結論
売れるネット広告社グループは、D2C向けの広告支援から出発し、通信機器レンタル、健康食品通販、ソフト開発、携帯通信、コールセンターへ買収で広がった会社である。結論は「割高」だ。2027年の大幅増収と黒字化計画を考慮しても、長期株主に帰属する利益が現在の時価総額約38.5億円を支える確信は持てない。
2026年7月期は売上16.61億円に対して営業損失5.43億円、親会社株主に帰属する損失11.07億円を計上した。以前には営業黒字転換を見込んだ時期もあったが、実際には3期連続の営業赤字となった。2027年7月期の会社予想は売上50.04億円、営業利益2.02億円、純利益1.30億円であり、その大半は新たな連結会社の取り込みを前提とする。
筆者が重く見るのは、売上を買うことと一株当たりの価値を増やすことの違いである。2026年8月の株式交付で発行済株式は約963万株となり、さらに大規模な第三者割当の検討が開示された。買収した携帯通信会社の過去の利益率はごく薄い。広告制作・運用や画面中心のソフトにはAIエージェントによる代替も及ぶため、収益性が飛躍的に改善するとは決めつけられない。
反面、JCNTの年間8万台を超える法人レンタル実績と、国際漢方研究所の商品・顧客基盤には実業の手触りがある。重要なのは買収後の現金利益と既存株主の持分が同時に増えることである。10年先に黒字で生き残っても、買収先の低い採算や追加増資が続けば、いまの株価に十分な安全域は生まれない。5つの筋書きによる現在の本質価値は約4億円で、時価総額を約90%下回る。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が買いたいのは、会社の売上ではなく、事業に必要な資金を残した後も毎年繰り返し自分の持分へ帰ってくる現金利益である。その意味で、買収を重ねて売上を数倍にする成長戦略は、見栄えほど判断しやすくない。取得代金を新株で払えば既存株主の取り分が減り、借金で払えば稼ぎの安定性が問われる。
顧客が広告効率の改善を理由に手数料を払い続けるなら、最初の広告支援業には価値がある。しかし広告媒体自身が制作と配信を自動化し、顧客がAIに直接指示するようになれば、画面や人の時間で稼ぐ仕組みは縮む。現時点では、解約率や長年の値上げ実績という強い堀の証拠がない。既存のノウハウを高価な永久収益として扱うことはできない。
むしろ興味を引くのはJCNTの教育旅行への納入実績と、健康食品のブランド・顧客基盤である。これらは取引先との関係と物の受け渡しが伴い、AIによる全面的な置換は起こりにくい。ただし機器レンタルはeSIMに脅かされ、商品販売は広告費と返品、品質管理、法規制に利益が左右される。大事なのはそれぞれの利益率と運転資金だ。
筆者なら、2027年の黒字化発表だけでは安全域を認めない。減損が止まり、少数株主持分を除く利益が積み上がり、株式を増やさずに成長できることを数年確認したい。いまの会社には成長の可能性はあるが、10年間利益を再投資した時の利回りが資本コストを超え続けると信じるだけの証拠が足りない。
何で稼ぐ会社か
収益の出発点は、化粧品・健康食品などの直販会社を顧客とするマーケティング支援である。「売れるD2Cつくーる」は通販用の販売ページや顧客への追客を扱う月額課金サービスで、広告運用、制作、越境EC支援と組み合わせて売る。2026年7月期の同事業売上は7.05億円、セグメント損失は0.64億円だった。クラウド利用料と広告手数料の構成比や現役契約数は開示されておらず、収益源を分解する際には推定が必要だ。
コマース事業は自ら健康食品・化粧品を販売し、商品を継続購入する消費者から代金を得る。2026年7月期の売上は1.06億円、損失は1.00億円で、単独では採算に難があった。期末に国際漢方研究所を連結し、8月には残りの持分も取得したため、今後は同社の健康関連商材が収入の主力になる可能性がある。
グローバル情報通信事業を担うJCNTは、教育旅行や企業の出張向けにWi-Fi機器と携帯端末を貸し、利用期間や機器に応じた料金を受け取る。年間レンタル実績は8万台以上で、2026年7月期の売上は6.53億円、営業利益は0.09億円だった。8月に加わったパロットビークは回線・端末の卸販売などを担い、売上規模は大きいが前期営業利益は約0.06億円にすぎない。機器貸出と回線卸売は同じ通信でも利益構造を混ぜてはいけない。
デジタルアセット・Web3事業ではSOBAプロジェクトの受託開発・映像技術と、暗号資産の復旧・決済に関する新構想を扱う。2026年7月期は売上1.97億円、損失0.11億円で、構想段階の市場規模を現在の受注と取り違えない。8月に加わったStep y’sは電話代行・顧客対応を請け負い、従来の仕事量に連動した対価を得る。これらを束ねる本社費用が同年度は3.78億円と重く、各子会社の単純な黒字合計が親会社株主の利益になるわけではない。
優良さと弱いところ
同社の技術的な強みは、通販広告の改善を重ねてきた経験と、販売ページの制作から広告出稿、注文後の連絡までをつなぐサービスにある。既存客の獲得効率が本当に改善すれば成果報酬を取れるが、顧客が離れられないほどの値決め力はまだ示されていない。「売れるD2Cつくーる」の公表月額料金はあるものの、解約率の低さや値上げの継続実績は確認できない。累計導入社数を現役の有料契約数と読み替えることもできない。
JCNTには別種の強みがある。世界150カ国に対応し、24時間の日本語支援と団体向けの機器設定を組み合わせており、公式サイトは取引先のリピート率80%以上を掲げる。学校や旅行代理店との実務上の信頼は広告運用のノウハウより残りやすい。しかし、端末貸与そのものはeSIMへの移行で置き換わりうるため、強固な独占とは言えない。
経営の弱点は増分投資の収益性だ。2025年と2026年には連続して減損が発生し、取得後に見込んだ超過利益を回収できない例が既にある。2026年7月期の親会社持分は約1.24億円のマイナスとなった一方、総純資産のプラス分には少数株主の持分が入っている。加えて携帯通信の買収先は売上14.63億円でも営業利益0.06億円と薄利である。買収後のROICが資本コストを上回った証拠は乏しく、売上規模の伸びと経済的な堀の拡大は区別すべきだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
広告市場は大きい。電通によれば2025年の国内インターネット広告費は4兆459億円で、媒体費だけでも3兆3,093億円に達した。SNS広告や動画は拡大しているが、この市場全体が同社の手数料収入になるわけではない。会社が掲げたD2C向け既存市場約200億円も定義とシェア算定に必要な数量が開示されておらず、現在のマーケティング支援売上7.05億円と単純に割り算して確定シェアを述べることはできない。
競合は成果報酬型のレントラックス、バリューコマース、Macbee Planet、ブリーチにとどまらない。サイバーエージェント、セプテーニ、ADWAYSに加え、GoogleとMeta自体が広告配信の自動化を強めている。大手各社と同社のD2C向け運用取扱額を同じ基準で比較した公表値は見当たらず、現在の厳密な国内シェアは不明である。10年後には顧客が広告代理店へ払う工数手数料の一部を、広告媒体とAIエージェントへ直接移すと考える。
「売れるD2Cつくーる」のような操作画面が価値の中心の業務ソフトも、AIが人に代わって販売ページを作り、計測し、広告を改善する時代には席数と単価の両方に圧力がかかる。SOBAの受託開発やStep y’sの顧客対応も人月・工数型の影響を免れない。一方、実物の商品を売る国際漢方研究所、機器を現地へ届けるJCNTは全量がAIで消えるわけではない。ただし医薬品的な効能表現は景品表示法・薬機法に制約され、広告費の上昇が商品粗利を食う。
通信レンタルでは修学旅行と法人の需要が続くが、eSIM普及と学校の端末持ち込みが競争を変える。携帯回線・端末の卸は規模を取っても利幅が薄く、回線事業者との条件交渉に左右される。物価上昇率3%を前提とするなら、実物販売の単価には値上げ余地がある反面、代理店手数料やモバイル回線の卸単価に同じ物価上昇を機械的には乗せられない。
資本政策と M&A
経営が掲げる「Ureru100」は2028年7月期を目途に売上100億円、時価総額250億円を目指す構想である。2025年12月の説明では純利益率5%程度も想定した。しかし当時の2026年7月期営業黒字予想は、実際には5.43億円の営業赤字で終わった。直近の「GROWTH STRATEGY 2027」と2026年9月の決算は、2027年7月期売上50.04億円、営業利益2.02億円、純利益1.30億円を掲げる。ROEや配当性向、DOE、自社株買い金額について具体的な数字の約束はない。
上場後の資本配分は還元より買収と増資が中心だ。SOBA、ADWAYSの中国事業、ライト、国際漢方研究所、パロットビーク、Step y’sへと事業を増やし、2026年8月の株式交付・交換で約152.5万株を新たに発行した。その結果、創業者と共同保有者の議決権割合は46.30%へ低下した。10月2日には普通株200万株と新株予約権400万株を想定した資金調達案が示された。しかし10月5日に具体的な数量は「未定」へ訂正され、株主総会での意思確認も勧告的な扱いとなった。
2026年7月期まで年間配当はなく、2027年も無配予想である。継続保有株主にはデジタルギフト制度があるが、通期末の優待引当金は約0.019億円と小さい。今後10年に通常配当を十分に戻すという数字の約束はなく、貯まった現金が株主へ戻る係数は慎重に75%とした。過去5年の大幅自社株買い・増配実績がなく、上位10株主比率65%以上も確認できないため、機械的に50%まで下げる条件は満たさない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社は、単なる広告代理店から通信・商品・ソフト・顧客対応を併せ持つ企業集団へ変わった。教育旅行向けレンタルのJCNTには年間8万台以上の取引実績があり、売上の大きいパロットビークもグループに加わった。国際漢方研究所は自社商品と顧客名簿を持つため、広告費を他社に払うだけだった事業から、商品の粗利益を直接得る構造へ移行できる。買収企業の販路を共有し、広告運用とコールセンターを内製化すれば、外部に漏れていた利益を取り込める。
2026年7月期の巨額損失には減損と評価損が含まれている。現金の支出を伴わない特別損失を毎年繰り返す前提は厳しすぎる。2027年7月期の会社予想は50億円超の売上と営業黒字化で、これは既に行った買収を通年連結する効果が大きい。事業統合が進み、本社の重複費用が下がれば、営業利益が売上高に遅れて増える余地は十分にある。
また、AIは代替だけではなく、広告制作の省人化やコールセンターの原価削減にも効く。販売成果に応じた対価を維持できれば、少人数で従来と同じ顧客を支えられ、採算の改善は急になりうる。会社が公表する2028年売上100億円構想が達成できれば、さらなる事業の選択と集中も選べる。既存株主に有利な条件で資金調達ができ、広告以外の事業も利益を生むなら、現在の時価総額を正当化する道は残る。
慎重な見方
最大の問題は、広告の知見そのものが他社にまねできない資産だと確認できないことである。GoogleやMetaの広告運用自動化が進めば、運用人員の作業に対する料金は下がる。販売ページの構築と改善もAIエージェントに代替され、月額課金ソフトの顧客数や価格が同時に細る。新しく買ったStep y’sの顧客対応とSOBAの受託開発も、人が工数で請求する部分ほど同じ波にさらされる。
買収先の収益力も混同できない。パロットビークは前期売上14.63億円だが営業利益は約0.06億円で、売上を取得したからといってグループ利益が大きく増えるわけではない。親会社側では、2024年から2026年に営業赤字が続き、2026年7月期には親会社株主持分がマイナスに落ち込んだ。過去には広告事業や越境ECののれんが減損され、成長投資の収益見込みを繰り返し下方修正している。
さらに、2026年8月の買収は新株発行によって実行された。少数株主が残る会社の収益を全額親会社株主の取り分と数えることもできない。普通株と新株予約権を合わせて最大600万株規模が一度検討案として示されており、実施されれば既存の持分は大きく薄まる。資金調達は当面の存続には役立っても、低収益事業への再投資が続けば一株当たり価値を増やせない。会計上の純資産にも、のれんのように清算時に額面では換金できない資産が含まれている。
どちらに重みを置いたか
実業として残る通信レンタルと商品販売は評価するが、買収後の利益が少数株主持分を除いてどれほど残るかはまだ立証されていない。2026年の巨額赤字、継続する減損、低採算の携帯通信事業、2026年8月の希薄化を重く見た。下に寄せる理由は会社固有の資本配分の不確実性にあり、AI代替は中立の数量と長期成長率に既に反映したので、確率でもう一度罰してはいない。楽観側25%、中立35%、やや悲観と悲観40%の非対称な配分とし、現在の時価総額を大きく下回る本質価値になった。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/07 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 106 円10 億円(+ 還元の換算額還元の合計 4 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 45 円4 億円、今との差 −88.2%、 期待の年率 −11.8%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 592 円57 億円 | 19 円2 億円 | +60.6% | +4.9% | 49 円5 億円 |
| やや楽観 | 17% | 243 円23 億円 | 8 円1 億円 | −34.1% | −4.1% | 43 円4 億円 |
| 中立 | 35% | 41 円4 億円 | 2 円0 億円 | −88.7% | −19.8% | 15 円1 億円 |
| やや悲観 | 27% | 11 円1 億円 | 0 円0 億円 | −97.1% | −30.0% | 3 円0 億円 |
| 悲観 | 13% | 1 円0 億円 | 0 円0 億円 | −99.7% | −45.0% | 0 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 106 円10 億円 | 4 円0 億円 | −71.2% | −11.8% | 110 円11 億円 |
今の株価時価総額 380 円37 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 買収先が高採算に変わり、販路の横展開が成功 利益 5 億円 · PER 10.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 592 円57 億円
2027年の黒字化が計画通り進み、本社の無駄が削減される。国際漢方研究所の商品がグループの通販販路と結びつき、広告費が大きく上がらなくても継続購入者を増やす。健康食品・化粧品の注文は年22万件に達し、ブランドの利益が増える。JCNTは教育旅行への直接販売と法人の継続受注を伸ばし、年間レンタル10万台を維持する。
薄利だったパロットビークでは大口契約の取り込みとシステムの共通化が進み、回線販売の利益率がはっきり改善する。Step y’sはAIによる省人化を顧客に有償提供することで、受託仕事の件数を維持しつつ採算を上げる。SOBAも個別開発の標準化で一件当たり利益が増えるが、広告制作や画面型SaaSの顧客数はAIエージェント代替を受けてなお現状以下にとどまる。
資本政策では追加の資金調達を限定し、取得先の現金利益で成長投資を賄う。過去に発行した買収対価の株式は既に今の株数に反映され、将来の新株発行は相対的に小さい。売上の大きさだけでなくオーナー利益が伸び、ようやく買収中心の戦略が既存株主の利益として結実する。
- 広告運用・制作・越境EC支援:数量 50.0(年間広告主契約相当数(社・年、非開示につき推定))× 価格 0.09(一社あたり年間手数料(億円、広告媒体支払額でない))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。広告運用の取引相当数、物価転嫁を見込まない工数手数料
- 売れるD2Cつくーる・画面型SaaS:数量 140(期中平均の課金契約数(社、非開示につき推定))× 価格 0.02(年間契約料金(億円、公式月額149800円の12か月分))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。画面操作型SaaSの有料契約数、AI代替で値上げ余地は小さい
- 健康食品・化粧品など自社コマース:数量 220,000(年間注文件数(件、会社非開示の推定))× 価格 0.00(注文一件の平均購入額(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 3 億円。国際漢方研究所の通年寄与を含む商品注文件数と平均注文額
- JCNT法人向け通信機器レンタル:数量 100,000(年間の端末レンタル台数(台、JCNT公表))× 価格 0.00(レンタル一台当たり平均売上(億円、売上÷台数))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。教育旅行・法人向け端末の年間レンタル台数
- SOBA受託開発・Web3ソリューション:数量 20.0(年間の受託案件相当件数(件、非開示につき推定))× 価格 0.13(案件一件あたり年間売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。SOBA受託案件相当数、構想段階の暗号資産回収は計上しない
- パロットビーク回線・端末販売(8月買収):数量 140,000(年間通信契約相当件数(件、非開示につき推定))× 価格 0.00(契約一件相当の年間売上(億円、卸販売を換算))→ 売上 25 億円・営業利益 2 億円。2026年8月取得会社の通信販売、商品・回線契約相当の推定
- Step y’sコールセンター・BPO(8月買収):数量 300,000(年間の顧客対応処理件数相当(件、非開示につき推定))× 価格 0.00(対応一件当たり売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。2026年8月取得会社の年間対応件数、AIによる工数減
倍率:資本コスト9.5%、長期名目成長率1.0%、弱い堀の超過利益残存率3分の1を用いる。会社全体の親会社株主帰属純利益5.247億円と自己資本36.94億円から、10年後ROEは約14.2%。RONICは約11.07%で、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)の上限10.702倍をそのまま採用する。少数株主持分控除済みの純利益に適用する。
確率:実現には過去0.4%程度だった携帯通信会社の営業利益率が約9%へ改善する必要がある。大型の買収統合が連続成功した実績は乏しいため8%とする。
やや楽観 17% 本社費が正常化し、通信と商品が収益を牽引 利益 2 億円 · PER 10.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 243 円23 億円
2027年の黒字化計画を実現した後、グループは追加買収を絞り、現有子会社の採算を改善する。国際漢方研究所は健康食品の定期購入を増やし、グループ全体で年18万件の注文を扱う。JCNTはeSIMへの転換を意識して現場対応を強め、教育旅行から企業向けへ販路を広げる。レンタル台数は年9万台程度を保つ。
広告運用と販売ページの制作は顧客の自動化が進むため契約相当数が減る。売れるD2Cつくーるも月額課金契約がやや減るが、顧客が成果を確認するための一部機能には引き続き対価が払われる。SOBAの受託開発とStep y’sの顧客対応は件数を減らし、作業の標準化によって残る契約の利益率を改善する。
パロットビークの低い利益率は回復するが、通信大手の回線仕入れ条件に縛られ、企業集団全体が高い超過利益を上げるまでには至らない。新株発行は資金調達の一部で実行され、親会社が取得した利益を既存株主がすべて受け取れるわけではない。
- 広告運用・制作・越境EC支援:数量 45.0(年間広告主契約相当数(社・年、非開示につき推定))× 価格 0.09(一社あたり年間手数料(億円、広告媒体支払額でない))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。広告の手数料率は上がらず、数量が減る
- 売れるD2Cつくーる・画面型SaaS:数量 127(期中平均の課金契約数(社、非開示につき推定))× 価格 0.02(年間契約料金(億円、公式月額149800円の12か月分))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。有料契約数は減るが、商品改良で一部を維持
- 健康食品・化粧品など自社コマース:数量 180,000(年間注文件数(件、会社非開示の推定))× 価格 0.00(注文一件の平均購入額(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。健康食品のブランドが通年寄与し、継続購入が伸びる
- JCNT法人向け通信機器レンタル:数量 90,000(年間の端末レンタル台数(台、JCNT公表))× 価格 0.00(レンタル一台当たり平均売上(億円、売上÷台数))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。直販と法人需要でレンタル台数を維持
- SOBA受託開発・Web3ソリューション:数量 17.0(年間の受託案件相当件数(件、非開示につき推定))× 価格 0.13(案件一件あたり年間売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。開発工数は縮むが標準化で採算改善
- パロットビーク回線・端末販売(8月買収):数量 135,000(年間通信契約相当件数(件、非開示につき推定))× 価格 0.00(契約一件相当の年間売上(億円、卸販売を換算))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。通信販売の売上規模を維持し利益率が改善
- Step y’sコールセンター・BPO(8月買収):数量 240,000(年間の顧客対応処理件数相当(件、非開示につき推定))× 価格 0.00(対応一件当たり売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AI代替で対応件数は減るが効率化が進む
倍率:資本コスト9.5%、長期名目成長率1.0%、弱い堀の超過利益残存率3分の1を用いる。会社全体の親会社株主帰属純利益2.487億円と自己資本24.24億円から、10年後ROEは約10.3%。RONICは約9.75%で、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)の上限10.558倍をそのまま採用する。少数株主持分控除済みの純利益に適用する。
確率:買収先の通年連結で50億円規模になる蓋然性はあるが、物流費、通信仕入れ、少数株主持分を超える利益改善が必要なので17%とする。
中立 35% 売上は残るが、買収後の利益は薄い 利益 0 億円 · PER 10.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 41 円4 億円
現在までに取得が済んだ企業はおおむね存続し、売上の中心は携帯通信の回線・端末販売、健康食品、通信機器レンタルへ移る。国際漢方研究所が通年寄与するため、コマースの年間注文は今の帳簿上の事業から大きく増える。ただし広告費と原価も上がり、利益が自動的に増えるわけではない。JCNTの年間レンタル数はeSIMの普及で減り、機器手配と24時間支援への需要だけが残る。
広告の制作・運用契約の数量は10年で約7割、操作画面を前提とするSaaS契約は約8割、受託開発とBPOの工数相当件数は約6割強になる。GoogleやMetaと顧客企業のAIエージェントが広告運用の多くを直接担うためである。収益の減少を営業人員削減で部分的に吸収しても、本社の法務・会計・M&A管理費は残る。
パロットビークは大きな売上を維持するものの、回線卸の薄利構造から抜け出せない。さらに同社の利益の約4割、Step y’sの利益の約半分は親会社以外の株主に帰属する。2027年の一時的な黒字化の後も、親会社株主が自由に使える現金利益は小さく、追加資金調達による持分低下が重しとなる。
- 広告運用・制作・越境EC支援:数量 35.0(年間広告主契約相当数(社・年、非開示につき推定))× 価格 0.09(一社あたり年間手数料(億円、広告媒体支払額でない))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替により広告契約相当数量は0.70倍、手数料単価は据え置き
- 売れるD2Cつくーる・画面型SaaS:数量 115(期中平均の課金契約数(社、非開示につき推定))× 価格 0.02(年間契約料金(億円、公式月額149800円の12か月分))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。画面型SaaSの契約数は約0.77倍、名目料金は約1.05倍
- 健康食品・化粧品など自社コマース:数量 140,000(年間注文件数(件、会社非開示の推定))× 価格 0.00(注文一件の平均購入額(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。買収済み国際漢方研究所の通年販売を含む、注文額は物価1.34倍
- JCNT法人向け通信機器レンタル:数量 72,000(年間の端末レンタル台数(台、JCNT公表))× 価格 0.00(レンタル一台当たり平均売上(億円、売上÷台数))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。eSIM普及で年間台数0.90倍、単価は名目約1.30倍
- SOBA受託開発・Web3ソリューション:数量 13.0(年間の受託案件相当件数(件、非開示につき推定))× 価格 0.13(案件一件あたり年間売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。受託工数相当件数0.65倍、開発単価は名目約1.30倍
- パロットビーク回線・端末販売(8月買収):数量 120,000(年間通信契約相当件数(件、非開示につき推定))× 価格 0.00(契約一件相当の年間売上(億円、卸販売を換算))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。回線・端末卸の契約相当数を維持、価格は物価より上昇しにくい
- Step y’sコールセンター・BPO(8月買収):数量 195,000(年間の顧客対応処理件数相当(件、非開示につき推定))× 価格 0.00(対応一件当たり売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。買収前の年間30万件相当からAI代替で0.65倍、単価は1.20倍
倍率:資本コスト9.5%、長期名目成長率1.0%、弱い堀の超過利益残存率3分の1を用いる。会社全体の親会社株主帰属純利益0.455億円と自己資本14.79億円から、10年後ROEは約3.1%。ROEが資本コストを下回るため、新規の成長投資に超過利益はない。PER上限は1÷k=10.526倍とし、時価総額は純利益×PERで評価する。
確率:通信・商品・BPOの買収により売上規模が維持されても、本社費と少数株主持分を引いた利益は小さい。AI代替の標準的な数量低下を採用した中心35%。下に寄せる理由:巨額減損と株式交付による希薄化の履歴を確認したため。
やや悲観 27% 低採算の買収先だけが残り、本社費が重い 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 11 円1 億円
広告運用・制作の工数は顧客企業に内製化され、顧客相当数が半減する。売れるD2Cつくーるも利用者が減り、顧客管理の一部だけを残す。SOBAの受託案件とStep y’sの電話対応は、AIと競合他社の低価格サービスに置き換えられ、新しい受注を取っても手数料を上げられない。
JCNTのレンタル台数は年5万台へ低下し、機器更新、現地支援、固定の人員費用が残るため利益は極めて薄くなる。通信回線卸では価格競争が激しく、売上が大きくても本社費用を支えられない。健康食品は法令対応と広告費の負担で販促を絞り、注文も減る。既に持つブランドや顧客は残るが、資本コストに見合う利益を生まない。
経営は不採算事業の整理と追加増資で資金繰りを保つ。損失の累積と事業の減損で親会社持分は大幅に縮み、たとえ一部資産を処分しても株主への大きな配当にはつながらない。存続を認めても所有者利益が乏しい10年となる。
- 広告運用・制作・越境EC支援:数量 24.0(年間広告主契約相当数(社・年、非開示につき推定))× 価格 0.08(一社あたり年間手数料(億円、広告媒体支払額でない))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。広告顧客減少と手数料引き下げ
- 売れるD2Cつくーる・画面型SaaS:数量 95.0(期中平均の課金契約数(社、非開示につき推定))× 価格 0.02(年間契約料金(億円、公式月額149800円の12か月分))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。SaaS契約数減少、価格据え置き
- 健康食品・化粧品など自社コマース:数量 90,000(年間注文件数(件、会社非開示の推定))× 価格 0.00(注文一件の平均購入額(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。商品販売は続くが広告・物流費で採算悪化
- JCNT法人向け通信機器レンタル:数量 50,000(年間の端末レンタル台数(台、JCNT公表))× 価格 0.00(レンタル一台当たり平均売上(億円、売上÷台数))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。eSIM代替、レンタル台数減少
- SOBA受託開発・Web3ソリューション:数量 10.0(年間の受託案件相当件数(件、非開示につき推定))× 価格 0.11(案件一件あたり年間売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託案件半減、固定人件費を吸収できない
- パロットビーク回線・端末販売(8月買収):数量 100,000(年間通信契約相当件数(件、非開示につき推定))× 価格 0.00(契約一件相当の年間売上(億円、卸販売を換算))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。仕入れ条件悪化、低採算が続く
- Step y’sコールセンター・BPO(8月買収):数量 140,000(年間の顧客対応処理件数相当(件、非開示につき推定))× 価格 0.00(対応一件当たり売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。電話対応のAI代替が進む
倍率:営業赤字が続くためPERは使わず、再建・増資後の希薄化前の親会社株主持分を基礎に売却可能資産と残存事業の継続価値を評価した。当該筋書きの毀損後自己資本4.68億円×PBR0.3倍=1.404億円。2026年7月時点で親会社持分は債務超過、現金預金6.37億円から借入金6.86億円だけで既にマイナスで、未払金・買掛金・契約負債も大きい。のれん3.21億円とソフト資産0.73億円は換金床から除外し、清算純資産の税後プラスは立証できない。
確率:業務をAIに置き換える10年の数量減少を超えて、買収先の価格競争と本社費の固定化が重なる不利な展開。会社固有の過去の減損と営業CF流出を踏まえて27%とした。
悲観 13% 広告と受託の代替が進み、再編・再増資を迫られる 利益 −3 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1 円0 億円
広告の制作と運用がプラットフォームとAIエージェントの直接契約に置き換わり、独立した代理店への手数料は急減する。売れるD2Cつくーるは画面を操作する必要性が薄れ、課金契約が半分以下になる。SOBAの受託開発とStep y’sの顧客対応も、低価格競争のため人員を維持できなくなる。回復サービスやAIインフラの構想は顧客の有料契約を十分に獲得できない。
国際漢方研究所の健康食品は残るが、販促費と物流費を賄えず、コマース事業は赤字に陥る。JCNTの機器レンタルは年3万台まで落ち、保守や賃借料などの固定費を吸収できない。通信卸は売上だけを残して営業損失に転落し、グループの立て直しを難しくする。買収時に発生したのれんは売れる資産の価値を持たず、減損と損失が株主資本をさらに削る。
再建や増資で事業の一部が残ったとしても、旧株主の持分は小さくなる。追加発行が最大600万株に及ぶ可能性と上場維持の難しさを織り込み、10年後に配当や買戻しで利益を取り戻す道はほぼ閉ざされる。
- 広告運用・制作・越境EC支援:数量 14.0(年間広告主契約相当数(社・年、非開示につき推定))× 価格 0.07(一社あたり年間手数料(億円、広告媒体支払額でない))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。広告運用の顧客基盤が構造的に崩れる
- 売れるD2Cつくーる・画面型SaaS:数量 60.0(期中平均の課金契約数(社、非開示につき推定))× 価格 0.02(年間契約料金(億円、公式月額149800円の12か月分))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。操作画面をAIが代替し有料契約が急減
- 健康食品・化粧品など自社コマース:数量 55,000(年間注文件数(件、会社非開示の推定))× 価格 0.00(注文一件の平均購入額(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。注文が細り販促費を回収できない
- JCNT法人向け通信機器レンタル:数量 30,000(年間の端末レンタル台数(台、JCNT公表))× 価格 0.00(レンタル一台当たり平均売上(億円、売上÷台数))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。eSIM代替でレンタル台数が急減
- SOBA受託開発・Web3ソリューション:数量 5.0(年間の受託案件相当件数(件、非開示につき推定))× 価格 0.10(案件一件あたり年間売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。開発の受託先を失い構想段階の事業は収益化しない
- パロットビーク回線・端末販売(8月買収):数量 75,000(年間通信契約相当件数(件、非開示につき推定))× 価格 0.00(契約一件相当の年間売上(億円、卸販売を換算))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。回線卸の価格競争が激化し赤字
- Step y’sコールセンター・BPO(8月買収):数量 90,000(年間の顧客対応処理件数相当(件、非開示につき推定))× 価格 0.00(対応一件当たり売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人が処理する問い合わせの大半が置換される
倍率:継続的な営業赤字のためPERは使わない。複数回の減損・資本再構成後の親会社株主持分0.6億円に対して、売却可能資産と残存事業の低い継続価値からPBR0.25倍、時価総額0.15億円を見込む。2026年7月末時点では親会社持分はマイナス1.24億円で、現金預金6.37億円を借入金約6.86億円が上回る。加えて多額の買掛金、未払金、契約負債があるため純現金の床はゼロである。のれん3.21億円とソフト資産0.73億円は実質的な清算床から除外する。近い将来の財務再建を伴う筋書きのため、2025年時点の帳簿上の自己資本を床として採用しない。
確率:単なる景気後退でなく、低収益の通信卸を抱えたまま主力広告・受託・BPOを構造的に失う破壊的な展開。上場維持と事業再建の不確実性から13%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
広告運用・制作・越境EC支援
広告の出稿、制作、改善、越境EC支援を顧客企業に提供し、運用・成果に応じて手数料を得る。
| 数量年間広告主契約相当数(社・年、非開示につき推定) | 価格一社あたり年間手数料(億円、広告媒体支払額でない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 50.0 | 0.09 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 35.0 | 0.09 | 3 | 0 |
取り方:マーケティング支援の監査済売上7.04514億円から、SaaS推定2.69640億円を控除した残り4.34874億円を広告と制作に仮配分。稼働顧客数は非開示なので年50社相当と推定し、一社あたり年間約870万円の収入とした。広告媒体費の総取扱高ではない。現在の広告業務はAIエージェント代替の「広告制作・運用」型であり、中立の契約相当数量を50→35(0.70倍)、単価据え置きとする。セグメント利益はSaaSとの配賦推定。
売れるD2Cつくーる・画面型SaaS
ランディングページ作成・追客・販売効果検証を月額課金で支援する。
| 数量期中平均の課金契約数(社、非開示につき推定) | 価格年間契約料金(億円、公式月額149800円の12か月分) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 150 | 0.02 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 115 | 0.02 | 2 | 0 |
取り方:公式の月額利用料149800円×12か月は1797600円、1契約年あたり0.017976億円。現在の有料稼働数が非開示のため150契約と仮定し2.6964億円とする。累計導入1000社は現在の稼働数ではない。監査済マーケティング部門の内訳・セグメント営業利益は不明なため広告事業との利益配分も概算。人が画面で作業する席課金SaaSで、中立の数量115契約(0.77倍)、料金は名目1.05倍とした。
健康食品・化粧品など自社コマース
自社ブランドの健康食品・化粧品を通販で消費者に販売し商品粗利を得る。
| 数量年間注文件数(件、会社非開示の推定) | 価格注文一件の平均購入額(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 21,292 | 0.00 | 1 | −1 |
| 10 年後 中立 | 140,000 | 0.00 | 9 | 1 |
取り方:2026年7月期のコマース報告売上1.06458億円を平均注文単価5000円で割り、約21292件と推定。実際の件数と客単価は未開示。2026年6月末取得の国際漢方研究所は期中の取り込みが限定的で、同社の通年売上規模約5億円を、10年後の数量が増える根拠として別途織り込む。中立140000件は既存注文の単純増加でなく買収済企業の年間販売分を含む。商品単価は物価10年1.34倍の6700円。物販そのものはAI代替の人月型ではない。
JCNT法人向け通信機器レンタル
教育旅行・出張・イベント向けにWi-Fiルーターと携帯端末を貸し出す。
| 数量年間の端末レンタル台数(台、JCNT公表) | 価格レンタル一台当たり平均売上(億円、売上÷台数) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 80,000 | 0.00 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 72,000 | 0.00 | 8 | 1 |
取り方:JCNT公式は年間8万台以上を明示。2026年7月期のグローバル情報通信売上6.53005億円(8月買収のパロットビークはまだ含まない)を8万台で割り、セグメント平均売上約8163円/台とした。正式な台数は下限値なので単価は上限寄りの概算。AIによる現場作業全廃は想定せず、eSIMと端末持込みによって中立台数72000とする。単価は1.30倍で、物価並みに近いが競争分だけ下回る。
SOBA受託開発・Web3ソリューション
受託開発、映像技術サービスとデジタルアセット関連事業を扱う。
| 数量年間の受託案件相当件数(件、非開示につき推定) | 価格案件一件あたり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 20.0 | 0.10 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 13.0 | 0.13 | 2 | 0 |
取り方:2026年7月期のデジタルアセット・Web3事業売上1.97085億円はSOBAプロジェクト等を含む。課金案件数は開示されていないため、年20件相当、一件約985万円として全社売上に接続する粗い推計。ビットコイン復旧・決済構想の潜在市場は、有料受注の数字が明示されない限り上乗せしない。受託・工数型のAIエージェント代替を適用し、中立13件(0.65倍)、単価1.30倍とした。
パロットビーク回線・端末販売(8月買収)
携帯通信回線や端末の販売、モバイルシステム構築を行う。
| 数量年間通信契約相当件数(件、非開示につき推定) | 価格契約一件相当の年間売上(億円、卸販売を換算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 120,000 | 0.00 | 17 | 0 |
取り方:2026年8月10日の株式交付で連結子会社化したため、2026年7月期の監査済セグメント売上・営業利益はともに0。買収先の2025年9月期年間売上14.63億円と営業利益0.06億円を別途確認。料金と回線数は非開示なので、年間12万契約相当×一件12192円(0.00012192億円)として、2025年度の売上14.63億円規模に換算する。将来は回線の卸単価が物価より上がりにくいと見て中立120000件、単価13900円。実物・回線の取引でありAI代替の人月型を全体には適用しないが、付随するシステム制作部分は代替圧力を織り込む。
Step y’sコールセンター・BPO(8月買収)
電話代行、カスタマーサポート、派遣・SES・BPOを受託する。
| 数量年間の顧客対応処理件数相当(件、非開示につき推定) | 価格対応一件当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 195,000 | 0.00 | 2 | 0 |
取り方:2026年8月10日株式交付による51%子会社化のため2026年7月期の監査済売上は0。買収先の年間売上規模約3億円を、年30万件相当×一件1000円として数量分解した推計であり会社公表の問い合わせ件数ではない。AIエージェント代替を受ける人月・工数型として、中立19.5万件(買収直前事業基準30万件の0.65倍)、単価1200円とし、連結利益から非支配株主持分49%を差し引く。
リスクと懸念
AIエージェント代替による収益基盤の縮小
広告の画像や販売ページを作り、媒体を選び、成果を改善する仕事は、媒体の自動入札と顧客のAIエージェントが直接担いやすい。売れるD2Cつくーるの操作席や、SOBAの開発工数、Step y’sの電話対応も同じ影響を受ける。累計導入社数は現在の有料契約数の証拠ではなく、解約率・価格維持の実績を監視する必要がある。
資本毀損と資金調達による希薄化
2026年7月期は親会社株主持分が約1.24億円のマイナスとなり、営業CFもマイナスだった。8月の株式交付で株数は増えており、さらに普通株と潜在株式を合わせた大規模増資の検討がある。増資によって会社の存続確率が改善しても、既存株主の一株当たり持分が損なわれる場合がある。
買収先の低い増分収益率と減損
パロットビークの売上14.63億円に対する営業利益は0.06億円であり、売上の大きさをそのまま価値に変えられない。広告関連のれんや越境EC関連の資産では既に減損が生じている。買収先の税後営業利益が取得原価と追加運転資金に見合わなければ、増分ROICは資本コストを下回り続ける。
少数株主持分の取り違え
パロットビークの取得比率は60.03%、Step y’sは51%である。連結売上高には各社の全売上が入るが、利益の一部はそれぞれの少数株主に属する。連結売上が会社予想に達しても、親会社株主帰属利益と希薄化後の一株利益が伸びない可能性を個別に見るべきだ。
通信レンタルの代替と低採算な回線卸
教育旅行・出張向けの端末貸出は受け渡しや現地サポートの価値があるが、eSIM、端末の持ち込み、通信会社の直接販売が進めばレンタル台数を失う。携帯回線の卸は仕入れ条件次第で薄利となり、値上げが顧客離れに直結する。固定の人員・機器・賃借料は台数減少時も残る。
健康食品通販の法令・顧客獲得費用
国際漢方研究所の販売ブランドは広告支援とは異なる実物の資産だが、機能性表示、景品表示法、薬機法に関わる訴求には制限がある。原材料・物流・広告媒体への支払いが上がっても継続購入率が改善しなければ利益は残らない。越境ECの需要予測を売上へ早期に織り込むことは避けたい。
経営予想と実績の乖離
2025年に示した2026年7月期の営業黒字化見通しは実現せず、巨額の赤字と減損が発生した。2027年の黒字転換は買収会社の連結期間が延びることに依存している。本社費用と取得関連費用をどこまで削減できるか、監査後の実績で目標との誤差を追い続ける必要がある。
今後の分かれ目
- 2027年7月期の親会社株主帰属純利益1.30億円の会社予想を達成し、営業CFも通期黒字に転じたら
- 新しい連結企業が売上だけでなく現金を生んだ証拠となる。中立とやや楽観の親会社利益率を上げ、追加希薄化の見積もりを下げる。
- 新株発行と新株予約権の合計が追加で600万株規模まで具体化したら
- 実際の調達額と使途を検証し、既存株主の持分割合を約62%まで下げる悲観側の株式価値計算へ重みを移す。
- 売れるD2Cつくーるの有料稼働契約数、解約率、更新単価が四半期ごとに公表され、維持・改善が続いたら
- 操作画面のAI代替だけでなく顧客成果の堀が残る可能性を再評価し、SaaSの10年数量と長期成長率を上方修正する。
- JCNTのレンタル台数が年間8万台を割って減り続けたら
- eSIMや直販への切り替えが始まった可能性を疑い、レンタル売上の数量を減らす。固定費負担で営業利益率が先に悪化する点も確かめる。
- パロットビークの営業利益率が2%超へ改善し、運転資金と非支配株主持分を差し引いても現金が残ったら
- 低採算企業の買収に経済的な意味が出たと判断する。通信回線販売の利益前提と増分投資利回りを引き上げる。
- 国際漢方研究所を含むコマース事業で販売個数、継続購入率、顧客獲得単価が改善したら
- 広告費を払う側からブランドの粗利を得る側への転換が成功しつつあるため、コマースの数量と利益率の中立見通しを上げる。
- 新たなのれん減損や債務超過が発生し、増資なしで運転資金を賄えなくなったら
- 悲観の存続可能性を大きく引き下げる。売れる資産から債務を引いた残りが極めて薄いことを再確認する。
見ておくもの
- 2027年7月期の売上50.04億円・営業利益2.02億円・親会社株主帰属純利益1.30億円の達成度
- 親会社株主持分、営業キャッシュフロー、流動資産に対する買掛金と契約負債の推移
- 大規模第三者割当の最終発行株数、行使価額、手取り資金、使途と実行日
- パロットビークの営業利益率、少数株主持分控除後の利益、通信回線の契約数
- JCNTの年間レンタル台数と取引先のリピート率、eSIMへ置き換わった利用比率
- 売れるD2Cつくーるの現在稼働契約数、月額単価、解約率、成果報酬売上
- 国際漢方研究所の出荷件数、継続購入率、広告費比率、再度のれん減損の有無
倍率と資本コストの決め方
2026年7月期の実績と8月の株式交付を優先し、添付の古い2025年7月期基準の株数770万5791株と2026年期初予想をそのまま使っていない。発行済株式963万株余りと基準株価で足元時価総額は約38.51億円になる。10年後は広告運用、画面型SaaS、SI、BPOをAI代替の数量減少で見積もり、通信・実物販売とは別に扱った。倍率は現在・過去・同業のPERを使わず、資本コスト9.5%、長期名目成長1%、堀の弱い部分の増分利益率から決めた。2026年8月までに実行した株式発行は現行株数に含むが、10月の未確定の第三者割当は各筋書きの将来希薄化だけに反映した。営業赤字と親会社持分の債務超過により、のれんを現金同等の悲観の床にはできない。新リース基準により将来の会計表示は変わるが、営業利益と家賃負担は現在と整合させて評価した。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。無リスク金利3.0%と株式リスクプレミアム4.5%に、事業特性の質的調整1.0%と赤字継続・資本毀損の上乗せ1.0%を合計した。会社固有のM&A失敗は利益の筋書きと確率に織り込み、kには加算しない。