推計) | 価格商品1点当たり計上売上(万円/点) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 450 | 0.12 | 56 | 4 |
| 10 年後 中立 | 550 | 0.16 | 89 | 7 |
取り方:2025年のエンタメMD事業売上5,593百万円は会社開示。商品数量は非開示のため450万点、平均計上売上約1,243円と仮定した。会社は自社くじサービスの好調と、一部プライズ事業の縮小を開示している。市場にはバンダイナムコ、サンリオなど自社IPを持つ大手も存在するが、商品化権・卸売・小売の収益定義が違い、同一条件のシェアは不明である。営業利益は推計。商品の現物需要はAI代替の人月・広告運用型には当たらない。
リスクと懸念
AIエージェント代替
販促企画、広告制作、キャンペーン運用、マーケティングBPOは、AIエージェントによる直接的な代替対象である。顧客がAIを使って企画から調達先比較まで自社で行えば、従来の人の工数を前提とした受託件数や手数料が減る。会社がAIを活用して社内費用を削減できても、その利益が顧客への値下げとして移転する可能性がある。中立では該当部分の数量を10年間で約0.65倍とする。
IP商品化権の喪失と使用料上昇
同社は多くの人気作品について商品化や店舗展開の権利を借りる立場にある。版権元が契約を更新しない、他社に権利を与える、使用料を引き上げるといった判断をすれば、商品販売やカフェ運営の収益が失われる。特に販売が集中した作品の権利を失うと、単なる売上減少だけでなく在庫評価損や店舗閉鎖費用も発生しうる。
テーマカフェの固定費とリース負担
テーマカフェは物理的な体験を提供するためAIだけでは代替されないが、家賃、人件費、光熱費、店舗改装費が必要になる。2025年末の開示ではテーマカフェ23店舗の年間賃借料は約4.8億円であり、本社等の事務所賃借料もある。来店者数が減少しても費用をすぐに削減できず、人気IPの契約終了によって閉店や設備除却が必要になる場合には、営業利益と現金収支の双方が悪化する。
商品在庫とヒット依存
自社くじや限定グッズの事業は、顧客から受注してから作る商品よりも在庫リスクが大きい。人気作品を利用しても商品企画や販売時期を誤れば、値下げや廃棄が必要になる。2025年のODMMD事業は前年から大幅減収となっており、案件の有無による収益の振れも大きい。売上が物価上昇で増えても、在庫の増加や売れ残りが資金を拘束する可能性がある。
M&Aと投下資本収益率
CDG完全子会社化により販促事業の規模と顧客網は拡大したが、長期の資本効率改善が確認できたとは言い切れない。2021年より売上規模が大きくなった2025年でも、営業利益は同程度にとどまる。今後さらに買収を進めてのれんや借入金を増やした場合、相乗効果が実現しなければ減損と利払いが株主利益を圧迫する。売上成長ではなく、買収後の営業利益とROICを評価基準にする必要がある。
大手顧客の価格交渉力と規制
販促の発注元であるメーカーや外食チェーン、物販の販売先である大手流通企業は、調達先を比較できる立場にある。競争入札や取引先の内製化が進むと、同社の単価と利益率には下押し圧力がかかる。景品表示法の景品規制、食品衛生、著作権管理への対応に問題が生じれば、案件の中止や取引先の信用喪失につながる。大規模な販促キャンペーンほど、一つの品質・法令問題の影響が大きくなる。
資本配分と少数株主への還元
大株主の保有比率が高い企業では、会社が利益をため込んでも少数株主がその使い道を直接決めることは難しい。CLホールディングスには配当と自己株買いの実績がある一方、将来の投資先としてM&Aや海外展開も掲げている。稼いだ利益が低収益事業や割高な買収に使われれば、自己資本が増えても本質価値は十分に増えない。中期計画のEBITDAだけでなく、純利益、営業キャッシュフロー、配当と自己株買いの実行を追う必要がある。
今後の分かれ目
- 2027〜2028年にEBITDA55億円への進捗が明確になり、営業利益率が継続して7%以上になったら
- CDG統合と事業構造改革の効果が定着している可能性が高まる。販促案件の数量と物販の利益率を確認し、再現性があれば中立の営業利益と上側の確率を引き上げる。
- プロモーション・BPOの受託件数や継続契約売上が減少し、顧客のAI内製化が進んだら
- AIエージェント代替の影響が想定以上に現れたと判断する。特に継続型BPOの単価と粗利益率が同時に低下する場合は、やや悲観・悲観の確率を高める。
- 自社くじ、限定グッズ、流通エンタメの販売数量が継続して伸び、在庫回転も改善したら
- IP商品の企画力と流通プラットフォームの強さを再評価する。売上増加だけでなく、在庫評価損を抑えて営業利益と営業キャッシュフローが増えるかを確認する。
- テーマカフェの来店者数が年間200万人規模に達し、店舗利益率が継続して改善したら
- 物理的な顧客体験の競争優位が強まったと考える。新規店舗の内装投資や家賃を控除しても増分利益が十分に残るなら、フード事業の数量と利益率を引き上げる。
- 主要IPの契約喪失や自社くじの在庫評価損が相次いだら
- 物販の数量見通しを引き下げる。販売終了後の在庫処分と権利の再取得費用が継続する場合は、会社の堀を弱いものとして評価し直す。
- 借入金が減少し、純現金へ戻る一方、配当性向や自己株買いも引き上げられたら
- 資本配分に対する評価を高める。投資機会を超えて現金が積み上がらず株主に還元される実績が続くなら、余剰現金の戻り方を0.75から1.0へ見直す。
- 新たな大型買収を行い、のれんと借入金が再び大きく増加したら
- 買収先の利益、必要な運転資金、買収後のROICを検証する。資本コストを上回る増分収益が確認できなければ、買収による売上拡大を本質価値の増加として扱わない。
見ておくもの
- プロモーション事業の受託案件数、継続BPO売上、案件当たり粗利益率。企画・運用と現物商品供給の内訳開示
- 2028年12月期EBITDA55億円の進捗と、減価償却費を控除した営業利益
- 売上総利益率33.3%の維持と、営業利益率が2025年の3.6%から継続的に改善するか
- 流通エンタメ・ODMMD・エンタメMDの販売数量、在庫回転、在庫評価損、主要IPの契約更新
- テーマカフェの店舗数、年間来店者数、飲食・物販客単価、店舗単位の利益、リース負債
- 2025年末の純有利子負債26億円からの改善、営業キャッシュフロー、設備投資額、借入金利
- CDG統合後の共通機能費用削減額、追加M&Aの金額と買収先の投下資本収益率
- 連結配当性向30%以上の維持、自己株買いの実行、株主優待の実費と株主への総還元額
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や過去のPER・PBRを使って将来の倍率を決めていない。まず2025年に開示された六つの事業の売上を基礎に、AI代替の影響が大きいプロモーション企画・BPO部分を別に分けた。売上の数量は案件数、商品販売点数、来店者数から見積もり、物価上昇は価格にのみ反映した。会社が数量を開示していない事業の推計値は実績と明確に区別している。
10年後の倍率は資本コスト8.0%、堀の残存割合1/2、長期成長率1.0%、各筋書きのROEから正当化PERを計算した。楽観から中立までは式の上限をそのまま使い、AIリスクによる追加の恣意的な倍率割引をしていない。悲観は現在の自己資本78.5億円と換金可能資産を基礎にし、2035年に積み上がった自己資本に床のPBRを掛けていない。
IFRSでは使用権資産とリース負債を既に計上している。将来の利益率は現行の会計表示に合わせ、店舗の固定費と更新投資を考慮した。中立と楽観の利益成長を会社の中期目標から機械的に延長せず、IP商品の実物需要とAI代替の影響を分けた。最後に現在の時価総額と比較した結果、約16%の割高となったが、この差を狙って数量、確率、倍率を調整していない。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%による基本7.5%に、会社の値決め力の弱さを示すquality+0.5%を加えて8.0%。個別のIP更新失敗、M&A、AI代替を別の上乗せ金利にはせず、各筋書きの数量・利益率・確率で扱う。