結論
要興業は、東京23区の企業や店舗から出るごみを集めて処理する会社だ。売上は150億円、営業利益は21億円で4期続けて最高益になった。純現金は51億円あり、時価総額の4分の1にあたる。筆者の結論は、本質価値は今の値段とほぼ並ぶ、というものだ。
事業は、事業系ごみの収集運搬と処分が売上の約7割、23区から請け負う行政受託が約2割、資源を売るリサイクルが1割弱だ。回収する現場は8千か所を超え、顧客は3,800社を数える。1社への依存は小さく、上位10社でも売上の2割にとどまる。
利益率は14%で、同業の中でも高い。ただ、近年は資源相場の下落、燃料費、人件費の増加が粗利率を削っている。2027年3月期は純利益が減る予想だ。
株主還元は控えめだ。配当性向は3割前後で、自社株買いはしていない。現金は積み上がる一方で、それが株主に戻るかは経営次第だ。2025年には産廃大手の大栄環境が約18%の議決権を持つ株主になった。筆者は、この提携を、将来の再編の含みを持つ材料として受け止める。
2027年3月期の会社予想は、売上が156億円、営業利益が22億円、純利益が15億円だ。第1四半期は営業利益が1割以上伸びた。本業は堅調だが、純利益は前の期より少し減る見通しで、伸びの勢いは強くない。値段が妥当かどうかは、この現金の使い方と、再編の行方にかかっている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「地味だが、確実に稼ぐ会社」だ。ごみの回収は、景気が悪くても止まらない。顧客も分散しており、1社が抜けても痛くない。借金がなく、倒産に遠い。
オーナーの手に残るお金は多い。設備投資は年12億円で、減価償却の水準とほぼ並ぶ。利益の大半が、本来は自由に使える額になる。それでも配当は3割にとどまり、残りは現金として積み上がっている。この現金をどう使うかが、経営の評価の分かれ目になる。
問題は値段だ。今の時価総額は、現金を引くと事業を14倍ほどの利益で見ている。成長が物価並みなら、妥当な水準といえる。安全域は、現金の厚みを除けばほぼ無い。
筆者は、値段が今より2割ほど下がるか、還元の方針が強まるなら、買う理由が増えると見る。どちらも無いうちは、堅実な持ち物ではあっても、割安とはいえない。
経営者の資本配分は、保守的に見える。借金を使わず、現金を積み上げ、配当も3割にとどめている。創業家に近い大株主が長く持つ構造で、少数株主への配分は後回しになりやすい。ただし、大栄環境という産廃大手が株主に加わった点は、規律が働く材料になりうる。
何で稼ぐ会社か
要興業は、東京23区の都市部で、ごみの収集から処理までを一貫して担う会社だ。顧客は、オフィス、商業施設、飲食店、工場、集合住宅などだ。出たごみを定期的に回収し、自社のリサイクルセンターや、23区が運営する清掃工場へ運ぶ。
売上は三つに分かれる。収集運搬・処分は2026年3月期で約102億円と、全体の約7割を占める。産業廃棄物と事業系一般廃棄物を、契約先ごとに決まった曜日に回収する仕事だ。リサイクルは約13億円で、集めた金属・紙・プラスチックなどを選別して売る。売値は資源相場に連動する。行政受託は約34億円で、足立・板橋・中野・荒川・豊島・台東区などの不燃ごみ、容器包装、粗大ごみを請け負う。大田区からは、家庭系プラスチックの収集も新たに受託した。
現場は8,235か所、顧客は3,848社だ。上位10社の売上比率は20.4%で、特定の顧客への依存は小さい。自社のリサイクルセンターは8か所、収集車両は477台、ドライバーは約420名、従業員は467名だ。
収益の柱は、地域に密着した回収網である。集めるほど1台あたりの走行距離が短くなり、効率が上がる。東京23区では、処理場の確保が難しく、回収網と処分先を持つ会社は限られる。ただし単一の事業として開示され、営業利益は分けて見られない。
単一の事業として開示されるため、営業利益は分野ごとに見えない。筆者は、全社の営業利益率14%を各分野に按分して推計した。2027年3月期の会社予想では、収集運搬・処分が約107億円、リサイクルが約14億円、行政受託が約35億円へ伸びる。収集運搬の足元の回収現場は前の期より61か所、顧客は53社増え、地道な積み上げが続いている。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、東京23区という密度の高い市場で、回収網と処分先を長年かけて作った点だ。ごみは毎日出るので、収入は景気に左右されにくい。顧客数は増え続けており、2026年3月期は53社の純増だった。営業利益率は14%で、廃棄物処理の同業の中でも高い。4期連続で営業利益は最高を更新した。
財務は堅い。自己資本比率は約8割で、純現金は51億円ある。5年前の21億円から、倍以上に増えた。借金はなく、倒産の心配は小さい。
弱点は、成長が緩やかなことだ。売上の伸びは年3〜4%で、営業利益は2026年3月期にほぼ横ばいだった。粗利率は23.1%と、前の期より0.2ポイント下がった。資源相場、燃料費、人件費が重い。ドライバーの確保は、東京でも難しくなっている。
経営は堅実だが、還元は控えめだ。配当性向は約3割で、自社株買いは確認できない。大栄環境との提携は前向きに評価できるが、実際の収益への貢献はこれからだ。筆者は、守りの質は高く、攻めの伸びは物価並みと評価する。
参入の壁も実在する。東京23区で一般廃棄物を扱うには自治体の許可が要り、処分先の清掃工場の枠にも限りがある。新しい会社が同じ回収網を作るには、車両、人、処分先の確保に長い時間がかかる。この壁が、利益率14%を支える土台だ。
ただし、壁は価格を自由に決められるほど高くはない。顧客は料金の改定に敏感で、改定は契約先ごとの交渉になる。値上げの通りやすさは、ここ数年の人手不足で改善したが、競合との関係でいつまでも続くとは限らない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
産業廃棄物の市場は、国内でおよそ5兆円とされる。排出量は景気や人口で大きく変わらず、需要の底は堅い。一方で、数量はほぼ横ばいか微減だ。成長の源は、物価の上昇による価格の改定と、法令の強化による処理費の上昇にある。
東京23区の事業系ごみは、地価が高く新しい処分場が作りにくいので、供給が絞られている。回収の免許と処分先を持つ会社は、新規参入に対して守られている。ただ、競合は小さな地場の会社から、全国規模の大手まで多い。大栄環境、タケエイ、環境管理センターなどが関東で営業する。
ここ数年は、人手不足が価格の追い風にもなっている。ドライバーの賃金が上がり、廃棄物処理業界全体で、料金の値上げが受け入れられつつある。要興業も、契約先ごとに年次の改定を進めている。
資源物は事情が違う。金属や紙の相場は、海外の需要と為替で大きく振れる。2026年3月期は相場が下がり、リサイクルの売上は1%ほど減った。行政の受託は、入札で単価が決まる。応札する会社が多い区では、競争で利益率が薄くなる。
プラスチックのリサイクルは、国の法律が整い、需要が増える領域だ。大栄環境との提携は、ここを狙っている。ただし、設備の投資が先に必要で、収益への貢献が出るのは数年先になる。
業界の構造として、廃棄物処理は規制産業であり、許可と処分先を持つ会社の力が強い。大手による中小の買収が続いており、再編が進む領域だ。大栄環境が要興業の株を取得したのも、この流れの中にある。買う側にとっては、東京23区の回収網が魅力となる。
需要の見通しは、人口が減る中でも、事業所の数や排出量は急には減らない。ごみの分別が細かくなるほど、処理の手間が増え、処理費が上がる。この点は、価格を上げる要因として働く。ただし、排出する顧客が減量を進めれば、数量は伸びにくい。
資本政策と M&A
配当は、2026年3月期も2027年3月期の予想も、同じ水準で、配当性向は約3割だ。自社株買いは、確認できる範囲では行っていない。株数は直近で動いていない。純利益の7割が手元に残り、純現金は5年で21億円から51億円に増えた。
設備投資は年に12億円ほどで、車両、リサイクルセンター、機械が中心だ。自己資本は208億円で、比率は約8割になる。借金はほとんどない。
2025年10月、産廃大手の大栄環境が、ファンドの保有する約284万株を取得し、議決権の約18%を持つ株主になった。持分法の関連会社となり、プラスチックの再資源化と、産業廃棄物と一般廃棄物の一体処理で提携する。報道には取得後の保有をもっと高く示すものもあり、数字には食い違いがある。ここでは開示に近い約18%を使う。
そのほかの大株主は、創業家に近い個人や法人、日本生命などだ。続柄などは、確認できる出典が無いので書かない。
株主優待は、確認できる範囲では無い。中期計画の更新は開示されておらず、資本政策の次の姿は見えにくい。筆者は、現金が積み上がる会社として、還元の強化か、再編による再配分のどちらかがいずれ起きると見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
東京の再開発とごみ処理の集約が、追い風になる。これが上振れの核心だ。23区の事業系ごみは、処分場が絞られているので、回収網を持つ会社は、値上げを受け入れてもらいやすい。要興業は、顧客を毎年50社ほど増やし、1現場あたりの売上も上げられる。営業利益率は14%から15%に近づく。
大栄環境との提携が実を結べば、規模の利益が出る。プラスチックの再資源化と、産業廃棄物と一般廃棄物を一体で処理する仕組みが、新しい収益を生む。行政受託も、家庭系プラスチックの拡大で伸びる。
現金の厚みも材料だ。純現金は51億円あり、10年で100億円を超える。経営がこれを株主に戻す方向に動けば、1株あたりの価値は大きく増える。大栄環境による株式の買い増しや、TOB(株式公開買い付け)が起きれば、上乗せの価格が付きうる。
この道筋では、純利益は10年で26億円ほどに伸びる。今の値段は、そこまでを織り込んでいない。
行政受託の拡大も上振れの要因だ。23区は家庭系プラスチックの分別収集を広げており、足立・板橋・中央・大田など受託区が増えている。子会社ヨドセイが運搬を担い、受託の実績が新しい区の入札で評価される。景気に左右されない収入が増え、利益の安定感が増す。
慎重な見方
利幅が戻らない。これが慎重な見方の核心だ。営業利益は2026年3月期にほぼ横ばいで、粗利率は下がった。資源相場、燃料費、人件費が先に上がり、料金の改定が追いつかない。2027年3月期の純利益は、会社も減ると予想している。
人手不足は深刻だ。ドライバーの確保が難しく、賃金の上昇が利益を削る。車両や機械の更新も、物価の分だけ重くなる。行政の受託は入札で決まり、競争が強まれば単価が下がる。
資源物の相場は、海外の需要や為替で大きく振れる。リサイクルの利益は、簡単に消える。プラスチックの再資源化は、設備の投資が先に必要で、回収できる保証は無い。
さらに、現金の使い方が見えない。純現金は積み上がるが、配当性向は3割で、自社株買いも無い。大栄環境との提携が、思ったほど収益に結びつかなければ、現金は寝たままで、株主の取り分は増えない。資本の効率は、むしろ下がっていく。
最後に、再編の含みは必ずしも少数株主に有利ではない。大栄環境が約18%を持つ株主となったのは、将来の主導権を握るための布石かもしれない。買い付け価格が低く提示されれば、少数株主の取り分は小さくなる。現金も、事業の拡大や買収に使われ、株主に戻らない可能性がある。
どちらに重みを置いたか
どちらの言い分にも根拠がある。堅い回収網と厚い現金は事実で、倒産の心配は小さい。ただ、成長は物価並みで、利益率の向上は限られている。確率は、中立に4割弱、やや悲観に2割強を置いた。悲観は、料金の改定が通らず、ドライバー不足と競争で利益が半分以下に崩れる姿として1割を置いた。楽観とやや楽観は合わせて3割。大栄環境との再編の含みが、上振れの余地を残している。 筆者は、本業の堅さと現金の厚みを高く評価しつつ、還元が薄い点と成長が物価並みの点を割り引いた。値段が今と大きく変わらないなら、保有を続ける価値はあるが、強く買い増す理由にはならない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,212 円351 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 403 円64 億円)。 今の値に割り戻すと 1,472 円234 億円、今との差 +19.7%、 期待の年率 +7.8%(資本コスト 6.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,199 円508 億円 | 599 円95 億円 | +208.8% | +11.9% | 304 円48 億円 |
| やや楽観 | 22% | 2,970 円471 億円 | 504 円80 億円 | +182.4% | +10.9% | 764 円121 億円 |
| 中立 | 38% | 2,627 円417 億円 | 410 円65 億円 | +146.9% | +9.5% | 1,154 円183 億円 |
| やや悲観 | 22% | 1,195 円190 億円 | 315 円50 億円 | +22.7% | +2.1% | 332 円53 億円 |
| 悲観 | 10% | 413 円66 億円 | 189 円30 億円 | −51.0% | −6.9% | 60 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,212 円351 億円 | 403 円64 億円 | +112.5% | +7.8% | 2,614 円415 億円 |
今の株価時価総額 1,230 円195 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 6.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 都市部の値上げが通り、大栄環境の提携が実る 利益 26 億円 · PER 18.3 倍 · 株価時価総額 3,199 円508 億円
売上は10年で5割ほど増え、230億円を超える。回収現場は1割以上増え、1現場あたりの売上も、物価の分だけ上がる。行政受託は家庭系プラスチックで伸び、数量が2割以上増える。
営業利益率は15%に近づく。値上げが通り、回収の効率が上がる。大栄環境との提携で、プラスチックの再資源化が新しい収益になる。営業利益は34億円ほど、純利益は26億円ほどになる。
還元は10年で95億円と、今の方針の延長で増える。純現金は大きく積み上がる。大栄環境による再編の含みが、価格の上乗せを呼ぶ。
行政受託は家庭系プラスチックの分別拡大で厚みを増し、リサイクルの売上も相場の回復で伸びる。人件費の上昇は料金の改定で吸収でき、粗利率は改善に向かう。
- 収集運搬・処分:数量 9,388(定期回収の現場数(か所))× 価格 1.34(1現場あたり売上の指数(収集・処分単価と、1現場あたり排出量の積。今を1。物価と処分費の上昇で上がり、排出量の減少で下がる))→ 売上 156 億円・営業利益 23 億円。数量 1.14 倍・価格 1.34 倍、営業利益率 15.0%
- リサイクル:数量 0.0(資源物の取扱量(今の相場で測った兆円))× 価格 1.34(資源物の売値(相場)を今を1とした指数)→ 売上 20 億円・営業利益 3 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍、営業利益率 14.0%
- 行政受託:数量 0.0(行政からの受託量(今の単価で測った兆円))× 価格 1.34(受託単価を今を1とした指数(契約の改定と入札競争で動く))→ 売上 57 億円・営業利益 8 億円。数量 1.25 倍・価格 1.34 倍、営業利益率 14.0%
倍率:事業の純利益 25 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.1% が k 6.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.3%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)58 億円。全体の PER 18.26 倍、時価総額 508 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:都市部の値上げが通り、大栄環境との提携が収益に結びつく姿として、1割弱を置いた。
やや楽観 22% 回収網が広がり、利益率が少し上がる 利益 24 億円 · PER 17.9 倍 · 株価時価総額 2,970 円471 億円
売上は10年で5割弱増え、220億円ほどになる。回収現場は1割ほど増え、価格は物価並みに上がる。リサイクルは相場が安定し、行政受託は1割台後半伸びる。
営業利益率は14%台後半になる。値上げが定着し、人件費の増加を吸収する。営業利益は32億円ほど、純利益は24億円ほどになる。
還元は10年で80億円に増え、純現金も積み上がる。事業の伸びは中立より少し強く、現金の厚みが評価される。
行政受託では新しい区の案件が積み上がり、家庭系プラスチックの収集が広がる。顧客数は毎年50社前後ずつ増え、回収網の密度が高まって、1台あたりの走行効率が改善する。人件費の上昇は料金の改定でほぼ吸収できる。
営業利益率は小幅に上がり、粗利の改善が続く。
- 収集運搬・処分:数量 9,141(定期回収の現場数(か所))× 価格 1.34(1現場あたり売上の指数(収集・処分単価と、1現場あたり排出量の積。今を1。物価と処分費の上昇で上がり、排出量の減少で下がる))→ 売上 152 億円・営業利益 22 億円。数量 1.11 倍・価格 1.34 倍、営業利益率 14.5%
- リサイクル:数量 0.0(資源物の取扱量(今の相場で測った兆円))× 価格 1.25(資源物の売値(相場)を今を1とした指数)→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。数量 1.05 倍・価格 1.25 倍、営業利益率 13.0%
- 行政受託:数量 0.0(行政からの受託量(今の単価で測った兆円))× 価格 1.34(受託単価を今を1とした指数(契約の改定と入札競争で動く))→ 売上 54 億円・営業利益 7 億円。数量 1.18 倍・価格 1.34 倍、営業利益率 13.5%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.6% が k 6.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)70 億円。全体の PER 17.93 倍、時価総額 471 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:回収網が広がり、利益率が少し上がる姿として、2割強を置いた。
中立 38% 売上は物価並みに伸び、利益率は今の水準を保つ 利益 21 億円 · PER 17.3 倍 · 株価時価総額 2,627 円417 億円
売上は10年で4割強増え、210億円ほどになる。数量の伸びは1割に満たず、残りは物価の分だ。収集運搬の現場は1割弱増え、価格が3割上がる。リサイクルは相場が物価ほど上がらず、行政受託は1割台で伸びる。
営業利益率は13%台前半と、足元の14%から少し下がる。人件費と燃料費が、料金の改定を少し上回る。営業利益は28億円ほど、純利益は21億円ほどになる。
還元は10年で65億円と、今の方針のままだ。設備投資は年12億円前後で、減価償却は今ある設備の分は取得時の値段のまま、新しい設備の分だけ物価込みで積み上がる。純現金は100億円ほどに増える。
大栄環境との提携は、収益を押し上げるまでには至らず、株主としての関係にとどまる。配当性向は3割前後が続き、現金は着実に積み上がる。
- 収集運搬・処分:数量 8,894(定期回収の現場数(か所))× 価格 1.30(1現場あたり売上の指数(収集・処分単価と、1現場あたり排出量の積。今を1。物価と処分費の上昇で上がり、排出量の減少で下がる))→ 売上 144 億円・営業利益 20 億円。数量 1.08 倍・価格 1.30 倍、営業利益率 13.8%
- リサイクル:数量 0.0(資源物の取扱量(今の相場で測った兆円))× 価格 1.20(資源物の売値(相場)を今を1とした指数)→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。数量 1.00 倍・価格 1.20 倍、営業利益率 12.0%
- 行政受託:数量 0.0(行政からの受託量(今の単価で測った兆円))× 価格 1.30(受託単価を今を1とした指数(契約の改定と入札競争で動く))→ 売上 49 億円・営業利益 6 億円。数量 1.12 倍・価格 1.30 倍、営業利益率 13.0%
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 6.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)78 億円。全体の PER 17.34 倍、時価総額 417 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:売上が物価並みに伸び、利益率が今の水準を保つ最も確からしい姿として、4割弱を置いた。
やや悲観 22% 人件費と燃料費が先に上がり、利幅が薄くなる 利益 15 億円 · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 1,195 円190 億円
売上は10年で3割強増え、185億円ほどになる。回収現場は微増にとどまり、価格は物価を少し下回る。リサイクルは相場が冴えず、行政受託は入札で単価が上がりにくい。
営業利益率は11%まで下がる。ドライバーの賃金と燃料費が先に上がり、料金の改定が追いつかない。営業利益は20億円ほど、純利益は15億円ほどになる。
還元は10年で50億円に落ち、設備投資の負担も重くなる。純現金は今より少し多い程度にとどまる。
設備投資は車両の更新と、リサイクルセンターの維持で年12億円を上回りやすい。純利益の伸びは物価に届かず、配当性向を保っても、還元の絶対額は増えない。大栄環境との提携の効果も、収益に出るまで時間がかかる。
- 収集運搬・処分:数量 8,400(定期回収の現場数(か所))× 価格 1.22(1現場あたり売上の指数(収集・処分単価と、1現場あたり排出量の積。今を1。物価と処分費の上昇で上がり、排出量の減少で下がる))→ 売上 127 億円・営業利益 15 億円。数量 1.02 倍・価格 1.22 倍、営業利益率 11.5%
- リサイクル:数量 0.0(資源物の取扱量(今の相場で測った兆円))× 価格 1.05(資源物の売値(相場)を今を1とした指数)→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。数量 0.95 倍・価格 1.05 倍、営業利益率 8.0%
- 行政受託:数量 0.0(行政からの受託量(今の単価で測った兆円))× 価格 1.20(受託単価を今を1とした指数(契約の改定と入札競争で動く))→ 売上 43 億円・営業利益 4 億円。数量 1.05 倍・価格 1.20 倍、営業利益率 10.0%
倍率:事業の純利益14.2億円・事業 ROE 5.3% は k 6.5% 以下なので、上限は 1÷k=14.3倍。稼ぎが資本コストに届かない姿で、上限の約7.7割の11.0倍に置いた。
確率:人件費と燃料費の上昇に、料金の改定が追いつかない姿として、2割強を置いた。
悲観 10% 料金が改定できず、人手不足と競争で利益が半分以下になる 利益 7 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 413 円66 億円
ドライバー不足で回収を絞り、人件費の上昇を料金に載せられない。競合に押されて価格が崩れ、行政受託の入札でも負ける。リサイクルの相場は下がったままだ。
売上は10年で1割弱しか増えず、物価を大きく下回る。営業利益率は7%まで下がる。営業利益は10億円を割り、純利益は7億円ほどになる。
還元は10年で30億円に抑えられ、純現金も取り崩される。回収網と現金は残るが、稼ぐ力は半分以下に細る。
大栄環境との提携は進まず、再編の含みも消える。現金は人件費の穴埋めと設備の更新に使われる。1現場あたりの売上は物価に負け、10年で1割しか上がらない。ごみの回収はなくならないが、事業の旨みは薄れていく。
大口の顧客が離れる動きも出る。
- 収集運搬・処分:数量 7,576(定期回収の現場数(か所))× 価格 1.10(1現場あたり売上の指数(収集・処分単価と、1現場あたり排出量の積。今を1。物価と処分費の上昇で上がり、排出量の減少で下がる))→ 売上 104 億円・営業利益 8 億円。数量 0.92 倍・価格 1.10 倍、営業利益率 7.5%
- リサイクル:数量 0.0(資源物の取扱量(今の相場で測った兆円))× 価格 0.95(資源物の売値(相場)を今を1とした指数)→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。数量 0.85 倍・価格 0.95 倍、営業利益率 3.0%
- 行政受託:数量 0.0(行政からの受託量(今の単価で測った兆円))× 価格 1.05(受託単価を今を1とした指数(契約の改定と入札競争で動く))→ 売上 32 億円・営業利益 2 億円。数量 0.90 倍・価格 1.05 倍、営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益6.8億円・事業 ROE 2.5% は k 6.5% 以下なので、上限は 1÷k=14.3倍。構造的に稼ぐ力が細った筋書きで、上限の約5.6割の8.0倍に置いた。厚い現金は余った現金として別に足している。
確率:10年の悲観は、ドライバー不足、競争、相場の下落が重なり、利益が半分以下に崩れる姿。回収網と現金は残るので、1割とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
収集運搬・処分
東京23区の企業・店舗・オフィスから産業廃棄物と事業系一般廃棄物を回収し、自社施設や清掃工場で処理する。売上の約7割。
| 数量定期回収の現場数(か所) | 価格1現場あたり売上の指数(収集・処分単価と、1現場あたり排出量の積。今を1。物価と処分費の上昇で上がり、排出量の減少で下がる) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8,235 | 1.00 | 102 | 14 |
| 10 年後 中立 | 8,894 | 1.30 | 144 | 20 |
取り方:回収現場は2026年3月期で8,235か所(前期より61か所増)。1現場あたりの年間売上は約124万円(102.27億円÷8,235)。数量は現場数、価格は1現場あたり売上の指数で今を1。1現場あたりの排出量が減る分は価格の側に含めた(中立の価格1.30倍=物価1.34倍×排出量0.97倍)。営業利益は開示が無い(単一セグメント)ので、全社の営業利益率14.1%で按分した。
リサイクル
回収した金属・紙・プラスチックなどの資源物を選別して売る。売値は資源相場に連動する。
| 数量資源物の取扱量(今の相場で測った兆円) | 価格資源物の売値(相場)を今を1とした指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.0 | 1.00 | 13 | 2 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 1.20 | 16 | 2 |
取り方:開示に取扱量と相場が無いので、取扱量は今の売上13.4億円分(0.00134兆円)を基準にした推計とする。相場は物価ほどは上がらず、振れが大きい。営業利益は全社の営業利益率14.1%で按分した。
行政受託
東京23区から不燃ごみ、容器包装、粗大ごみ、家庭系プラスチックなどの収集と資源化を受託する。子会社ヨドセイが運搬を担う。
| 数量行政からの受託量(今の単価で測った兆円) | 価格受託単価を今を1とした指数(契約の改定と入札競争で動く) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.0 | 1.00 | 34 | 5 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 1.30 | 49 | 6 |
取り方:開示に受託量が無いので、取扱量は今の売上33.81億円分(0.003381兆円)を基準にした推計とする。大田区の家庭系プラ受託などで拡大中。営業利益は全社の営業利益率14.1%で按分した。
リスクと懸念
ドライバー不足と人件費
収集車両の運転手は、東京でも確保が難しい。従業員467名のうちドライバーが約420名で、賃金が上がれば直接利益を削る。2026年3月期の粗利率は、前の期より0.2ポイント下がった。料金の改定で吸収できなければ、営業利益率の14%は守れない。外部の人材会社への依存が強まれば、費用はさらに膨らむ。
資源相場の下落
リサイクルは売上の1割弱で、売値は金属や紙の相場に連動する。2026年3月期は相場が下がり、売上が1%減った。相場は海外の需要と為替で大きく振れる。利益率が1ケタ台に落ちる年もありうる。リサイクルの利益は小さくても、相場の下落は粗利率の低下に直結する。2026年3月期は、この動きが粗利率を0.2ポイント押し下げた理由の一つだった。
行政受託の入札と単価
行政受託は売上の約2割で、入札で単価が決まる。競合が増えると、価格が下がる。大田区の家庭系プラスチックなど新規の案件は伸びても、入札で負ければ数量を失う。区ごとの契約の期間にも注意が要る。受託の売上は、2027年3月期に約35億円へ伸びる予想だが、これは大田区など新規の案件に支えられている。更新の入札で単価を下げて取る場合、利益率は下がる。
燃料費・車両費の上昇
収集車は燃料を大量に使い、車両の更新費も物価で上がる。設備投資は年12億円ほどで、これが重くなれば、自由に使える現金が減る。燃料費の転嫁には時間差がある。収集運搬は走行距離が長いほど燃料が増え、渋滞や排ガス規制も費用を押し上げる。電動の収集車への入れ替えが義務化されれば、投資負担がさらに重くなる恐れもある。
大栄環境との提携の不確実性
大栄環境は約18%の議決権を持つ関連会社だ。提携は前向きでも、収益への貢献は不明だ。大栄環境が持ち分を増やせば、少数株主の利益と食い違う場面も出る。TOBが起きる場合、価格は交渉次第で決まる。大栄環境は上場会社で、自社の都合で提携を深めることも、薄めることもできる。要興業の経営と大株主の利害が一致する保証は無い。
現金のため込み
純現金は51億円で、時価総額の約26%に当たる。配当性向は3割前後で、自社株買いは無い。現金が積み上がるほど、自己資本利益率は下がる。使い道が示されなければ、本質価値より低い値段が続く恐れがある。一方、現金を使った買収や設備投資が失敗すれば、積み上げた現金が一度に減る。使い道が示されない現状は、判断が難しい。
今後の分かれ目
- 配当性向の目標が引き上げられ、自社株買いが始まった
- 還元の合計を上方に直し、余った現金の戻り方を半分から満額に近づける。
- 大栄環境が持ち分を高めると発表した
- TOB など再編の確率を上げる。楽観とやや楽観の確率を厚くする。
- 営業利益率が2期続けて15%を超えた
- 料金の改定が定着したと判断し、中立の利益率を上方に直す。
- 粗利率が22%を割り込み、ドライバーの退職が続いた
- 人件費の転嫁に失敗したと判断し、やや悲観と悲観の確率を厚くする。
- 大田区など行政受託の入札で、他社に負けて数量が減った
- 行政受託の数量を下方に直す。悲観の確率を上げる。
- プラスチックの再資源化の設備投資が発表され、金額が年12億円を大きく上回った
- 自由に使える現金が減るので、還元と余った現金の見通しを下方に直す。
見ておくもの
- 営業利益率・粗利率(2027年3月期は営業利益21.9億円の予想)
- 回収現場数と顧客数(2026年3月期は8,235か所・3,848社)
- 配当性向と自社株買いの有無
- 大栄環境の持ち分と提携の進み方
- 純現金の水準(2026年3月期は50.6億円)
- 行政受託の単価と新規の受託区
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価に寄せず、式と事業の経済性から置いた。資本コストは6.5%(基本7.5%、quality −0.5%)。中立の事業 ROE は k を1.7ポイントほど上回るので、正当化 PER の約9割の14.4倍に置いた。余った現金は、月商1.7か月分の備えを引いた30億円を、戻り方を半分と見て足した。持ち合い株は無い。大栄環境の株式は持っていないので、含み益の資産は無い。自己株式の取得は無い。優待は無い。賃借料は小さく、新リース会計の影響は軽い。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 15.5→18.26 倍・やや楽観 PER 15→17.93 倍・中立 PER 14.4→17.34 倍)。
資本コスト 6.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality を足した(決まり v2)。個別の事業リスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.00% → 6.50%。