結論
プラザホールディングスは、ドコモショップを 68 店運営する代理店の事業と、写真プリントの「パレットプラザ」を全国に展開する会社だ。筆者の結論は「割高」で、一番の理由は、2% に満たない営業利益率の上に 60 億円の借入が乗り、株主に残る利益がごく小さいことにある。
売上の 8 割は携帯ショップだ。端末を売り、回線の契約を取り次いで、通信会社から手数料を受け取る。だが、手数料の条件を決めるのは通信会社で、2026 年もその見直しで回線の目標に届かなかった。通信会社はネットでの契約を広げ、店の数を絞っている。店は 1 年で 79 から 68 に減った。
写真プリントは、年賀状じまいとスマートフォンの普及で長く縮んできた。ビデオのダビングや工作キットで赤字は縮んだが、柱にはまだ遠い。
2026 年 6 月には 5 億円の自社株買いをして、自己資本は 15 億円に減った。金利が上がれば、借入の利払いが薄い利益をさらに削る。本質価値は今の時価総額の 3 分の 1 に届かないと筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、プラザホールディングスは「他社の決めた条件の上で、借金をして店を回す会社」だ。
良い点はある。長年ドコモショップを運営してきた接客の力と、写真プリントのチェーンを束ねる仕組みは本物だ。ダビングや工作キットのように、店の網を使って新しい商品を売る工夫もしている。
だが、オーナーとして持つには、稼ぎの根っこが他人の手にある。携帯ショップの手数料は通信会社が決め、通信会社はネットでの契約に移り、店を減らしている。写真プリントはスマートフォンに押されて縮み続ける。どちらも 10 年後に今より強くなっている姿は描きにくい。
その上、借入は自己資本の 4 倍ある。営業利益は 2% に満たず、金利が少し上がるだけで純利益は消える。借りたお金で自社株を買ったのは、財務の余力を削る選択だ。払う値段に対して、安全域はほとんど無いと筆者は見る。
何で稼ぐ会社か
事業は 2 つに分かれる。売上 192 億円(2026 年 3 月期)のうち 8 割がモバイル、2 割がイメージングだ。
モバイル事業は、ドコモショップの運営だ。子会社のプラザクリエイトが、通信会社の代理店として店を構え、スマートフォンを売り、回線の契約やプランの変更を取り次ぐ。稼ぎは、端末の売上と、通信会社から受け取る手数料と奨励金だ。最近は、端末を買った後の使い方を手伝う月額のサービスの加入者が増え、毎月の収入になり始めた。法人の顧客には、端末と一緒に中小企業のデジタル化も手伝う。2026 年 3 月末の店は 68 で、1 店あたり年 2 億円強を売る。
イメージング事業は、写真プリントの「パレットプラザ」のチェーンだ。全国に 143 店あり、9 割がフランチャイズの店だ。年賀状の印刷、証明写真、写真のプリントに加え、ビデオテープを DVD やデータに移す「なんでもダビング」が伸びた。木の部品を組み立てる工作キット「つくるんです」は、量販店で訪日客に売れている。オフィス向けの 1 人用の会議ボックス「One-Bo」も手がける。
どちらの事業も、店を借りて人が接客する形で、家賃と人件費が毎月の固定の費用になる。
優良さと弱いところ
優良さは「店を回す力はあるが、稼ぎの条件を自分で決められない」と見る。ドコモショップの運営は、通信会社の厳しい基準を満たす接客と、店の人の育成が要る。長年続けてきた代理店として、その力は持っている。
だが、稼ぎの条件を決めるのは通信会社だ。手数料と奨励金の額、店に求める回線の目標は、通信会社の方針一つで変わる。2026 年も奨励金の見直しで販売のイベントの費用を賄えず、モバイルの利益は 6% 減った。代理店は通信会社にとって費用であり、店の数を絞る時に真っ先に削られる側にいる。
写真プリントには堀が無い。スマートフォンで撮った写真をプリントする人は減り、年賀状も 1 年で 3 割近く減った。ダビングは一度きりの需要で、テープが無くなれば終わる。
財務は脆い。借入 60 億円に対し、自己資本は 15 億円しかない。過去 10 年の ROE の中央値は 4.5% で、資本コストの半分に届かない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
携帯ショップの業界は、縮む方向にある。通信会社は、ネットでの契約と自分で手続きを済ませる仕組みを広げ、店の数を減らしている。ドコモは店の削減を進め、他の通信会社も同じ道をたどる。人が窓口で説明する仕事は、ネットと AI の案内に置き換わりつつある。
端末の値段は上がり、買い替えの間隔は延びた。端末を売る回数が減れば、店の稼ぎも減る。政府の規制で、端末の値引きにも上限がある。通信会社は代理店への手数料を、回線の数より、契約の後のサービスや顧客の満足に結びつける方向に変えている。
一方で、店を閉じる代理店から客が流れてくる面もある。高齢の人やスマートフォンに不慣れな人は、店での手伝いを求め続ける。体を運んで説明する仕事は、全部がネットに移るわけではない。代理店の数が減れば、残った代理店の 1 店あたりの客は増える。
写真プリントの市場は、スマートフォンの普及で長く縮んできた。年賀状は毎年 1 割前後減っている。筆者は、10 年で携帯ショップの数は 2 割減り、1 店の売上は物価をやや下回るペースで上がると見る。写真プリントの店は 3 割減る。
資本政策と M&A
還元は配当と、2026 年 6 月の自社株買いだ。配当は 2026 年 3 月期の総額 1.2 億円から、2027 年 3 月期は半分の 0.5 億円に減らす。株主優待は、パレットプラザの半額券や工作キットで、費用は年 1 億円未満と見る。
2026 年 6 月には、自社の株の 1 割強にあたる 31.5 万株を 5 億円で一度に買った。この結果、自己資本は 15 億円まで減り、自己資本比率は 1 割台半ばに下がった。借入は 60 億円あり、現金は 15 億円にとどまる。借りたお金で自社株を買い、財務の余力を削った形だ。
買収は小さい。2025 年度に工作キットの会社を子会社にした。携帯ショップの業界では代理店の再編が進んでおり、店ごと他の代理店に売る、または買う動きは今後もありうる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
携帯ショップは、減るほど残った店が強くなる。通信会社が店を絞れば、閉じた店の客が近くの店に流れる。高齢の人やスマートフォンに不慣れな人は、店で手伝ってもらうことを求め続ける。プラザは長年の代理店として、残る側に入る力を持っている。
新しい稼ぎも育っている。端末を買った後の使い方を手伝う月額のサービスは加入者が順調に増え、毎月の収入になる。法人の顧客には、端末と一緒に中小企業のデジタル化を手伝う。
写真プリントは底を打った。ダビングには注文が殺到し、工作キット「つくるんです」は量販店で訪日客に売れている。イメージングの赤字は 2.9 億円から 1.2 億円に縮んだ。自社株買いで株数は 1 割強減り、1 株あたりの利益は増える。赤字の事業が黒字に戻れば、利益は今の倍になる。借入は大きいが、店の在庫と売掛金が裏付けにあり、金融機関との取引も長い。通信会社にとっても、高齢の客を受け止める店の網は簡単には捨てられない。
慎重な見方
携帯ショップの稼ぎは、通信会社が決める。手数料と奨励金の条件は通信会社の方針で変わり、2026 年も見直しで回線の目標に届かなかった。通信会社はネットでの契約と AI の案内に移り、店を減らしている。店は 1 年で 79 から 68 に減った。代理店は、真っ先に削られる側にいる。
写真プリントは縮み続ける。年賀状は 1 年で 3 割近く減った。ダビングは、ビデオテープが無くなれば終わる一度きりの需要だ。
財務はさらに脆くなった。借入は 60 億円で、自己資本は自社株買いで 15 億円に減った。営業利益率は 2% に満たず、金利が 1% 上がるだけで利払いが 0.6 億円増える。2027 年 3 月期の第 1 四半期はすでに赤字だ。自社株買いで株数が減っても、株主に残る利益が増えるわけではない。家賃と人件費は店を閉じるまで残り、閉じる時には費用もかかる。借入の多くは短期で、金利と借り換えの条件は毎年見直される。
どちらに重みを置いたか
残った店が強くなる面はあるが、店の数そのものが減り、稼ぎの条件は通信会社が決める。慎重な見方の指摘する財務の脆さは、自社株買いでさらに強まった。中立は店が 2 割減り、利益は利払いに削られる形に置き、確率は中立を 38%、悲観側に 37% を置いた。強気の見方の新しい稼ぎは楽観側に入れた。自己資本の薄さから、悲観の床は低く置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 916 円19 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 236 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 500 円10 億円、今との差 −69.4%、 期待の年率 −3.4%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 3,012 円61 億円 | 529 円11 億円 | +116.7% | +8.0% | 212 円4 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,674 円34 億円 | 371 円8 億円 | +25.2% | +2.3% | 389 円8 億円 |
| 中立 | 38% | 941 円19 億円 | 247 円5 億円 | −27.3% | −3.1% | 451 円9 億円 |
| やや悲観 | 22% | 218 円4 億円 | 148 円3 億円 | −77.6% | −13.9% | 81 円2 億円 |
| 悲観 | 15% | 76 円2 億円 | 49 円1 億円 | −92.3% | −22.6% | 19 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 916 円19 億円 | 236 円5 億円 | −29.5% | −3.4% | 1,152 円23 億円 |
今の株価時価総額 1,634 円33 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 残った店に客が集まり、写真の事業も黒字に戻る 利益 4 億円 · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 3,012 円61 億円
通信会社が店を絞る中で、プラザは閉じる代理店の店を引き取り、店の数をほぼ保つ。周りの店が消えた分の客が流れ込み、1 店の売上は物価を上回って伸びる。端末を買った後の月額のサービスと法人向けの手伝いが、毎月の稼ぎとして育つ。
写真の事業では、工作キットと会議ボックスが柱になり、黒字に戻る。営業利益は 9 億円近くに増え、借入は少しずつ減る。利払いの重さが和らぎ、ROE は資本コストを上回る。代理店の再編の勝ち残りとして、店の網の価値が見直される 10 年になる。富士フイルムとの写真の取引も続き、プリントの機械の更新で店の効率も上がる。
- モバイル(ドコモショップの運営):数量 70.0(携帯ショップの店の数(店))× 価格 3.00(1 店あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 210 億円・営業利益 11 億円。店 1.03 倍 × 1 店 1.33 倍、利益率 5%
- イメージング(パレットプラザ・つくるんです・One-Bo):数量 130(パレットプラザの店の数(店、フランチャイズを含む))× 価格 0.38(1 店あたり年の売上(億円・名目、卸と新商品を含む))→ 売上 49 億円・営業利益 2 億円。店 0.91 倍 × 1 店 1.40 倍、利益率 4%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.7% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.2 倍。全体の PER 12.18 倍、時価総額 52 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:通信会社が店を減らす中で店の数を保ち、写真の事業まで黒字に戻すには、代理店の再編で店を買い足すなどの手が要る。2027 年の第 1 四半期が赤字の中で、その筋は細いので 6% とした。
やや楽観 19% 店は少し減るが、1 店の稼ぎが上がる 利益 2 億円 · PER 10.9 倍 · 株価時価総額 1,674 円34 億円
通信会社の店の削減は続き、プラザの店は 1 割減る。ただ、周りの店が閉じた分の客が残った店に集まり、1 店の売上は物価並みに上がる。月額のサービスの加入が増え、手数料の条件の変化に振られにくくなる。
写真の事業は、店は減るが新しい商品で赤字を脱する。全社の営業利益は 6 億円ほどに戻り、利払いを払っても純利益は 2.5 億円前後になる。配当は少しずつ戻る。それでも ROE は資本コストにわずかに届かず、借金の上に乗った形は変わらない 10 年になる。借入は少しずつ返るが、店の改装の費用でその速さは緩い。
- モバイル(ドコモショップの運営):数量 62.0(携帯ショップの店の数(店))× 価格 2.93(1 店あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 181 億円・営業利益 8 億円。店 0.91 倍 × 1 店 1.30 倍、利益率 4.6%
- イメージング(パレットプラザ・つくるんです・One-Bo):数量 115(パレットプラザの店の数(店、フランチャイズを含む))× 価格 0.37(1 店あたり年の売上(億円・名目、卸と新商品を含む))→ 売上 42 億円・営業利益 1 億円。店 0.80 倍 × 1 店 1.34 倍、利益率 2.5%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.0% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 10.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.9 倍。全体の PER 10.86 倍、時価総額 27 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店は 1 年で 79 から 68 に減ったが、販売後の月額のサービスの加入は増えている。店の減りを 1 店の稼ぎで補う筋に 2 割弱を置いた。
中立 38% 店が 2 割減り、利益は利払いに削られる 利益 1 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 941 円19 億円
通信会社はネットでの契約と AI の案内に移り、プラザの携帯ショップは 10 年で 2 割減る。残った店には客が集まるが、手数料の条件は厳しくなり、1 店の売上は物価をやや下回るペースでしか上がらない。モバイルの利益率は 4% 台前半にとどまる。
写真の店は 3 割減り、新しい商品で赤字はなんとか止まる。本社の費用は物価とともに増える。全社の営業利益は 3.5 億円ほどで、金利の上がった借入の利払いが重く、純利益は 1.3 億円前後にとどまる。配当は細いまま続き、ROE は資本コストの半分ほどの 10 年になる。
- モバイル(ドコモショップの運営):数量 55.0(携帯ショップの店の数(店))× 価格 2.82(1 店あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 155 億円・営業利益 7 億円。店 0.81 倍 × 1 店 1.25 倍、利益率 4.3%(AI エージェント・ネット契約で店が減る)
- イメージング(パレットプラザ・つくるんです・One-Bo):数量 100(パレットプラザの店の数(店、フランチャイズを含む))× 価格 0.35(1 店あたり年の売上(億円・名目、卸と新商品を含む))→ 売上 35 億円・営業利益 0 億円。店 0.70 倍 × 1 店 1.30 倍、利益率 1%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.3% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 13 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:通信会社の店の削減と手数料の見直しが続き、写真の事業も縮む今の延長を中心に 4 割弱を置いた。
やや悲観 22% 手数料が削られ、赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 218 円4 億円
通信会社が手数料をさらに絞り、店の削減も早まる。プラザの携帯ショップは 3 分の 2 に減り、1 店の売上も物価に届かない。モバイルの利益率は 3% 台に下がる。
写真の事業は縮みが止まらず、フランチャイズの加盟店も抜けて赤字に戻る。営業利益は 1 億円を割り、金利の上がった借入の利払いを払うと赤字になる。配当は細り、借入の返済が経営の中心になる。家賃と人件費は売上が落ちても残り、店を閉じる費用もかかる。価値は事業の稼ぎでなく、店を他の代理店に譲って借入を返した後に残る額で測るしかない 10 年になる。
- モバイル(ドコモショップの運営):数量 45.0(携帯ショップの店の数(店))× 価格 2.70(1 店あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 122 億円・営業利益 4 億円。店 0.66 倍 × 1 店 1.20 倍、利益率 3.5%
- イメージング(パレットプラザ・つくるんです・One-Bo):数量 80.0(パレットプラザの店の数(店、フランチャイズを含む))× 価格 0.33(1 店あたり年の売上(億円・名目、卸と新商品を含む))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。店 0.56 倍 × 1 店 1.22 倍、利益率 −1%
倍率:赤字で稼ぐ力の床は使えない。店を譲り在庫と売掛を回収して借入を返した後に残る額に戻り方 0.5 を掛けた床 3.85 億円を、自己株買いの後の自己資本 15.4 億円の 0.25 倍にあたる。build の今の自己資本は 2026/03 末の 23.1 億円なので、その PBR 0.167 倍で書いた。EV で見ると、この床に純有利子負債 約 41 億円を足した約 45 億円は赤字の会社の営業利益の倍率では意味を持たず、借入を返し切れるかで測る筋になる。
確率:2027 年 3 月期の第 1 四半期はすでに赤字で、手数料の見直しは毎年のように起きている。利払いが増える中で赤字が続く筋は十分ありうるので 2 割強を置いた。
悲観 15% 通信会社が代理店を切り、借入が重荷になる 利益 −4 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 76 円2 億円
通信会社が店の大半をネットと直営に置き換え、代理店との契約を大きく絞る。プラザの携帯ショップは半分以下に減り、残る店も手数料が薄い。写真の店も 6 割に減り、赤字が広がる。
店を閉じる費用と減損で自己資本は数億円まで削られ、金融機関は融資の条件を厳しくする。配当は止まり、店を他の代理店に譲って借入を返す。価値は事業の稼ぎでも資産でもなく、再建の見込みの分しか残らない。借りたお金で自社株を買った判断が、株主の取り分を薄くした 10 年になる。写真の店もフランチャイズの加盟店が次々に抜け、卸の売上も細る。
- モバイル(ドコモショップの運営):数量 30.0(携帯ショップの店の数(店))× 価格 2.50(1 店あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 75 億円・営業利益 1 億円。店 0.44 倍 × 1 店 1.11 倍、利益率 1%
- イメージング(パレットプラザ・つくるんです・One-Bo):数量 60.0(パレットプラザの店の数(店、フランチャイズを含む))× 価格 0.30(1 店あたり年の売上(億円・名目、卸と新商品を含む))→ 売上 18 億円・営業利益 −1 億円。店 0.42 倍 × 1 店 1.10 倍、利益率 −5%
倍率:赤字で自己資本の大半が消える筋なので、稼ぐ力の床も資産の床も使えない。再建の見込みの分として、自己株買いの後の自己資本 15.4 億円の 0.1 倍の 1.54 億円にとどめた。build の今の自己資本は 2026/03 末の 23.1 億円なので、その PBR 0.067 倍で書いた。
確率:借入は自己資本の 4 倍あり、店の網が一気に縮めば財務が持たない。通信会社の方針一つで起きうる筋なので 15% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
モバイル(ドコモショップの運営)
通信会社の代理店としてドコモショップを運営し、端末の販売と回線の契約の取り次ぎで手数料を得る。
| 数量携帯ショップの店の数(店) | 価格1 店あたり年の売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 68.0 | 2.25 | 153 | 7 |
| 10 年後 中立 | 55.0 | 2.82 | 155 | 7 |
取り方:2026/03 期末の店の数 68(開示)でモバイル事業の売上 153.19 億円を割った。期中に 79 店から減ったので、期末の数で割ると 1 店の売上は少し高めに出る。営業利益は開示のセグメント利益。
イメージング(パレットプラザ・つくるんです・One-Bo)
写真プリントの「パレットプラザ」のフランチャイズと直営の店、ダビング、工作キット、1 人用の会議ボックス。
| 数量パレットプラザの店の数(店、フランチャイズを含む) | 価格1 店あたり年の売上(億円・名目、卸と新商品を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 143 | 0.27 | 39 | −1 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.35 | 35 | 0 |
取り方:2026/03 期末のパレットプラザ 143 店(フランチャイズ 126・直営 17、開示)でイメージング事業の売上 38.84 億円を割った。工作キットや会議ボックスの売上も含む。
リスクと懸念
通信会社の店の削減
通信会社はネットでの契約と AI エージェントの案内を広げ、店の数を絞っている。代理店の店は通信会社の方針一つで閉じることになり、モバイルの売上の土台がそのまま細る。
手数料の条件の見直し
手数料と奨励金の額、店に求める回線の目標は通信会社が決める。2026 年も見直しで販売のイベントの費用を賄えなかった。条件が厳しくなれば、2% に満たない利益率はすぐに消える。
重い借入と金利の上昇
借入は 60 億円で、自己資本は 15 億円しかない。短期の借入が多く、金利が上がるたびに利払いが増える。営業利益が 3 億円前後なので、利払いの増加がそのまま純利益を消す。
写真プリントの縮小
年賀状は 1 年で 3 割近く減り、スマートフォンの写真をプリントする人も減り続ける。ダビングは一度きりの需要で、テープが無くなれば終わる。フランチャイズの店も 1 年で 31 店減った。
家賃の固定の約束
携帯ショップと直営の写真の店は借りた店舗で、家賃は売上が落ちても払い続ける。店の売上が減る局面では、家賃と人件費が固定費として残り、赤字が広がる。
今後の分かれ目
- モバイルのセグメント利益率が 5% を超えて 2 年続いたら
- 残った店に客が集まり、月額のサービスが稼ぎになっている証拠とみて、やや楽観に重みを移す。
- 通信会社が代理店の店の削減をさらに進め、プラザの店が 60 を割ったら
- モバイルの数量の前提を下げ、やや悲観に寄せる。
- イメージング事業が黒字に戻り、続いたら
- 写真の店の網を使った新しい商品が柱になったとみて、中立の利益を上げる。
- 借入を減らし、自己資本比率が 2 割を超えたら
- 金利の重さが和らぐとみて、k の借金の上乗せを見直す。
- 携帯ショップの事業を他の代理店に売る、または買う再編が起きたら
- 売る値段と残る事業の稼ぎを比べて、価値を見直す。
見ておくもの
- 携帯ショップの店の数と 1 店の売上
- モバイルのセグメント利益率と通信会社の手数料の条件
- パレットプラザの店の数とイメージングの損益
- 借入と自己資本比率の推移
- 販売後サポートの月額サービスの加入者数
倍率と資本コストの決め方
倍率は k 10% と各筋書きの ROE から決めた。中立とやや楽観は ROE が k に届かないので 1÷k の 10.3 倍を上限にし、楽観は正当化 PER の式(残る割合 1/2・g 4%)の 8 割に置いた。今の PER(約 17 倍)や過去の株価、優待の人気は使っていない。純利益÷営業利益は過去の中央値 0.39 を基本に、借入の利払いの増加を入れた。携帯ショップは AI エージェントとネットでの契約の広がりで店の数を中立 0.81 倍に置いた。家賃は営業費用に入れた今の形でそろえ、2028 年 3 月期からの新リース会計で借入の見かけが増える点は形だけの違いとみた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 8.85→12.18 倍・やや楽観 PER 9.5→10.86 倍・中立 PER 9→10 倍)。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。