結論
船井総研ホールディングスは、中堅・中小企業にコンサルタントを送り込み、毎月の顧問料で稼ぐ会社だ。売上の約 9 割は、人の時間と席で売る仕事である。
結論から言う。筆者は、10 年後の本質価値は今の時価総額 1,159 億円を下回ると見る。AI エージェントが調査・資料づくり・助言の一部を置き換えるからだ。過去 10 年の人数の伸びは、10 年先の目安にならない。
強みは確かにある。月次契約が積み上がり、顧問先との関係は深い。社長の横で現場を動かす仕事は、AI に代わりにくい。借金はなく、純現金は厚い。純利益のほとんどを株主に返す姿勢も信頼できる。そのため、数量の減りは決まりの範囲の上寄り(中立で 28% 減)に置いた。
それでも月額の値上げは物価に届かない。AI エージェントを売り物にして出た売上の金額は、開示されていない。縮む事業に、高い倍率は払えない。筆者がいちばん気にしているのは、顧問先が AI で十分と判断する日が来ることだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの会社が存在するかを問う。答えは「する」だ。中堅・中小企業の悩みは尽きず、船井は半世紀この需要に応えてきた。
次に、株主が自由に使えるお金を見る。設備投資がほとんど要らず、利益の大半がそのまま配当と自社株買いに回る。借金もない。資本の使い方としては理想に近い。
堀、つまり他社がまねできない強みは、普通の広さだ。成功事例の厚みと顧問先の数は本物だが、持ち主はコンサルタントという「人」であり、会社が所有するわけではない。人が辞めない仕組みを保てるかが、本質価値の分かれ目になる。
安全域は 2 つの側面から見る。1 つ目は、悲観の筋書きでも借金がなく、固定費の大半が人件費で、赤字になりにくいこと。2 つ目は、筋書きの幅が広く、10 年後の姿を正確に当てることは難しいことだ。筆者は、確信度を高くは置かず、確率で幅を表した。
見直し(AI エージェント代替):安全域は、稼ぐ力が 10 年残る前提の上に立つ。人月型の稼ぐ力が残る保証は、いま薄い。筆者は数量を落とし、割安の評価を取り下げた。借金がなく全額還元する資本配分の質は変わらず評価できるが、縮む事業に払ってよい値段は低い。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は、入口から出口まで 3 層に分かれる。
入口は経営研究会とセミナーだ。業種別の研究会に会費を払って入り、同業の成功事例を学ぶ。会員は約 8,300 で、会費は月に 3 万円ほどと安い。ここから個別の支援へ進む顧客が多い。
中心は月次支援で、売上のおよそ半分を占める。コンサルタントが月に数回、社長と現場に入り、数字が動くまで伴走する。月額は約 29 万円で、契約は続くことが多い。期間の決まったプロジェクトは、新規事業や組織の立て直しなどの単発案件だ。
周辺に 3 つの事業がある。広告運用はネット広告の代行だ。物流 BPO は倉庫や配送の現場運営を請け負う。M&A は事業承継の仲介で、半期に 20 件前後を成約する。2026 年からは、年商が数十億から数百億円の中堅企業を狙う「中堅企業化」コンサルを重点にした。
顧客の業種は広い。住宅・医療・介護・物流・製造などに専門チームがあり、成功の型を同業へ横展開できる。これが営業の効率を支えている。
人員は従業員が約 1,800 人で、うちコンサルタントが約 1,200 人、全体の 3 分の 2 を占める。新卒の採用は毎年 160 人ほどで、20〜30 代が中心だ。新卒の 3 割以上は、会社が「家業人財」と呼ぶ、家業のある家の出身者だ。顧客の社長の気持ちが分かる点が、営業の武器になる。
優良さと弱いところ
強みは、半世紀かけて積んだ成功事例と、業種別に組んだ研究会の網だ。同じ悩みを持つ会社が集まるので、事例が次の顧客を呼ぶ。月次の契約は一度結べば続きやすく、月額は直近で 6% 上がった。
資本の使い方は素直だ。事業に設備がほとんど要らないので、利益の大半を配当と自社株買いに回せる。ROE は 26% に達し、利益率は 26% 前後を保つ。借金はなく、利払いの負担もない。
ただし、堀は人についている。コンサルタントは約 1,200 人で、離職率は 7.5% まで下がったが、人が辞めれば顧客との関係も揺らぐ。上期は 1 人あたりの営業利益が前年より 6% 近く下がった。人を増やす速さに、稼ぐ力が追いついていない。
競合は、タナベ経営、日本能率協会コンサルティング、山田コンサルティングなど、顧客を囲い込む同業と、税理士法人や地銀系の支援会社だ。差は、顧問先の数と事例の厚みにある。筆者は、この堀を「強い」とまでは言わず、普通と見る。人に頼る事業で、高い確信を置けないからだ。
創業家と関連会社が約 16% を持つ。社長の中谷貴之氏は 1991 年入社のコンサルタント出身で、現場に近い。支配株主による歪みは見えにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
追い風は、中堅・中小企業の人手不足と後継者難だ。社長の頭の中にある悩みが、賃上げ、採用、事業承継、デジタル化へ広がり、外部の相談相手を求める。国内のビジネスコンサル市場は 2029 年まで年 1 割ほど伸びるという予測がある(IDC)。ただし、その大半は大企業向けのシステムと戦略案件だ。
船井が戦う中堅・中小向けの市場は、筆者の推定で実質 3,000 億円規模だ。同業のタナベ経営は売上 100 億円台で、船井はその 3 倍ある。独立系の中小コンサル会社と個人の事務所が無数に並ぶ、分散した市場である。
10 年の見通しは、数量と単価に分けて考える。数量は、コンサルタントの数でほぼ決まる。新卒を毎年 160 人ほど採り、離職を引いても年 5% 台で増やせる。単価は賃金に連れて上がる。需要が伸びても、人を育てる速さが上限になる。
最大の変数は生成 AI だ。資料作成や市場調査のような下働きは確実に安くなる。同時に、社長の横で現場を動かす仕事は代わりにくい。AI は顧問料の下げ圧力にも、コンサルタントの生産性を上げる道具にもなる。どちらが勝つかは、まだ誰にもわからない。
景気には中程度に敏感だ。2009 年は営業利益率が 19% まで下がったが、赤字にはならなかった。月次の契約があるので、広告や人材の会社より谷は浅い。
見直し(AI エージェント代替):上の段落の「どちらが勝つかは誰にもわからない」という見方は、筆者は改める。AI エージェントは人の時間で売る仕事を置き換える側にある。10 年の中立でも、コンサルタントの人数は今より 28% 減ると置いた。
資本政策と M&A
還元は厚い。会社は総還元性向 65% 以上、配当性向 60% 以上を掲げ、配当は 16 期連続で増やす予定だ。実績は約束を上回り、近年は純利益とほぼ同額を配当と自社株買いで返してきた。発行済み株式の 8.8% は自己株式で、自社株買いの手間も惜しまない。
M&A は買う側と売る側の両方を持つ。買う側では、2025 年 5 月にアパレルウェブ、同年 7 月に MI コンサルティングを完全子会社にし、EC と企業買収の調査を厚くした。2026 年 7 月には MI コンサルを事業承継型 M&A 仲介の船井総研あがたFAS に統合し、一体運営に入った。売る側の仲介は、半期に 20 件前後の成約まで伸びた。
買収は小さく、のれんの重さは見えない。筆者は、会社が大型の買収で資本を使う可能性は低いと見る。社長が現場出身で、無理な拡大をしない社風だからだ。
TOB で買われる可能性は低い。創業家と関連会社が約 16% を持ち、友好的な話でなければ成立しにくい。もっとも、会社が大きな値段で売られる局面は、人材の流出を伴う。バリュー投資家は、むしろ人が辞めないことに目を向ける。
10 年の還元は、総還元性向 65% 以上・配当性向 60% 以上の方針を上回る実績(ほぼ全額)より薄い、純利益の合計の 84%。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
船井は、顧問型の月次契約という最も固い稼ぎを持つ。月額は上がり続け、研究会の会費も上がった。人手不足と事業承継の波は 10 年続き、中堅・中小の社長の悩みは尽きない。
社長の横で現場を動かし、人を巻き込む仕事は、AI エージェントでは代わりにくい。40 年分の成功事例は、同じ AI を使っても質の差になって表れる。AI が資料づくりを引き受ければ、コンサルタントは顧客の現場に使える時間が増え、1 人当たりの稼ぎが上がる。
重点領域が上乗せする。中堅企業化コンサルは前年比 2 倍、M&A の成約は 2 倍超で、どちらも単価が高い。借金がなく、純利益のほぼ全額を返す。人が減っても、顧問先との関係の厚みが利益率を守れば、価値は今を保つ。創業家と関連会社が約 16% を握るため、経営は安定している。AI を使いこなす先行者になれれば、強気の見方は成り立つ。10 年先に人数が減っていても、利益を守れるというのが根拠である。
慎重な見方
この会社の売上の約 9 割は、人の時間を売る商売だ。月次支援は、コンサルタントが顧問先を訪ねる工数で値段が決まる。AI エージェントは、まず資料づくりと調査の下働きを無料に近づけ、その次に助言そのものへ迫る。
社長が相談相手に AI を使えば、顧問料を払う理由は薄れる。タナベ経営のような同業も、同じ AI で価格を詰めてくる。人件費は賃上げで年 3% 超上がるのに、単価が追いつかなければ利益率は削られる。
足元もまちまちだ。広告運用は減収、物流 BPO は 3 割減だ。2026 年は本社移転で固定費が増え、会社が見通す営業利益の伸びは 3% にとどまる。AI エージェントを売り物にして出た売上・受注の金額は、開示がない。過去 10 年の人数の伸びを、10 年先に延ばすのは危うい。創業家の持株が多く、改革が遅れる心配もある。景気が悪化すれば、研究会の退会とプロジェクトの縮小も重なる。人が減れば固定費の重さが利益を直撃する。
どちらに重みを置いたか
事業の質では強気の見方が光る。月次契約、借金なし、全額還元の 3 点は数字で確かめられる。ただ筆者は、AI エージェントが人月の助言を置き換える流れが、10 年の価値を決めると見る。
AI エージェントの売上が数字で出るまで、楽観にも数量 1.0 倍以上は置かない。やや悲観と悲観を合わせて 37% を置いた。置き換えの影響は中立の数量と価格に入れたので、確率では重ねて引かない。悲観でも純現金が残るが、期待は今の値段を下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 641 円613 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 454 円434 億円)。 今の値に割り戻すと 673 円643 億円、今との差 −46.1%、 期待の年率 −1.3%(資本コスト 6.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,366 円1,305 億円 | 662 円632 億円 | +62.2% | +5.0% | 122 円116 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,093 円1,045 億円 | 579 円553 億円 | +33.8% | +3.0% | 318 円304 億円 |
| 中立 | 38% | 737 円704 億円 | 476 円455 億円 | −3.0% | −0.3% | 461 円440 億円 |
| やや悲観 | 24% | 223 円213 億円 | 375 円359 億円 | −52.2% | −7.1% | 144 円137 億円 |
| 悲観 | 13% | 137 円131 億円 | 260 円249 億円 | −68.2% | −10.8% | 52 円49 億円 |
| 加重平均 | 100% | 641 円613 億円 | 454 円434 億円 | −12.4% | −1.3% | 1,095 円1,047 億円 |
今の株価時価総額 1,250 円1,195 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 6.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 顧問先との関係が AI を退け、人数は今の水準を守る 利益 84 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 1,366 円1,305 億円
社長の横で現場を動かす仕事は AI エージェントに置き換わらず、月次支援の顧問先は離れない。コンサルタントは今の 1,100 人の水準を保ち、増えも減りもしない。月額は物価並みの 1.34 倍まで上がり、売上は約 450 億円と、今を 3 割余り上回る。成長はするが、過去の勢いは戻らない。M&A の成約は今の件数を保ち、手数料も物価並みに上がる。物流 BPO は現状維持。本業の利益率は 31% を保つ。会社は純利益の 85% を返し続ける。大手が AI エージェントに投資しても、中堅・中小の社長が頼る相手として選ばれ続ける、という姿だ。
- 経営コンサルティング(月次支援・研究会・セミナー・プロジェクト・広告運用):数量 1,098(コンサルタント人数(期末、人))× 価格 3,555(コンサルタント 1 人あたり売上(万円、名目))→ 売上 390 億円・営業利益 121 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 31%
- M&A 仲介(事業承継型):数量 19.0(成約件数(件/年))× 価格 0.63(1 件あたり手数料(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 5 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 40%
- 物流 BPO:数量 730(稼働人員(人、推定))× 価格 606(1 人あたり請負額(万円、名目))→ 売上 44 億円・営業利益 2 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 5%
倍率:事業の純利益 84 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 24.8% が k 6.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.7%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍。全体の PER 15.38 倍、時価総額 1,284 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI エージェントを売り物にした売上・受注の金額開示が無く、楽観でも数量は 1.0 倍までと決めた。人数の維持、成果報酬の定着、利益率の維持が全部そろう筋書きなので 6% に絞った。
やや楽観 19% 人数が 1 割余り減り、月額の値上げで支える 利益 65 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 1,093 円1,045 億円
AI エージェントが資料づくりと市場調査を引き受け、同じ顧問先を担当する人数が減る。コンサルタントは約 970 人で、今より 1 割余り少ない。月額は物価に近い 1.30 倍まで上がり、売上は約 380 億円と今を 15% ほど上回る。M&A は成約が今の 9 割ほどに減るが、手数料は上がる。物流 BPO は小さいまま横ばい。賃金が年 3% で上がる中、本業の利益率は 29% に下がる。研究会の会費は残り、顧問先との関係の厚みが救いになる。返せる額は今より小さい。M&A 仲介は件数こそ減るが、事業承継の需要が単価を支える。
- 経営コンサルティング(月次支援・研究会・セミナー・プロジェクト・広告運用):数量 966(コンサルタント人数(期末、人))× 価格 3,449(コンサルタント 1 人あたり売上(万円、名目))→ 売上 333 億円・営業利益 97 億円。数量 0.88 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 29%
- M&A 仲介(事業承継型):数量 17.1(成約件数(件/年))× 価格 0.62(1 件あたり手数料(億円、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 4 億円。数量 0.90 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 38%
- 物流 BPO:数量 694(稼働人員(人、推定))× 価格 588(1 人あたり請負額(万円、名目))→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。数量 0.95 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 4%
倍率:事業の純利益 65 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 22.2% が k 6.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.4%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍。全体の PER 15.38 倍、時価総額 998 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI エージェントが資料づくりと調査を引き受け、人数が減る筋書きの中で良い側。顧問先との関係が単価を守る前提で、19% を置いた。
中立 38% 人数は 28% 減り、値上げは物価に届かない 利益 42 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 737 円704 億円
AI エージェントが調査・資料づくり・提案書の下書きを引き受け、顧問先の社長は小さな相談を AI に回す。コンサルタントは約 790 人で、今より 28% 少ない。月額は賃金に追いつかず、1 人当たりの売上は 1.25 倍にとどまる。売上は約 310 億円と今を 1 割弱下回り、本業の利益率は 25% に下がる。営業利益は今の約 95 億円から約 58 億円へ 4 割減る。M&A は成約が今の 8 割ほど。物流 BPO は現状に近い。研究会の会費は残るが伸びない。借金のない財務は崩れず、純利益の 85% を返し続けるが、返す額は今より小さい。縮みながら黒字を守る 10 年になる。
- 経営コンサルティング(月次支援・研究会・セミナー・プロジェクト・広告運用):数量 791(コンサルタント人数(期末、人))× 価格 3,316(コンサルタント 1 人あたり売上(万円、名目))→ 売上 262 億円・営業利益 66 億円。数量 0.72 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 25%
- M&A 仲介(事業承継型):数量 15.2(成約件数(件/年))× 価格 0.59(1 件あたり手数料(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 3 億円。数量 0.80 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 35%
- 物流 BPO:数量 657(稼働人員(人、推定))× 価格 542(1 人あたり請負額(万円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円。数量 0.90 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 4%
倍率:事業の純利益 42 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.3% が k 6.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.4%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍。全体の PER 15.38 倍、時価総額 641 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI エージェントが人月の助言・資料づくりを置き換える流れの中心の筋書き。数量 0.72 倍、価格 1.25 倍と決まりの範囲の上寄りに置いた。数量と価格に入れた分を、確率と g で重ねて引いていない。
やや悲観 24% 人数が 4 割減り、顧問料を削られる 利益 19 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 223 円213 億円
社長が相談相手に AI エージェントを使い、コンサルタントには現場の実行だけを頼む世界が広がる。コンサルタントは約 640 人まで減り、今より 4 割ほど減る。月額は 1.12 倍にとどまり、賃金の上昇に届かない。売上は約 220 億円と今を 3 割ほど下回る。本業の利益率は 18% に下がる。M&A 仲介は同業の増加と AI の仲介で手数料が値崩れし、成約も 4 割減る。物流 BPO は事務部分が減り薄い利益になる。本社の家賃など固定の約束が残り、利益を圧迫する。顧問先の離脱は静かに進み、中計の利益目標は 2 年以上遅れる。
- 経営コンサルティング(月次支援・研究会・セミナー・プロジェクト・広告運用):数量 637(コンサルタント人数(期末、人))× 価格 2,971(コンサルタント 1 人あたり売上(万円、名目))→ 売上 189 億円・営業利益 34 億円。数量 0.58 倍・価格 1.12 倍・営業利益率 18%
- M&A 仲介(事業承継型):数量 11.4(成約件数(件/年))× 価格 0.53(1 件あたり手数料(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。数量 0.60 倍・価格 1.12 倍・営業利益率 28%
- 物流 BPO:数量 584(稼働人員(人、推定))× 価格 497(1 人あたり請負額(万円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。数量 0.80 倍・価格 1.10 倍・営業利益率 2%
倍率:ROE 6.1% が k 6.5% 以下。ためた利益は額面未満の価値で、PER は 1÷k = 12.1 倍を上限に ROE÷k の割合で下げて 8.97 倍。g は名目 0.0%。人月・席の型で寿命は短く、g は名目 0%(横ばい)まで。堀は普通。
確率:AI エージェントが助言そのものに迫り、顧問先が月額の値上げに応じなくなる筋書き。同業も同じ AI で価格を詰めてくるため、24% を置いた。
悲観 13% AI エージェントが顧問型の助言を置き換える 利益 −3 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 137 円131 億円
AI エージェントが経営相談から施策の設計・実行管理まで安く引き受け、中堅・中小の社長は顧問契約をやめる。コンサルタントは約 460 人まで減り、売上は約 145 億円と今の半分以下になる。月額は値上げができず、1.0 倍にとどまる。本業の利益率は 3% に落ち、稼ぐ力は事業として残らない。M&A は成約が 4 割に、物流 BPO は赤字になる。優秀なコンサルタントは大手や AI 企業に移る。残るのは借金のない財務と純現金で、会社は小さく続くか、現金を株主に返す形になる。人の顧問に払う理由は、もうほとんど残らない。
- 経営コンサルティング(月次支援・研究会・セミナー・プロジェクト・広告運用):数量 461(コンサルタント人数(期末、人))× 価格 2,653(コンサルタント 1 人あたり売上(万円、名目))→ 売上 122 億円・営業利益 4 億円。数量 0.42 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 3%
- M&A 仲介(事業承継型):数量 7.6(成約件数(件/年))× 価格 0.47(1 件あたり手数料(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。数量 0.40 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 10%
- 物流 BPO:数量 402(稼働人員(人、推定))× 価格 452(1 人あたり請負額(万円、名目))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。数量 0.55 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 -2%
倍率:稼ぐ力が崩れた姿。事業の稼ぎは床に使わず、純現金(約 131 億円)を今の自己資本 250 億円に対する PBR で表す。
確率:AI エージェントが助言そのものを置き換え、売上が 10 年で半分前後になる筋書き。稼ぐ力が崩れる形で、13% を置いた。やや悲観と合わせて 37%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
経営コンサルティング(月次支援・研究会・セミナー・プロジェクト・広告運用)
中堅・中小企業へ専門コンサルタントを送り込む本業。月次支援(約半分)と研究会の会費が土台。
| 数量コンサルタント人数(期末、人) | 価格コンサルタント 1 人あたり売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,098 | 2,653 | 291 | 90 |
| 10 年後 中立 | 791 | 3,316 | 262 | 66 |
取り方:2025/12 期の売上 333 億円のうち、月次支援 159.6 億円(開示)、研究会会費 32、プロジェクト 34、広告運用 26、セミナー等 40 を足した約 291 億円を、期末のコンサルタント 1,098 人で割った(会費・広告・セミナーの内訳は 2026 年上期の前年比から逆算した推定)。営業利益は全社 88 億円から物流 BPO・M&A・本社費を引いて推定した。 数量は実物(コンサルタントの人数)。価格の10年1.38倍は物価1.34倍をわずかに超えるが、月額が賃金に連れて上がることと中堅企業向けの契約が混ざることによる。 AI エージェント代替の型:売上の約 87%(月次支援・プロジェクト・セミナー・会費・広告運用)は人の時間と席で売る型。AI エージェントを売り物にした売上・受注の金額開示は確認できない。数量は 10 年中立で 0.72 倍(決まりの 0.55〜0.75 の上寄り。中堅・中小の社長との月次の付き合いが深く、解約しにくい顧問契約が下支えするため)、価格は物価 1.34 倍を上限に 1.25 倍とした。
M&A 仲介(事業承継型)
船井総研あがたFAS などが担う事業承継・成長戦略の M&A 仲介。成約ごとの手数料。
| 数量成約件数(件/年) | 価格1 件あたり手数料(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 19.0 | 0.47 | 9 | 4 |
| 10 年後 中立 | 15.2 | 0.59 | 9 | 3 |
取り方:2026 年上期の M&A 売上 9.4 億円で約 20 件の成約(会社説明)から 1 件あたり約 0.47 億円。2025/12 期は上期が前年比 128% 増の逆算で約 9 億円、成約は約 19 件の推定。営業利益率は 4 割と推定。 数量は実物(成約件数)で、市場の名目の伸びからは置いていない。手数料は物価並みの1.34倍。 AI エージェント代替の型:売上の約 3%。成果報酬だが、買い手探しと資料づくりは AI エージェントが安く置き換える側にあり、人月型に準じて数量 0.8 倍、価格 1.25 倍とした。
物流 BPO
倉庫・配送の現場運営を請け負う事業。人件費中心で利益率が薄い。
| 数量稼働人員(人、推定) | 価格1 人あたり請負額(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 730 | 452 | 33 | 2 |
| 10 年後 中立 | 657 | 542 | 36 | 1 |
取り方:2026 年上期の物流 BPO 売上は 12.2 億円で前年比 31% 減。2025/12 期は約 33 億円と推定し、1 人あたり請負額を物流現場の人件費水準(年 450 万円)として約 730 人と逆算した(人数は推定)。営業利益率は 5% 前後と推定。 AI エージェント代替の型:売上の約 10%。倉庫・物流現場の請負で「現場の体」の型。今の置き方を基本に、事務部分だけ縮める(数量 0.9 倍、価格 1.20 倍)。
リスクと懸念
AI エージェントによる人月型の置き換え(AI エージェント代替)
売上の約 9 割は、人の時間と席で売る型だ。AI エージェントが調査・資料づくり・助言の一部を肩代わりすれば、顧問先は月額の値上げに応じなくなる。10 年の中立でコンサルタントは 28% 減り、値上げも物価に届かない。悲観では売上が半分以下に縮み、稼ぐ力が崩れる。
人に頼る事業で、辞める人と育たない人
売上の大半はコンサルタントの時間だ。10 年で人数が増えなければ売上は伸びず、辞める人が出れば顧客の関係も揺らぐ。上期は 1 人あたりの営業利益が前年より下がっており、採用の加速が利益を押し下げている。
景気後退での研究会の退会とプロジェクトの縮小
月次の契約は景気に強いが、研究会の会費と単発のプロジェクトは削られやすい。2009 年の営業利益率は 19% まで下がった。人件費が固定なので、売上が落ちる局面の利益の落ち込みは大きい。
本社移転と家賃の約束
大阪本社の移転で、2026 年は固定費が約 6 億円増える。事務所の賃借は解約しにくい固定の約束で、売上が落ちても払い続ける。新リース会計基準が 2028 年 12 月期から BS に載るので、見かけの数字の形も変わる。
M&A 仲介の同業の増加
事業承継の波に乗って、仲介会社が乱立している。M&A 総研や日本M&Aセンターなど先行する会社と、案件の取り合いが続く。手数料が下がれば、半期 20 件の成約の価値が薄れる。
重点領域の足元のばらつき
上期は、中堅企業化コンサルが前年の 2 倍、M&A が 2 倍超と伸びた一方、物流 BPO は 3 割減、広告運用とプロジェクトも減収だった。重点領域が本業の伸びの穴を埋めきれなければ、中計の利益目標は遠ざかる。
創業家と関連会社が約 16% を持つ
友好的でない買収は難しく、経営が変わりにくい。人の流動が少ない会社では、支配株主との距離が近いほうが安心できる面もあるが、改革が遅れる恐れも残る。
今後の分かれ目
- AI エージェントを売り物にした売上・受注の金額が決算で開示される
- 開示が人数の目減りを補う規模なら、楽観側の数量を引き上げる。開示が無い間は、数量 1.0 倍を超える筋書きは置かない。
- コンサルタント人数が年 7% を超えて増え、離職率が 7% 台で保たれる
- 人数の成長が続き、やや楽観〜楽観の筋書きに近づく。
- 月次支援の月額の上昇が 3% を下回り、物価に届かなくなる
- AI と競争で単価の伸びが止まった兆しで、やや悲観の筋書きに近づく。
- 中堅企業化コンサルが前年の 2 倍を保ち、全社の営業利益が計画に届く
- 重点領域が本業の穴を埋め、中計の数字に近い楽観寄りの 10 年になる。
- 世界的な景気後退が起き、研究会の退会が増える
- 月次契約は残るが、会費とプロジェクトが落ち、利益率は一時的に 20% を割る。
- 自己株式の取得が止まり、総還元性向が 65% を下回る
- 還元の約束が崩れ、値打ちの前提が変わる。経営の資本配分を見直す。
見ておくもの
- コンサルタント人数・離職率・1 人あたり営業利益(四半期)
- 月次支援の月額単価の伸び率
- 経営研究会の会員数と研究会の数
- M&A の成約件数と手数料
- 物流 BPO と広告運用の売上
- 総還元性向(65% 以上の約束と実績)
倍率と資本コストの決め方
倍率は式だけで置いた。人月型なので長期の g(10 年より先の名目の伸び)は 0% とし、PER は 1÷k = 12.1 倍になる。k は AI エージェント代替の寿命で決まりの下限の +1.0% を上乗せして 8.25%(値決めの −0.25% を含む)。AI エージェント代替の理由は、主に中立の数量と価格に入れ、k は下限寄り、確率は 37%、g は 0% と、重ねすぎないようにした。今の PER や同業・過去の倍率は使っていない。悲観は稼ぐ力でなく純現金の床で置いた。自己資本は「今の 250 億円+期間の純利益−還元」で積んだ。家賃を営業費用に入れた今の形でそろえ、2028 年 12 月期からの新リース会計で数字の形が変わる点は入れていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.12→15.38 倍・やや楽観 PER 12.12→15.38 倍・中立 PER 12.12→15.38 倍)。
資本コスト 6.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。