結論
ALiNKインターネットは、日本気象協会と共同で天気予報メディア「tenki.jp」を運営し、広告と有料課金から収益を得る会社である。長く持つ株主の立場では、現時点の評価は「割高」と判断する。国内有数の閲覧規模を持つ一方、その閲覧を長期の株主利益へ変える仕組みがまだ十分に固まっていないからだ。
かつての強みは、天気を調べる人が繰り返し訪れることだった。しかし検索結果やAIの回答だけで天気を確認できるようになると、情報そのものへの需要が残っても、同社の広告表示機会は減りうる。実際、2026年2月期は年間約53億PVを維持しながら、PVと広告単価の双方が前期を下回った。会社は有料会員、地域IP、太陽光、貸会議室へ収益源を広げているが、2026年2月期には連結営業赤字に転じた。
2026年10月15日公表の中間決算では営業黒字に回復した。有料会員数も増えており、経営改革が空振りに終わると決まったわけではない。ただし、会員単価の改善はまだ確認途中であり、2024年に買収したエンバウンドでは大きな減損が発生している。収益の回復と、投じた資本が十分な利益を生むことは分けて判断する必要がある。
10年後の中立では、IPなどが伸びても広告の縮小と本社費の増加が利益を抑える。事業ごとに積み上げた5つの筋書きを資本コスト8.5%で割り引くと、現在価値は概算で約5.7億円となり、基準時価総額約17.8億円を約68%下回る。会社が示す2030年の売上目標を達成するだけでは、この差を埋められない。課金収入の増加、買収事業の黒字定着、株主還元の実行という三つの成果が必要だ。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に確かめるべきことは、10年後も必要とされるサービスかという問いである。天気予報は確実に必要とされる。ただし、天気予報が必要であることと、「tenki.jp」のページに広告を表示する仕組みが必要であることは違う。AIが利用者の代わりに天気を確認する時代には、この二つを混同することが最大の投資上の誤りになる。
オーナー利益という観点では、既存の天気メディアは優れた事業だった。巨額の設備を抱えず、比較的少ない追加投資で広告収入を生んできたからだ。ところが、稼いだ現金を別の事業に振り向けた結果、2026年2月期には連結で赤字となった。太陽光は収益を補うが、発電設備に資本を拘束する。IPは地域との独自の関係を築くが、まだ黒字の実績が薄い。これらを合算して過去の高いROEが戻ると期待するのは慎重さを欠く。
もっとも、全てを否定する必要もない。天気メディアから有料会員へ収益源を移し、「温泉むすめ」のファンとの継続的な取引を育てられれば、広告依存時代より安定した事業になる可能性がある。2027年2月期中間期に営業黒字へ回復したことは、その可能性を支える初期の証拠だ。しかし単価の改善や買収事業の十分な採算が実証されたわけではない。
筆者が重視するのは、株主の資本をどこに投じるかである。ROEが資本コストに届かない成長なら、売上の拡大自体に価値はない。現在の時価総額を正当化するには、天気の利用者を利益率の高い課金顧客へ変え、IPの赤字を解消し、同時に共通費を吸収する必要がある。その実績がそろうまでは、安全域のある価格を厳しく求めたい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は「tenki.jp」である。日本気象協会が気象予報や関連コンテンツを提供し、ALiNKがウェブサイト、アプリ、広告運用などを担う。共同事業の収益配分は同社49.5%、日本気象協会50.5%である。2026年2月期の同事業売上は約5.54億円、セグメント利益は約1.80億円だった。運用型広告が売上の8割以上を占め、検索流入、天候、広告入札価格が収益を左右する。登山天気などの有料アプリは、広告に依存しない収入を育てる役割を持つ。
IPプロデュース事業は、2024年5月に取得したエンバウンドを中心に、地域活性化コンテンツ「温泉むすめ」の物販、イベント、地域企業との共同企画を展開する。2026年9月末には136のキャラクターが存在し、31キャラクターが観光大使などを務めている。2026年2月期の売上は約2.86億円まで伸びたが、セグメント損失は約1.16億円だった。ファンが存在することと、イベント制作費や人件費を回収できることは同義ではない。
太陽光コンサルティング事業は、固定価格買取制度の下で稼働する中古の発電設備を一時保有し、その間の売電収入を得る。最終的な設備売却に伴うスポンサー料は営業外収益に計上される。2026年2月期の売上は約1.33億円、セグメント利益は約1.29億円だった。ただし設備取得には多額の資金を要し、設備の売買が滞れば資本が拘束される。この利益率だけで恒久的な高収益事業と判断してはならない。
空間プロデュース事業は、貸会議室や撮影スタジオの運営が主体である。2026年10月の資料では会議室15室、スタジオ6室を展開している。旧来の予約・価格最適化プラットフォーム「シーズスペース」の一部事業はGMOオフィスサポートへ承継した。2026年2月期の売上は約0.42億円、セグメント損失は約0.32億円だった。4事業のセグメント利益を合計すると黒字だが、本社・共通費約2.57億円を差し引くと連結営業赤字になる。この本社費の負担が、10年先の企業価値を決める大きな要素である。
優良さと弱いところ
同社の最大の強みは、天気という利用頻度の高い情報に接点を持っていることだ。天気の確認は景気が悪くなってもなくならない。日本気象協会の信頼性、長年蓄積した閲覧習慣、広告運用の経験が組み合わさり、新規参入者が短期間で同じ閲覧規模を築くのは難しい。専門的な登山天気では、一般的な天気予報より有料課金の余地もある。
ただし、その強みは完全には自社のものではない。気象情報の権利は日本気象協会にあり、「tenki.jp」の共同運営契約が終了すれば、現在のブランドを使った事業を継続できない可能性がある。契約は3年を基本とし、以後1年ごとの自動更新である。共同事業の価値を高く評価するほど、契約相手への依存も重く見る必要がある。
値決め力は強くない。広告単価は入札市場と配信事業者の条件に左右され、会社の判断だけで上げられない。2026年2月期にはPVが前期の88.3%、広告単価が97.8%となり、集客と単価の両方が傷んだ。一方、2027年2月期中間期の有料会員指数は113へ上昇したものの、単価指数は100にとどまる。値上げに応じて顧客が離れないという実証はまだ十分でない。
財務面では、2026年2月期の自己資本約13.9億円、純現金約1.6億円という一定の余裕がある。しかし2020年から2022年にかけて高かった営業利益率は低下し、2026年2月期には赤字となった。2027年2月期中間期の営業黒字回復は前向きだが、買収事業が資本コストを超える増分利益を生む実績はまだ確認できない。堀は「普通」と判断する。天気メディアの接点には持続性があるものの、広告の値決め力と契約上の支配力が弱く、会社全体を強い堀の事業とは評価できない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本のインターネット広告市場は伸びている。電通の2025年調査ではインターネット広告媒体費は約4兆459億円に達した。しかし市場全体が大きくなっても、個別媒体の広告単価が上がるとは限らない。Google、Yahoo!、Metaなどが広告需要と配信技術を握り、天気のような定型情報は検索結果やAIによる要約の中で消費されやすい。ウェザーニューズも大きな利用者基盤を持つ競合である。ALiNKの天気事業売上約5.54億円は、国内の広義の広告媒体費の約0.014%に相当するが、天気情報だけの市場シェアではない。競合各社と比較できる気象媒体限定の売上シェアは開示されていない。
AIエージェント代替については、自社媒体の広告枠を販売する型に当たる。人月課金の受託事業とは異なり、閲覧者そのものが収益の源泉となる。AIが天気の回答を直接返すほど、サイトを訪れる必要が減る。逆に、登山中の危険判断や個人向け通知など、継続的な利用体験には課金余地が残る。中立では10年後のPVを現在の約8割とし、名目の広告・課金回収額は物価上昇と会員化の効果で補う。ただし10年より先も検索流入が従来どおり増えるとは考えない。
国内キャラクタービジネス市場は、矢野経済研究所の推計で2025年度約2兆8,767億円である。同社のIP売上約2.86億円は、単純比較では約0.010%にすぎない。サンリオ、バンダイナムコなど大規模なIP保有者とのブランド力の差は大きい。一方、「温泉むすめ」は温泉地との結び付きが特徴で、同じ地域を何度も訪れるファンを育てられれば、全国規模の人気を獲得せずとも採算が合う可能性はある。キャラクター別の厳密な競合シェアは公表されていない。
太陽光では、中古FIT設備の価格、残存買取期間、設備の劣化、金融機関の融資姿勢が重要となる。国内の導入済み太陽光設備は数千万kW規模で、同社が保有する発電量は市場全体から見ればごく小さい。設備の入れ替えと再販売を継続できるかが数量の源泉となり、既存FIT単価には物価上昇をそのまま転嫁できない。貸会議室市場では、インスタベースが4万8,000件以上のスペースを掲載している。同社の21施設は掲載件数の約0.044%に相当する規模で、地域も商品構成も異なるため厳密な市場シェアではない。スペースマーケットなどとの競争では、立地、稼働率、清掃・管理費が利益を左右する。
資本政策と M&A
経営の資本配分には、評価できる部分と疑問が残る部分がある。2022年から2023年にかけて発行済株式から自己株式を除いた株数が大きく減り、2026年5月末時点でも約33万株の自己株式を保有している。自社株買いの実績は少数株主にとって前向きだが、現在の企業価値は買収資産の収益性に左右される。2024年5月に取得したエンバウンドでは、2026年2月期に約1.77億円ののれん減損が発生した。将来の利益を先取りして高く買うことの危険が表れている。
2026年5月の事業計画では、2027年2月期の売上高9.60億円、営業利益0.52億円、2030年2月期の売上高12億〜18億円が示された。有料会員指数200〜400、会員単価指数110〜120、体験価値売上比率40〜50%も2030年の目標である。一方、2030年の営業利益やROEには具体的な数字の約束がなく、配当性向、DOE、総還元性向、今後の自社株買い金額にも数字の約束はない。配当は一定の利益水準を達成した段階で検討する方針にとどまる。
株主優待は2月末と8月末を基準に実施され、100株以上の株主にデジタルギフトなどを贈る制度である。長期保有者には2月に「温泉むすめ」のQUOカードが加わる。2026年2月期末の株主数を基に、優待の年間負担を概ね0.05億〜0.09億円と推定し、10年間の株主還元に含めた。新たな配当を無条件で見込まず、利益が増える筋書きだけで少額の現金配当を加えている。
太陽光の一時保有やIPの拡大には資金が必要である。買収と設備取得を続けるなら、利益を留保した分がすべて余剰現金になるわけではない。今後は売上高だけでなく、投下した資本に対する税後利益、不要資産の売却、自己株式の扱いを継続して確認したい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は、単なる小規模な広告代理店ではない。53億PVという巨大な生活接点を持ち、日本気象協会の信頼できる気象情報と組み合わせている。天気は毎日確認され、季節ごとの行動や旅行、登山、防災にも結び付く。広告から有料課金へ移る余地は大きい。登山天気アプリの累計ダウンロード数は2026年10月の資料で84万件を超え、有料会員も約2.8万人まで増えた。一般の無料予報との差別化が明確な領域から課金収入を増やせる。
2027年2月期中間期には連結営業利益が約0.49億円の黒字に戻り、tenki.jp事業のセグメント利益も改善した。有料会員指数は113まで上昇している。会社の2030年目標どおり会員基盤が現在の2〜4倍に拡大し、単価も改善すれば、AI検索でPVが増えなくても1PV当たりの収益を引き上げられる。自社媒体の強みは、広告を売ることから顧客との関係を売ることへ変化するだろう。
「温泉むすめ」の136キャラクターは、温泉地や観光大使としての関係を持つ。人気が集中する都市型IPとは異なり、地域の観光需要と組み合わせることで長期間にわたり商機を作れる。2026年2月期の大型減損で過去の買収価格に関する負担は表面化しており、今後の改善が利益に反映されやすい。太陽光と貸会議室にも改善余地がある。経営が無理な買収を抑え、既存事業の採算管理に集中すれば、10年後には現在より大きな利益を出せる可能性がある。
慎重な見方
広告媒体の最大の問題は、利用者が知りたい情報と、媒体に訪れる動機が切り離され始めていることだ。AIエージェントは天気予報を読み取り、予定や服装の提案までまとめて返せる。利用者は天気を知っても広告を見ない。実際に2026年2月期にはPVと広告単価が同時に下がった。直近のPV回復を、10年後まで続く競争力の回復と見なすのは危険である。
さらに「tenki.jp」の気象情報とブランドを完全に支配しているわけではない。日本気象協会との契約が終了すると、現行ブランドを用いた事業の継続に重大な支障が生じる。収益配分条件の変更だけでも事業価値は動く。他方、ウェザーニューズやYahoo!天気などの競合は、利用者の囲い込みを進める。広告の入札単価は巨大プラットフォームの制度にも左右され、自社だけで利益率を守れない。
買収による多角化もまだ成功したとは言い切れない。エンバウンドの売上は増えたが、2026年2月期には約1.16億円のセグメント損失と大きなのれん減損を計上した。太陽光は固定価格での売電が中心で、買取期間の経過や設備劣化により将来収益が細る可能性がある。貸会議室は家賃と管理費が固定的に発生する。本社費も売上規模に比べて重い。売上だけを増やしても、利益が出なければ株主価値は増えない。
2027年2月期中間期の黒字回復は評価できるが、単価指数は100にとどまり、計画された収益構造への転換は道半ばである。株主にとっての問題は、天気情報の需要が消えることではなく、残った収益で買収費用、施設費、本社費を賄えなくなることだ。現在の自己資本をそのまま清算価値と見なすこともできない。赤字が続けば資産は費消され、利益を生まない事業に資本が滞留する。
どちらに重みを置いたか
天気メディアのブランドと直近の黒字回復には評価すべき点がある。しかし、広告単価を自ら決められないこと、気象協会との契約依存、IP買収の減損という具体的な実績を踏まえると、慎重な見方が優勢だ。上側の確率を25%、下側を42%とし、中立を33%とした。下に寄せる理由はAIを二重に減点するためではなく、既に発生した資本配分の失敗と新事業の収益化の不確実性にある。AI代替による縮小は中立のPVと10年より先の成長率に織り込み、資本コストや確率で重ねて減点していない。5つの筋書きの割引現在価値は約5.7億円となり、現在の約17.8億円に対して安全域はない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 613 円11 億円(+ 還元の換算額還元の合計 66 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 315 円6 億円、今との差 −67.6%、 期待の年率 −3.7%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,115 円38 億円 | 194 円4 億円 | +137.3% | +9.5% | 162 円3 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,125 円20 億円 | 122 円2 億円 | +28.1% | +2.6% | 224 円4 億円 |
| 中立 | 33% | 496 円9 億円 | 61 円1 億円 | −42.8% | −5.7% | 184 円3 億円 |
| やや悲観 | 26% | 277 円5 億円 | 30 円1 億円 | −68.4% | −11.3% | 80 円1 億円 |
| 悲観 | 16% | 166 円3 億円 | 17 円0 億円 | −81.2% | −15.9% | 29 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 613 円11 億円 | 66 円1 億円 | −30.2% | −3.7% | 679 円12 億円 |
今の株価時価総額 973 円18 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 課金転換と地域IPの収益化が同時に成功 利益 3 億円 · PER 11.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,115 円38 億円
tenki.jpはAIの直接回答が普及するなかでも、一般的な天気確認を超えた利用体験を確立する。登山者向けの危険予測や生活行動に合わせた通知が定着し、無料閲覧だけに依存しない収益が増える。年間PVは53億程度を維持するが、成長の中心は有料会員から得る収入となる。日本気象協会との契約と収益配分は維持され、情報の信頼性と利用者の定着率が強みになる。
「温泉むすめ」は地域の観光事業者との関係を深め、商品、イベント、デジタルサービスを組み合わせて黒字化する。大きな追加買収に頼らず、既存の136キャラクターを核とした経済圏が広がる。太陽光設備の回転も順調で、貸会議室は好立地への展開で稼働率を改善する。本社費の増加を上回る利益が生まれ、2036年には営業利益約4.13億円、純利益約3.0億円に達する。
過去の減損を教訓に、経営は投資採算を厳しく管理する。株主優待に加えて配当も開始し、利益の一部を株主に返しながら、成長のための資本も積み上げる。こうなれば現在の評価を上回る10年後の企業価値が見込める。ただしAIを自社の新商品として売っている実績に基づく楽観ではなく、有料課金と既存事業の改善が成功する筋書きである。
- tenki.jp事業:数量 53.0(年間ページビュー(億PV))× 価格 0.18(1PV当たりの当社帰属広告・課金等の換算売上(円/PV))→ 売上 10 億円・営業利益 5 億円。PVは現状と同水準。平均回収額は有料会員数の大幅増加、課金商品の拡充、物価上昇で改善。広告単価だけが72%上がるとの想定ではない。
- IPプロデュース事業:数量 390,000(年間の物販購入・イベント来場等の取引換算回数(件・推計))× 価格 1,900(1件当たりの当社帰属売上(円/件・推計))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。物販・イベント等の換算取引39万件。地域連携と再購入が増え、制作費の固定負担を吸収する。
- 太陽光コンサルティング事業:数量 7,000(保有設備の年間売電量相当(MWh・推計))× 価格 27(1kWh当たりの平均FIT等の売電収入(円/kWh・推計))→ 売上 2 億円・営業利益 2 億円。設備売買を拡張し、良質な高単価FIT案件を維持。取得資金と設備更新の負担を考慮して営業利益率は2026年実績より低くする。
- 空間プロデュース事業:数量 40.0(年間平均稼働施設数(施設・推計))× 価格 0.05(1施設当たり年間の利用料収入(億円/施設))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。好立地を中心に40施設へ増え、稼働率と年間施設収入を改善。
倍率:資本コストk=8.5%、10年後の自己資本32.0億円から余剰現金3.0億円を除き、純利益3.0億円から税後の現金利息0.042億円を除いた事業ROEは約10.2%。moatはnormalなので超過ROEが先に残る割合を1/2とし、RONIC=8.5%+1/2×(10.2%−8.5%)=9.35%。g_long=1.0%より、正当化PER=(1−1.0%÷9.35%)÷(8.5%−1.0%)=約11.9073倍。上限そのものを使用し、事業の純利益約2.958億円×PER+余剰現金3.0億円×戻り方1.0で時価総額を算出する。現在または過去の市場PERは参照しない。
確率:53億PVを維持しながら、会社が掲げる有料会員基盤拡大と単価改善を大幅に実現する必要がある。さらにIPと貸会議室も十分に黒字化し、過去の買収失敗を繰り返さないことが条件になる。複数の事業の同時成功を要するため確率は7%とする。
やや楽観 18% 課金が伸び、IP事業も採算化 利益 2 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,125 円20 億円
一般的な天気確認の一部はAIの回答へ移り、tenki.jpの年間PVは49億まで緩やかに下がる。それでも登山、旅行、防災などの専門的な場面で有料課金が増え、売上は広告単独時代を上回る。検索からの流入が減る一方、既存の利用者がアプリを直接開く割合が増え、日本気象協会との共同運営は安定して続く。
IP事業では、温泉地の物販と地域連携イベントが定着する。2026年時点の大きな赤字を解消し、利益率は13%程度まで改善する。太陽光では中古設備の取得と売却が順調に続き、売電収入が緩やかに伸びる。貸会議室も拠点を増やし、家賃と清掃費を賄ったうえで小幅な黒字となる。
本社の人件費とシステム費は物価に合わせて増えるが、各事業の増益がそれを上回る。2036年の営業利益は約2.10億円、純利益は約1.55億円になる。会社はこれまでより堅実に投資を選び、株主優待を維持しつつ、黒字の定着後に配当を行う。ただし積み上がった自己資本に対するROEは資本コストを下回るため、利益の成長だけで高い評価倍率を正当化できるわけではない。
- tenki.jp事業:数量 49.0(年間ページビュー(億PV))× 価格 0.16(1PV当たりの当社帰属広告・課金等の換算売上(円/PV))→ 売上 8 億円・営業利益 4 億円。PVは10年で現状の92%。有料会員収入の拡大が広告の流入減を補い、平均回収額が上昇する。
- IPプロデュース事業:数量 310,000(年間の物販購入・イベント来場等の取引換算回数(件・推計))× 価格 1,750(1件当たりの当社帰属売上(円/件・推計))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。年間31万件の取引換算。地域イベントの反復開催と商品構成の改善で黒字化。
- 太陽光コンサルティング事業:数量 6,500(保有設備の年間売電量相当(MWh・推計))× 価格 27(1kWh当たりの平均FIT等の売電収入(円/kWh・推計))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。保有設備の入れ替えを増やすが、FIT単価は大幅に上がらず、設備費用も増える。
- 空間プロデュース事業:数量 32.0(年間平均稼働施設数(施設・推計))× 価格 0.04(1施設当たり年間の利用料収入(億円/施設))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。32施設へ拡大し、予約稼働率の改善により黒字を確保。
倍率:k=8.5%、g_long=1%。自己資本24.2億円から余剰現金2.5億円を除いた事業資本21.7億円、純利益1.55億円から現金の税後利息0.035億円を除いた事業利益1.515億円より、事業ROEは約7.0%。ROEがk以下なので、将来の再投資による超過成長価値を加えず、PER上限1÷8.5%=11.7647倍をそのまま使う。事業利益×PER+余剰現金2.5億円×戻り方1.0とする。
確率:2027年2月期中間期の有料会員増加とIP赤字縮小を、今後も継続する筋書きである。2030年目標の上位水準までは求めないが、事業採算と共通費の管理が必要なため、楽観より現実的でも確実とはみなさない。
中立 33% 天気は残るが、成長事業の利益が共通費に吸収される 利益 1 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 496 円9 億円
tenki.jpは重要な情報媒体であり続けるが、利用者の一部はAIや検索結果の要約だけで天気を確認する。年間PVは53億から43億へ減る。登山天気などの課金収入が増え、物価上昇もあって1PV当たり回収額は上昇するため、天気事業の売上そのものは小幅に増える。ただし広告入札の条件を自社で決められないため、高い利益成長は見込まない。
温泉むすめは地域での認知を深め、物販やイベントの取引回数が増える。買収直後の赤字を解消するものの、運営や商品開発に費用がかかり、利益率は10%程度で落ち着く。太陽光は発電量換算で緩やかな拡大を続けるが、古いFIT設備の売電単価は据え置きか低下する。空間事業は25施設へ拡大し、ようやく小幅な営業黒字になる。
2026年2月期の本社・共通費約2.57億円には、物価と人件費の上昇が続く。費用を抑える努力はあるものの、10年後には約3.42億円を要する。各事業が生み出す利益の多くがその費用に吸収され、2036年の営業利益は約0.81億円、純利益は約0.62億円にとどまる。経営が事業を維持しても、株主の資本を十分な利回りで増やすところまでは届かない。
- tenki.jp事業:数量 43.0(年間ページビュー(億PV))× 価格 0.14(1PV当たりの当社帰属広告・課金等の換算売上(円/PV))→ 売上 6 億円・営業利益 3 億円。AIエージェント代替を反映し、年間PVは現在の約81%。平均回収額は物価相当の名目上昇と課金の増加を含み、広告の実質的な値決め力の回復は見込まない。
- IPプロデュース事業:数量 260,000(年間の物販購入・イベント来場等の取引換算回数(件・推計))× 価格 1,600(1件当たりの当社帰属売上(円/件・推計))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。26万件の物販・イベント取引換算。収益化が進むが、作品制作と人件費の負担が残る。
- 太陽光コンサルティング事業:数量 6,000(保有設備の年間売電量相当(MWh・推計))× 価格 26(1kWh当たりの平均FIT等の売電収入(円/kWh・推計))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。一時保有設備の入れ替えで数量が20%増えるが、固定買取単価の経年低下を見込む。
- 空間プロデュース事業:数量 25.0(年間平均稼働施設数(施設・推計))× 価格 0.04(1施設当たり年間の利用料収入(億円/施設))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。25施設が稼働。施設当たり売上は物価並みに増えるが、賃料・清掃費で利益率は低い。
倍率:k=8.5%、g_long=1%。事業の自己資本は20.1−2.0=18.1億円、事業の純利益は0.62−2.0×1.4%=0.592億円で、事業ROEは約3.27%。ROEが資本コスト以下なので、10年より先にためた利益に超過成長価値を付けない。PERは正当化上限1÷k=11.7647倍をそのまま用いる。事業利益×PER+余剰現金2.0億円×戻り方1.0により10年後時価総額を算出する。
確率:天気情報への需要が残り、IPと空間事業が改善する一方、広告の検索流入減と固定費の増加も続くという中心的な筋書きである。2027年中間期の黒字回復を認めつつ、2026年までの資本配分の弱さも無視しない。
やや悲観 26% 広告の縮小が進み、買収事業の採算が悪化 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 277 円5 億円
AIによる天気の直接回答が一般化し、tenki.jpの年間PVは32億まで減少する。広告入札単価は物価ほど上がらず、有料会員の獲得にも限界が見える。日本気象協会との共同事業は続くが、ブランドの集客力だけでは失われた広告収益を補えない。天気事業は黒字を維持しても、以前ほど共通費を負担する力がなくなる。
温泉むすめのファンは残るものの、イベントの集客と物販が伸び悩み、IP事業は再び小幅な赤字となる。太陽光ではFIT設備の買取期間が短くなり、設備売買の回転も鈍る。貸会議室は競争と賃料負担が重く、拠点数を減らしても採算が十分に回復しない。会社は本社費を一部削減するが、売上の減少を補うほどではない。
2036年の営業損失は約1.52億円、純損失は約1.20億円となる。10年間に生じた損失で自己資本が減り、株主還元は主に縮小された優待だけにとどまる。利益を生まない資産を額面の自己資本として評価することはできない。10年後までに残る正味現金と売却可能な設備を税後で換価した額を、悲観側の価値の上限とする。
- tenki.jp事業:数量 32.0(年間ページビュー(億PV))× 価格 0.12(1PV当たりの当社帰属広告・課金等の換算売上(円/PV))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。年間PVは現在の60%。AI検索の普及と広告入札単価の弱さが続く。
- IPプロデュース事業:数量 180,000(年間の物販購入・イベント来場等の取引換算回数(件・推計))× 価格 1,550(1件当たりの当社帰属売上(円/件・推計))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。商品・イベントの回数が減り、固定的な企画・人件費を賄えない。
- 太陽光コンサルティング事業:数量 4,200(保有設備の年間売電量相当(MWh・推計))× 価格 25(1kWh当たりの平均FIT等の売電収入(円/kWh・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。良質な中古FIT案件の取得機会が減り、残存買取期間と設備維持費が収益を圧迫する。
- 空間プロデュース事業:数量 18.0(年間平均稼働施設数(施設・推計))× 価格 0.04(1施設当たり年間の利用料収入(億円/施設))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。不採算拠点の撤退後も、残る賃料・管理費に対して稼働率が不足する。
倍率:純利益が赤字であり、利益の恒久価値をPERで正当化できない。10年後までの損失を考慮した資産の税後換価額5.0億円を採る。倍率は過去の市場PBRの底ではなく、現在の自己資本13.9億円に対する5.0÷13.9=約0.3597倍という表示上の比率である。2036年の自己資本8.3億円に倍率を掛けて資産価値を二重に減額しない。
確率:下に寄せる理由:2026年2月期に実際に発生した広告収入減、IPの赤字、買収ののれん減損という事実があるため。中立にもAIによるPV減少は入っており、追加の確率上乗せは主に多角化事業の実行失敗を反映する。
悲観 16% 検索経由の収益構造が壊れ、多角化も損失を止められない 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 166 円3 億円
天気を知る行為は残るが、検索結果やAIの回答から情報を得ることが普通になり、tenki.jpへの直接の訪問は大幅に減る。年間PVは21億まで低下し、広告の平均回収額も現状を下回る。日本気象協会との協業は形式上続いても、配分条件や運営負担が重くなる。高頻度の閲覧を広告利益に変えるというかつての強みは失われる。
IP事業では、既存ファンの高齢化や物販の不振が進み、イベントを開催するほど固定費がかかる。規模を縮小しても赤字が残る。太陽光ではFITの残存期間が短い案件が増え、設備売却の条件が悪化する。貸会議室も不採算拠点を閉じるが、撤退費と残る家賃負担が利益を圧迫する。追加の大型買収で問題を解決する道も取れず、事業の再編が中心になる。
2036年の営業損失は約2.71億円、純損失は約2.30億円となる。経営は優待を大幅に縮小し、10年間の損失で現金と自己資本を費消する。現在の高い自己資本比率も、10年後に残る株主の取り分を保証しない。価値は継続事業の利益ではなく、売却できる設備と現金から撤退費を差し引いたものに限られる。共同運営契約が完全に解消される場合は、この悲観的な資産価値すら下回る可能性がある。
- tenki.jp事業:数量 21.0(年間ページビュー(億PV))× 価格 0.10(1PV当たりの当社帰属広告・課金等の換算売上(円/PV))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。年間PVは現状の約40%。情報需要は残るが媒体への訪問と広告収入が激減する。
- IPプロデュース事業:数量 110,000(年間の物販購入・イベント来場等の取引換算回数(件・推計))× 価格 1,250(1件当たりの当社帰属売上(円/件・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。地域イベントと物販が縮小し、撤退しきれない運営費が残る。
- 太陽光コンサルティング事業:数量 2,500(保有設備の年間売電量相当(MWh・推計))× 価格 23(1kWh当たりの平均FIT等の売電収入(円/kWh・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。保有設備を大幅縮小し、残存FIT期間の短縮や維持管理費の増加に直面する。
- 空間プロデュース事業:数量 12.0(年間平均稼働施設数(施設・推計))× 価格 0.03(1施設当たり年間の利用料収入(億円/施設))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。12施設へ縮小するが、賃料と退出費用を十分に吸収できない。
倍率:継続的な純損失のため、純利益にPERを掛ける方法では正の継続価値が得られない。2036年時点で残ると見込む現金と売れる設備の税後額から精算費を控除した3.0億円を用いる。PBR0.2158倍は3.0億円÷現在の自己資本13.9億円であり、過去の谷の市場PBRを根拠にしていない。
確率:AIの回答によるPVの大幅減少だけでなく、日本気象協会との契約条件の悪化、IP事業の再投資失敗、太陽光の保有資産の価値低下が重なる筋書きである。完全な共同事業契約終了までを必須条件にはせず、複数の事業で構造的な負けが起きる確率として16%を見込む。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
tenki.jp事業
日本気象協会との共同運営による天気予報メディアの広告収入と、登山天気などのアプリ有料課金。閲覧機会に対する当社帰属収入を測る。
| 数量年間ページビュー(億PV) | 価格1PV当たりの当社帰属広告・課金等の換算売上(円/PV) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 53.0 | 0.10 | 6 | 2 |
| 10 年後 中立 | 43.0 | 0.14 | 6 | 3 |
取り方:会社の2026年5月事業計画にある年間約53億PVと、2026年2月期のtenki.jp事業売上5.54131億円を対応させた。1PV当たり約0.104553円は日本気象協会との収益配分後、かつ有料課金等を含む当社帰属収入の換算値であり、広告市場の公表CPMそのものではない。売上の8割以上を占める運用型広告について、2026年2月期のPVは前年比88.3%、広告単価は97.8%だった。2027年2月期中間期のPVは32億、登山天気アプリの累計ダウンロードは84.2万、有料会員は約2.8万人。今後はAIの直接回答によるPV減少を数量に、課金会員への転換と広告単価を価格に反映する。競合ウェザーニューズの利用者数とPVには定義の差があり、厳密な天気媒体市場シェアは算定できない。
IPプロデュース事業
温泉むすめを中心とするキャラクター商品の販売、イベント、地域企業との企画や権利収入。物販・来場・ライセンスを年間の取引回数へ換算する。
| 数量年間の物販購入・イベント来場等の取引換算回数(件・推計) | 価格1件当たりの当社帰属売上(円/件・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 220,000 | 1,302 | 3 | −1 |
| 10 年後 中立 | 260,000 | 1,600 | 4 | 0 |
取り方:商品点数や販売単価の全社合計は開示されていない。2026年9月末の温泉むすめ136キャラクター、観光大使等31キャラクター、都内イベント延べ約2000人/日の会社開示を参考に、年間約22万件の物販・来場等の取引相当を仮定した。136キャラクター当たりでは年約1618件に相当するが、実際の販売は一部人気キャラクターに偏る。2026年2月期のセグメント売上2.8639億円から1件当たり約1302円を算出した推計であり、公表された実販売点数や客単価ではない。矢野経済研究所の2025年度キャラクタービジネス市場2兆8767億円に対する売上の単純比率は約0.010%だが、同市場は小売額と版権収入を含むため厳密な比較可能シェアではない。
太陽光コンサルティング事業
中古FIT発電設備をおおむね3〜5か月一時保有し、保有期間中に売電する事業。最終売却時のスポンサー料は主に営業外収益として別に扱う。
| 数量保有設備の年間売電量相当(MWh・推計) | 価格1kWh当たりの平均FIT等の売電収入(円/kWh・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 5,000 | 27 | 1 | 1 |
| 10 年後 中立 | 6,000 | 26 | 2 | 1 |
取り方:2026年2月期のセグメント売上1.33289億円は保有設備からの売電収入である。年間売電量・平均FIT価格は会社が直接開示していないため、既設中古FITの高単価案件を含む平均約26.66円/kWhを仮定し、売上を約5000MWhに換算した。設備利用率14%なら約4.1MW相当であり、国内の累積太陽光導入量約78000MWとの対比では約0.005%に相当する極小規模だが、導入量は累積設備、同社の数量は一時保有分で厳密な市場シェアではない。3〜5か月で設備が入れ替わるため、5000MWhは同一設備の通年発電量を示さない。FIT単価は契約で決まり、物価3%を機械的に上乗せしない。設備売却時のスポンサー料は営業外に入るので、営業利益と二重に足さない。
空間プロデュース事業
貸会議室、撮影スタジオなど、実際のスペースを時間貸しする事業。施設数と1施設当たり年間利用料収入で測る。
| 数量年間平均稼働施設数(施設・推計) | 価格1施設当たり年間の利用料収入(億円/施設) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 15.0 | 0.03 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 25.0 | 0.04 | 1 | 0 |
取り方:2026年10月の会社資料では貸会議室15室と撮影スタジオ6室の合計21施設が確認できる。ただし2026年2月期の期中平均稼働施設数は開示されていないため、拡大途上だった前年の平均を15施設と仮定し、2026年2月期セグメント売上0.42153億円から年1施設当たり約281万円の収入を推計した。2027年2月期中間期の空間事業売上は約0.246億円で、事業の拡大を確認できる。2025年12月時点でインスタベースは全国4万8000件以上を掲載しているが、同社の直営施設とプラットフォーム掲載件数は性質が異なる。2026年9月の予約プラットフォーム事業のGMOオフィスサポートへの承継を踏まえ、将来は主に実店舗施設数と稼働率・利用料を評価する。
リスクと懸念
AIエージェント代替と広告モデルの侵食
天気予報の需要そのものは消えないが、AIエージェントや検索結果が利用者の代わりに答えを返すと、tenki.jpの閲覧回数と広告表示機会は減る。2026年2月期には既にPVと広告単価が同時に低下した。運用型広告が天気事業売上の8割以上を占める以上、媒体への訪問減少は直接的な収益減となる。中立のPVを10年で約81%に縮小し、2036年以降の名目成長率も1%に抑えた。
日本気象協会との契約・収益配分依存
tenki.jpは日本気象協会との共同運営であり、収益配分は49.5対50.5である。気象情報の権利やブランドの扱いについて同社が単独で決められるわけではない。契約の解消時には現行ブランドによる事業継続が困難になりうる。広告事業の利益が大きいだけに、契約条件の悪化は連結利益へ直接響く。
IP買収の採算と追加減損
2024年に取得したエンバウンドの事業は売上が増えたが、2026年2月期には約1.16億円のセグメント損失と約1.77億円ののれん減損が発生した。地域との関係やキャラクター数は経済的な独占を保証しない。人件費、商品製作費、イベント費用を回収できなければ、売上が増えても株主利益が増えない。今後の追加買収にも同じ問題がある。
太陽光FIT設備の残存期間と資本拘束
太陽光コンサルティング事業は、中古設備を一時保有して売電し、その後売却する。FIT買取単価は物価と連動して上がるわけではなく、残存買取期間が短くなるほど設備価格は下がりやすい。設備を購入するための資金も必要であり、取引が滞ると現金化が遅れる。セグメントの高い営業利益率だけで投下資本利益率の高さを断定できない。
貸会議室の固定費と新リース会計
貸会議室やスタジオは実際の施設を必要とするため、予約が減っても家賃や管理費が残る。AIによる予約の自動化だけでは、施設の稼働率の問題は解決しない。新リース会計基準により将来は使用権資産とリース負債が計上され、見かけ上の純負債や営業利益の表示が変わる可能性がある。10年予測は賃料を営業費用に含めた現在と同じ経済的な形にそろえた。
資本配分と少数株主への還元
創業者らの保有比率が高く、少数株主が資本の使い方を直接決めることは難しい。一方で自社株買いの実績はあるため、余剰現金をまったく戻さないと決め付けることも適切ではない。2030年の売上目標は示されているが、ROEや配当性向には数値目標がない。買収や多角化で現金を使い続ける場合、利益をためても株主の価値にならない可能性がある。
今後の分かれ目
- 有料会員指数が2030年までに200以上となり、ユーザー単価指数も110以上に上昇し、その増収がセグメント利益に表れたら
- 広告への依存が実際に薄れた証拠として、天気事業の平均回収額と利益率を上方修正する。楽観・やや楽観の確率を増やす余地がある。ただしPVの成長まで自動的には仮定しない。
- tenki.jpの年間PVが40億を下回り、広告単価の低下も同時に続いたら
- 中立で想定した43億PVへの縮小が早期に起きたことになる。回収額を引き下げ、やや悲観・悲観の売上と利益率の前提を重く見る。
- 日本気象協会との共同運営契約または49.5対50.5の収益配分に重大な変更が発表されたら
- 天気事業の継続性と当社帰属収益を一から見直す。契約解消や大幅な配分悪化なら悲観の資産価値すら下回る可能性を検証する。
- IPプロデュース事業が通期で2期連続黒字となり、追加減損や大きな買収を伴わずに達成されたら
- 地域IPの販売数量と利益率の中立前提を引き上げる。買収済み資産の増分ROICが資本コストを超えたかを確認し、単なる売上増加だけでは評価を変更しない。
- 太陽光発電設備の保有残高が大きく増えたのに、売電収入と売却時の現金回収が伴わなかったら
- 設備の滞留と資本効率の低下を疑い、余剰現金の認定額を減らす。FITの残存期間と設備売却価格を点検し、悲観の換価資産額も引き下げる。
- 連結営業利益が2億円以上で定着し、同時に配当方針や自社株買いの具体的な数字が公表されたら
- 共通費を吸収する利益水準が回復した証拠として中立の純利益と株主還元を見直す。ただし自己資本の積み上がりに対してROEが資本コストを超えるかまで確認する。
見ておくもの
- tenki.jpの年間・四半期PV、前年比のPV指数と広告単価指数
- 有料会員数指数とユーザー単価指数。2027年2月期中間期は113と100、同年度目標は123と103
- tenki.jp事業の運用型広告依存度と有料課金収入の金額
- 日本気象協会との共同運営契約の更新、収益配分49.5対50.5の変更有無
- IP事業の四半期売上、セグメント営業利益、イベントの購入者・来場者数と追加減損の有無
- 太陽光設備の保有残高、売電収入、最終売却時のスポンサー料、借入金と現金回収
- 空間事業の稼働施設数、1施設当たり年間売上、家賃負担と事業損益
- 2030年2月期の売上目標12億〜18億円、有料会員指数200〜400、体験価値売上比率40〜50%の進捗
- 自己株式を除く発行済株数、配当、株主優待費用、今後の買収金額と投下資本利益率
倍率と資本コストの決め方
数量は天気の実PV、IPの取引換算回数、太陽光の推定売電量、空間の稼働施設数に分けた。物価3%は名目の単価にのみ反映し、PVなどの実質数量には加えていない。FIT単価は物価連動させず、本社費は2026年実績約2.57億円を基準にインフレと縮小時の固定負担を考えた。10年後のPERは現在や過去、同業の市場評価からではなく、資本コスト8.5%、事業ROE、RONICと長期成長率1%で決めた。中立・楽観側は正当化上限そのものを採り、現金を事業利益から外して別に加えた。悲観側は過去のPBRの底でなく、将来残る売却可能資産の税後額を使った。基準株価984円、株数1806832株による現在時価総額は約17.78億円。5筋書きの時価総額と10年間の還元を資本コストで割り引いた概算現在価値は約5.69億円で、差は約マイナス68%となる。今の株価に合わせて利益率や倍率を調整していない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。全社共通の基本資本コスト7.5%に、利益変動の大きさと広告の値決め力の弱さによるquality+1.0%を加えた。規模、株価のベータ、個別買収の失敗確率は別途上乗せしない。
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