結論
アイモバイルは、ふるさと納税サイト「ふるなび」を収益の柱に、インターネット広告と電力へ展開する会社である。10年保有する株主の目では、現在の時価総額はおおむね適正で、積極的に評価を上乗せするほどの安全域は見出しにくい。ふるなびは強い販路を持つが、その料金を最終的に決めるのは自治体と制度だからだ。
主力のコンシューマ事業は2026年7月期に営業利益41億円を稼いだ。しかし2026年9月公表の新中期計画では、寄附件数の増加を見込む一方、2029年7月期の同事業利益は33.5億円へ下がる。寄附者を増やしても手数料単価の低下に食われる構造は、過去の高収益をそのまま将来に延ばせないことを意味する。
会社が次の成長源とするのは、太陽光、系統用蓄電池、小売電気を束ねる事業である。ここに利益の伸びしろはあるが、2029年に営業利益18.5億円という目標は、まだ小さな実績からの飛躍を含む。投資回収と価格競争を見極める前に、成熟した独占事業と同じ値打ちを与えることはできない。
財務面の余裕は一定の下支えになる。ただし現預金・有価証券には自治体等への預り金に対応する部分が多く、見かけの純現金全額を株主の余剰資産と見なしてはいけない。現在価値は将来の利益と現実的な還元から求め、制度改正に負ける場合には資産の回収可能額まで視野に入れた。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主なら、まず利益の出所が十年後にも存在するかを確かめるだろう。ふるさと納税そのものは継続しても、ポータルサイトが今と同じ手数料を受け取れるとは限らない。人々の寄附は公金の移転と税額控除を伴うため、規制に対して私企業の価格決定権は弱い。ここでは件数を伸ばす能力より、手数料が下がった後にも残る利益を重く見る。
「ふるなび」の自治体とのネットワークは資産である。しかし利用者と自治体が他社サイトを併用でき、運営データの独占性や低解約率も十分に開示されていない。したがって、高いROEのすべてを独占の堀による超過利益とみなさない。広告の業務代替はもっと速く、これまでの経験で得たノウハウの一部はAIによって値段がつかなくなる。
電力事業は異なる問題を抱える。太陽光と蓄電池には実体資産があり、自動化で電気そのものが不要になることはない。それでも装置を買っただけでは儲からず、稼働率、収入単価、保守費用、更新投資まで見た追加投資の利回りが資本コストを超えて初めて株主価値が増える。中計の高い営業利益率は有力な目標だが、長年の実績ではない。
配当と自己株取得を実施してきた経営には一定の規律を認めたい。しかし業績条件付きとはいえ、大きな新株予約権が自社株買いの効果を相殺しうる。現金の多さも預り金の義務を差し引いて考えるべきだ。適正な価格と魅力的な安全域は別であり、筆者は新事業の実績が積み上がるまで価値を慎重に見積もる。
何で稼ぐ会社か
事業の中心は、利用者が「ふるなび」で返礼品や旅行を選び、自治体が受け付けた寄附の手続きや集客に対して会社に対価を払う仕組みである。寄附の全額が会社の売上になるわけではない。2026年7月期のコンシューマ事業売上は195.4億円で、寄附受付のほか、トラベル、広告、自治体業務代行などを含む。契約自治体は1,586、会員は300万人を超え、登録先と利用者が集まるほど返礼品の品ぞろえと集客に相乗効果が出る。
その相乗効果は本物でも、契約自治体の多くが競合サイトも利用でき、寄附者も毎年比較して申し込める。主な競合は楽天ふるさと納税、さとふる、ふるさとチョイス、Amazonふるさと納税である。独自の旅行ポイントや決済機能は差別化になるが、利用の習慣が必ず同社だけに囲い込まれるわけではない。
祖業のインターネット広告事業では、広告配信、媒体向け収益改善、企業の宣伝支援を行う。2019年に子会社化したオーテの「パズルde懸賞」など自社アプリの収益もここに入る。2026年の同事業売上は23.2億円、営業利益は0.7億円で、かつての大きな収益源は細っている。広告枠の仲介や運用を支える仕事はAIによる自動化の直撃を受け、自社アプリも利用者の時間を奪い合う。
第三の柱はグリーンエネルギー事業である。2026年7月末に太陽光発電所51か所を稼働させ、系統用蓄電池は同年3月に需給調整市場へ参入した。小売電気では「ふるなび」の顧客接点を使う。電力を実際に作り、貯め、必要な時間に届ける事業は広告仲介とは違うが、設備投資、系統接続、調整力の市場価格が収益を決める。
優良さと弱いところ
長く残る強みは、ふるさと納税の自治体と寄附者を結ぶ接点にある。1,586の契約自治体は全国の約88%に当たり、旅行など独自返礼品も積み上がった。自治体ごとの申込処理や配送管理を支援する機能には運営の手間を引き受ける価値があり、新規参入者が一朝一夕に同じ関係を築くのは難しい。しかし料金引上げの実績より、行政からの引下げ要請が強くなっている。
この会社を強固な独占企業と考えない理由は、顧客が併用しやすいことだ。寄附者の解約率が低いという数値や、年単位の移行が不可避であるとの証拠は示されていない。自治体業務代行の記録が一部あっても、法定記録の正本として事実上不可欠な基盤だとは確認できず、広告やサイト全体まで特別な堀を広げることはできない。
資本効率はこれまで高く、過去10年のROE中央値は15.6%、2026年の実績も17%台である。利益率も近年は2割前後に保たれ、財務に有利子負債の重荷はない。だが、その高収益には規制下でも徴収できた手数料が寄与していた。広告は2026年に営業利益率3%台まで低下しており、単に自社技術を持つだけでは値付けの力を守れないことを示す。
電力事業には、発電所の運転実績と広告配信で磨いた需給最適化の技術がある。ただし蓄電池の大規模運営の期間は短く、価格変動を通じて長期的に超過利益を保てるとの証拠はまだ足りない。堀は全社を一枚岩で判定せず、ふるなびの接点は並の強み、広告は弱い、電力は実行能力を検証中と見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ふるさと納税は2025年度に全国の受入額が1兆3,314億円、受入件数が5,963万件に達した。利用者が控除を申請する制度なので、日本の人口減少だけで件数が減るとは限らない。新たな利用者と所得の伸びで市場が拡大する余地はあるが、利用率の上昇は過去より緩やかになり、税控除や高所得者向け制度の見直しにも左右される。
国内寄附の約97%はポータルサイトを経由し、大手4サイトの取扱額は全体の8割を占める。楽天ふるさと納税、さとふる、ふるさとチョイス、ふるなびの競争にAmazonも加わった。
ふるなびの2026年推定受付件数約562万件は、2025年度全国件数との単純比較で約9%に当たる。ただし期のずれがあり、寄附金額での正式な全国シェアは非開示である。
2025年の自治体調査で寄附割合を回答した278団体の単純平均では、楽天33.9%、さとふる24.3%、ふるさとチョイス23.3%、ふるなび12.5%、Amazon0.8%だった。これは全国の金額加重シェアではなく参考値にとどまる。会社の「20%獲得」は目標である。
最も大きな変化は規制である。2025年10月から寄附者へのポイント付与が禁じられ、2026年には総務省がポータル手数料の引下げを要請した。自治体が支払ったサイト関連手数料は全国平均でポータル経由寄附額の11.5%に達している。これはふるなび独自の料率ではないが、自治体の財政負担への批判は強い。寄附件数を保っても1件当たりの会社売上が減るとみるのが自然だ。
一方、2025年の国内インターネット広告費は約4兆459億円と成長している。それでもアイモバイルの広告売上は縮み、大手のGoogle、Meta、LINEヤフーや広告プラットフォームに収益機会が集中する。広告市場全体の成長を同社の配信件数の増加と取り違えてはいけない。AI検索の普及と広告代理業務の自動化は既存のネット広告仲介をさらに圧迫する。
電力ではデータセンターなどの需要増と再生可能エネルギー導入が追い風で、全国の需要電力量は2024年度8,059億kWhから2034年度8,524億kWhへの増加が見込まれる。だが同社が計画中の発電所をすべて完成させても総発電容量は10MW超という段階で、全国シェアは極めて小さい。競争相手は既存の電力会社、蓄電事業者、再生可能エネルギー開発会社であり、調整力価格が下がれば高い利益率は維持しにくい。
資本政策と M&A
経営陣は過去10年で、広告一本足からふるさと納税へ収益源を移すことに成功した。2019年のオーテ子会社化は自社アプリという別の広告面を加え、近年は太陽光と蓄電池に投資先を広げている。2026年7月期には配当約14.6億円と自己株式取得約5.0億円を実行し、利益を株主に戻す姿勢も確認できる。
2026年9月発表の新中期計画は、2029年7月期に売上229億円、営業利益53億円、純利益36.7億円、ROE15%以上を目指す。ふるさと納税事業の利益は41.0億円から33.5億円へ減る一方、グリーンエネルギー事業は0.6億円から18.5億円へ増える計画で、電力は売上38億円に対して利益率約49%を要求する計画で、増益目標の実現は新事業の実行に懸かる。還元は2027年7月期まで配当性向50%を目安とし、2028年7月期以降は累進配当とDOE5%以上を掲げる。自社株買いの固定額までは約束していない。
懸念は蓄電池投資と役員等への株式報酬である。2026年には100億円の借入枠を確保し、前期の有形固定資産投資も大幅に増えた。既存株主にとっては、預り金を除いた自由な現金で増配と設備投資を同時に賄えるかが問われる。さらに2026年8~9月には大株主関係法人等への有償新株予約権を含む条件付きの潜在株式を約343.5万株設定し、自己株消却を中止した。業績達成時の持分希薄化を忘れず、事業価値と既存株主の取り分を分けて評価した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ふるなびは一時的な広告媒体ではない。全国約9割の自治体との接点と300万人超の会員を持ち、独自のトラベル返礼品や決済方法で繰り返し使ってもらえる。利用者の寄附額には所得増と参加率上昇の余地があり、自治体が負担する手数料を下げても、サイト内広告や旅行予約、事務受託の収入を増やせば1件当たりの価値を守れる。広告ノウハウを販売促進効率の改善に振り向けられることも、同社ならではの強みである。
電力の展開は広告から寄附への転換に続く第三の新事業となりうる。51か所の太陽光発電所は既に稼働し、系統用蓄電池は需給調整市場で実際に収益を生み始めた。再エネ比率の上昇で需給の変動が大きくなるほど、最適な時に充放電できる設備の価値は高まる。ネット広告で培ったリアルタイム入札と需給予測の技術を電力に転用できれば、既存の電力会社にない速度で商品を磨ける。
新中期計画は2029年に全社営業利益53億円、ROE15%以上という明確な目標を持ち、DOE5%以上の累進配当も掲げる。新事業の投資を進めながら利益を株主に返す実績が続けば、事業の利益も利益の質も改善する。預り金を除いても一定の財務余力があり、借入枠を使った投資で株主資本の希薄化を抑えられる。長期の高付加価値な収益源を獲得する可能性を無視してはならない。
慎重な見方
ふるさと納税市場が伸びることと、仲介会社が儲かることは別である。行政は自治体の経費削減を求め、2025年のポイント規制に続いて2026年には手数料の引下げを要請した。ふるなびは多くの自治体を取引先に持つが、それだけに契約更新で低料金を要求されやすい。サイトの差別化のための宣伝費が残ったまま単価だけ下がれば、規模を拡大しても利益は増えない。Amazonや楽天など集客力の高い競合に、高額寄附者をさらに奪われる恐れもある。
広告事業の実績は、技術を持っていても競争力を維持する難しさを示す。2022年の売上は40億円を超えたが2026年には23億円台となり、利益率も3%ほどに低下した。AIエージェントは広告素材の制作、入札、分析、配信先の選択を自動化し、従来の仲介手数料をさらに押し下げる。自社アプリの滞在時間も検索の変化や娯楽サービス間の競争に奪われうる。
電力事業は現時点でまだ小さく、2029年の営業利益18.5億円という目標は極めて急である。系統用蓄電池の需給調整市場は供給が増えるほど単価が下がりやすく、設備故障や再投資も必要だ。建設中の資産はすぐに現金化できず、100億円の融資枠は新しい返済義務の入口にもなる。加えて条件付き新株予約権は業績達成時に既存株主の取り分を減らす。見かけの純現金が潤沢だと思って買えば、預り金の存在に後で驚かされる可能性がある。
どちらに重みを置いたか
制度に守られた需要と、制度によって削られる収益単価の両方を認める必要がある。ふるなびの取引基盤と還元実績は上側の筋書きを支えるが、会社自身が2029年までの主力事業減益を計画し、電力への急速な利益移行を求めている点は重い。確率はやや悲観と悲観の合計を42%とし、上側の27%より厚くした。これは広告のAI代替を二重に引くためではなく、寄附手数料の行政規制と蓄電池の設備投資採算という独立した不確実性があるからだ。現在の価値評価はおおむね適正だが、安全域は薄く、新事業の実績が判断を分ける。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/07 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 792 円433 億円(+ 還元の換算額還元の合計 273 円149 億円)。 今の値に割り戻すと 563 円308 億円、今との差 +24.1%、 期待の年率 +10.6%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,937 円1,059 億円 | 426 円233 億円 | +420.5% | +20.9% | 189 円103 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,314 円718 億円 | 358 円196 億円 | +268.2% | +16.4% | 318 円174 億円 |
| 中立 | 31% | 959 円524 億円 | 293 円160 億円 | +175.6% | +12.6% | 388 円212 億円 |
| やや悲観 | 27% | 261 円142 億円 | 221 円121 億円 | +6.0% | +0.8% | 130 円71 億円 |
| 悲観 | 15% | 133 円73 億円 | 135 円74 億円 | −40.9% | −6.6% | 40 円22 億円 |
| 加重平均 | 100% | 792 円433 億円 | 273 円149 億円 | +134.5% | +10.6% | 1,065 円582 億円 |
今の株価時価総額 454 円248 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 全国でシェアを広げ、蓄電池も収益の柱に 利益 73 億円 · PER 13.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,937 円1,059 億円
ふるなびは独自の旅行返礼品と決済サービスで利用者の定着を高め、寄附受付は年900万件へ拡大する。行政からの手数料引下げには応じるが、リテール広告と自治体業務代行を増やし、混合単価は大幅には崩れない。全国の寄附受付市場も拡大し、同社の件数シェアは1割超へ高まる。楽天やAmazonとの競争でも、高額寄附者向けの旅行商品の品ぞろえが支えになる。
広告仲介はAIエージェント代替で配信量が縮むが、自社アプリと技術提供の組合せで価格を守る。電力は新たな太陽光・系統用蓄電池を順調に連系し、小売電気への送客も広がる。調整力市場の価格は競争で下がっても、最適運用で設備当たり収益を高める。営業利益の3割以上を電力が稼ぎ、広告からふるなびへの転換に続く事業創造の再現性が示される。
設備の更新と借入利息を賄っても高い利益が残り、DOEに加え機動的な自己株買いが続く。業績条件を満たす新株予約権の大半が行使されるため、会社全体の価値の伸びがそのまま既存株主に帰属するわけではない。
- ふるさと納税・コンシューマ:数量 900(年間寄附受付件数(万件、実質、周辺事業も件数当たり収入に換算))× 価格 0.32(寄附受付1万件当たりの連結認識売上(億円、名目))→ 売上 288 億円・営業利益 69 億円。900万件×0.32億円/万件。2026年推計561.5万件、単価0.348億円からの数量・制度手数料変化を分けて計算。
- 広告配信・広告支援・自社アプリ:数量 19.0(当社相当の有効広告表示換算量(10億回、未開示のため推定))× 価格 1.27(有効広告表示10億回当たりの同社認識収入(億円、名目))→ 売上 24 億円・営業利益 2 億円。推定広告表示19×1表示束当たり1.27億円。AIエージェント代替による配信数量縮小と単価上昇限界。
- グリーンエネルギー:数量 500(稼働する太陽光発電所数を基準にした電力設備・顧客基盤の施設等価量(設備換算件、実質))× 価格 0.21(施設等価1件当たりの電力・調整力・小売の年間認識売上(億円、名目))→ 売上 105 億円・営業利益 34 億円。電力設備・顧客の施設等価500×年0.21億円。蓄電池と小売増による構成変化込み。
倍率:中立〜上側の正当化PER上限を採用。2036年事業ROE約19.2%、k7.75%、moat=normal(超過収益の残る割合1/2)、RONIC約13.5%、10年以降の名目g1%から(1−g/RONIC)/(k−g)=13.72倍。余剰現金40億円の税後利息0.56億円を純利益から控除し、40億円を戻り方1.0で加える。今の株価や市場PERは倍率の根拠に使っていない。
確率:好況・規制対応・新事業投資が同時に成功し、全国寄附件数の伸び以上に自社の獲得率を高める必要があるため、可能性はあるが高い確率にはしない。
やや楽観 19% 規制後も顧客基盤を生かして成長 利益 46 億円 · PER 13.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,314 円718 億円
ふるなびは寄附市場の成長を取り込み、2036年の受付が800万件となる。2029年の会社計画で想定する減収は経験するものの、トラベルなど周辺収益の拡大で1件当たり売上の落ち込みが緩やかになる。自治体の受託業務では配送管理と相談対応を標準化し、広告費を増やさなくても継続利用を促せる。楽天やさとふるとの競争で独占的な地位は得られないが、収益基盤は崩れない。
広告はAIによる仕事の自動化が進むため、既存の配信事業は小さくなる。技術の外部提供と自社アプリの課金が残存事業の利益を維持する。電力ではすべての投資案件が成功するわけではないが、蓄電所の稼働が増え、事業全体で二桁億円の営業利益を継続して稼ぐ。調整力単価の下落があっても、発電と小売による収益分散が効く。
新株予約権の行使で既存株主の持分は薄まるが、現物電力事業の利益はその影響を上回る。増配と自己株買いを両立し、利益が一時的に低下する局面でも成長投資に必要な資金を確保する。
- ふるさと納税・コンシューマ:数量 800(年間寄附受付件数(万件、実質、周辺事業も件数当たり収入に換算))× 価格 0.28(寄附受付1万件当たりの連結認識売上(億円、名目))→ 売上 220 億円・営業利益 48 億円。800万件×0.275億円/万件。2026年推計561.5万件、単価0.348億円からの数量・制度手数料変化を分けて計算。
- 広告配信・広告支援・自社アプリ:数量 18.0(当社相当の有効広告表示換算量(10億回、未開示のため推定))× 価格 1.20(有効広告表示10億回当たりの同社認識収入(億円、名目))→ 売上 22 億円・営業利益 2 億円。推定広告表示18×1表示束当たり1.2億円。AIエージェント代替による配信数量縮小と単価上昇限界。
- グリーンエネルギー:数量 350(稼働する太陽光発電所数を基準にした電力設備・顧客基盤の施設等価量(設備換算件、実質))× 価格 0.17(施設等価1件当たりの電力・調整力・小売の年間認識売上(億円、名目))→ 売上 58 億円・営業利益 17 億円。電力設備・顧客の施設等価350×年0.165億円。蓄電池と小売増による構成変化込み。
倍率:中立〜上側の正当化PER上限を採用。2036年事業ROE約13.4%、k7.75%、moat=normal(超過収益の残る割合1/2)、RONIC約10.6%、10年以降の名目g1%から(1−g/RONIC)/(k−g)=13.41倍。余剰現金40億円の税後利息0.56億円を純利益から控除し、40億円を戻り方1.0で加える。今の株価や市場PERは倍率の根拠に使っていない。
確率:ふるなびの自治体接点が維持され、グリーン事業の一部計画が実現する筋道は十分にあるが、2029年目標を上回る採算の安定化が必要。
中立 31% 受付件数は増えるが手数料圧縮で利益は横ばい 利益 30 億円 · PER 13.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 959 円524 億円
ふるなびは2036年に年間700万件の寄附を受け付ける。市場の参加者は増え、契約自治体のネットワークも保つが、行政の手数料引下げ圧力が続くため、1件当たり会社収入は現在より3割ほど低くなる。自治体業務の自動化は運営効率を上げる一方、受託料金にも低下圧力をかける。大手4サイトとAmazonとの競争で、同社のシェアはおおむね現状並みにとどまる。
広告運用の機会はAIエージェントに移り、実質の有効広告配信量は現在の約7割になる。価格は物価ほど上げられず、広告事業は全社価値を大きく左右しなくなる。電力は施設の連系と小売拡大で一定の利益源になるが、蓄電池市場への参入増加と更新投資が高い利益率を抑える。2029年の計画利益を2036年まで直線的に増やすほどの独占性は見当たらない。
全社の営業利益は今と同じ程度にとどまり、利益を一部内部留保しながらDOEを意識した株主還元を続ける。電力設備の増加で自己資本が厚くなり、ROEは以前より下がる。条件付きの株式報酬も一部行使されるため、既存株主の取り分を少し薄めて考える。
- ふるさと納税・コンシューマ:数量 700(年間寄附受付件数(万件、実質、周辺事業も件数当たり収入に換算))× 価格 0.24(寄附受付1万件当たりの連結認識売上(億円、名目))→ 売上 168 億円・営業利益 34 億円。700万件×0.24億円/万件。2026年推計561.5万件、単価0.348億円からの数量・制度手数料変化を分けて計算。
- 広告配信・広告支援・自社アプリ:数量 14.0(当社相当の有効広告表示換算量(10億回、未開示のため推定))× 価格 1.16(有効広告表示10億回当たりの同社認識収入(億円、名目))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。推定広告表示14×1表示束当たり1.16億円。AIエージェント代替による配信数量縮小と単価上昇限界。
- グリーンエネルギー:数量 250(稼働する太陽光発電所数を基準にした電力設備・顧客基盤の施設等価量(設備換算件、実質))× 価格 0.15(施設等価1件当たりの電力・調整力・小売の年間認識売上(億円、名目))→ 売上 38 億円・営業利益 10 億円。電力設備・顧客の施設等価250×年0.15億円。蓄電池と小売増による構成変化込み。
倍率:中立〜上側の正当化PER上限を採用。2036年事業ROE約10.3%、k7.75%、moat=normal(超過収益の残る割合1/2)、RONIC約9.0%、10年以降の名目g1%から(1−g/RONIC)/(k−g)=13.17倍。余剰現金40億円の税後利息0.56億円を純利益から控除し、40億円を戻り方1.0で加える。今の株価や市場PERは倍率の根拠に使っていない。
確率:会社自身が2029年の主力事業減益を計画するため手数料の圧迫を織り込み、電力事業には過去実績の少なさから会社目標ほど高い利益率を認めない。
やや悲観 27% 手数料が下がり、電力の投資採算も鈍る 利益 8 億円 · PER 9.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 261 円142 億円
ふるさと納税の全国件数は底堅いものの、ふるなびは楽天やAmazonへの流出で受付件数を515万件まで減らす。手数料に上限が設けられ、自治体は自社サイトでの直販や複数ポータルの入札を広げる。トラベルや自治体業務代行にも低料金化が及び、寄附件数当たりの収入は現在の約半分となる。宣伝費と固定人件費は同じ速さで減らせず、コンシューマ利益率は1割台前半に落ちる。
広告ではAIによる運用・制作の内製化が一般化し、従来型の配信手数料が縮む。自社アプリは生き残るが、全社への利益貢献は小さい。蓄電池は計画の一部だけが稼働し、入札競争と電池の更新費用で期待収益を確保できない。太陽光発電は継続できても、電力事業への大きな資本投下の割に利益は乏しい。
累進配当の方針は当初守るが、業績減速後の自社株買いは抑える。株式報酬の業績条件を満たす可能性も小さく、希薄化は限定的となる。利益を大きく増やせず、社内に残した資本の利回りが資本コストを割る。
- ふるさと納税・コンシューマ:数量 515(年間寄附受付件数(万件、実質、周辺事業も件数当たり収入に換算))× 価格 0.20(寄附受付1万件当たりの連結認識売上(億円、名目))→ 売上 100 億円・営業利益 13 億円。515万件×0.195億円/万件。2026年推計561.5万件、単価0.348億円からの数量・制度手数料変化を分けて計算。
- 広告配信・広告支援・自社アプリ:数量 11.3(当社相当の有効広告表示換算量(10億回、未開示のため推定))× 価格 1.02(有効広告表示10億回当たりの同社認識収入(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。推定広告表示11.3×1表示束当たり1.02億円。AIエージェント代替による配信数量縮小と単価上昇限界。
- グリーンエネルギー:数量 125(稼働する太陽光発電所数を基準にした電力設備・顧客基盤の施設等価量(設備換算件、実質))× 価格 0.11(施設等価1件当たりの電力・調整力・小売の年間認識売上(億円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。電力設備・顧客の施設等価125×年0.11億円。蓄電池と小売増による構成変化込み。
倍率:ROEが資本コスト7.75%を下回り成長投資の付加価値が失われたケース。稼ぐ力のPER上限1/k=12.90倍を下回る9.0倍とし、顧客流出と規制で年々利益が細る危険を評価する。余剰現金は40億円の75%に減価し、税後利息0.42億円を控除した利益に倍率を適用して別に30億円を加える。
確率:下に寄せる理由:寄附関連の料率見直しが既に始まり、新中計では2029年に電力利益が全社利益の約35%になるほどの急拡大を計画している。二つの独立したリスクのいずれかが現実化する場合を厚く評価する。
悲観 15% ポータルの地位を失い、新事業も回収できない 利益 −3 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 133 円73 億円
ふるさと納税の制度は残るが、自治体は手数料の安い窓口と大手統合サービスへ契約を集中させる。ふるなびの寄附受付は350万件へ縮み、サイトで集客する利益も大きく失われる。楽天やAmazonに加え自治体の直接受付が広がり、独自返礼品を持っていても収益源を守れない。固定の開発費と管理費を削り切れず、コンシューマ事業は小幅な営業赤字に転じる。
広告の仲介・制作・運用はAIエージェントと巨大広告プラットフォームによってほぼ代替され、自社アプリが細く残るだけになる。電力では系統用蓄電池の供給が過剰になり、計画していた増設を凍結する。既設設備にも減損や更新支出が生じ、発電・小売はわずかな売上を残して赤字になる。全社は営業赤字に陥り、投資の失敗と規制対応により優良さを失う。
この場合、将来の稼ぐ力に大きな価値を与えない。預り金を除いた自由な現金と回収可能な債権・実物資産を下値の物差しとし、自己資本の帳簿価額をそのまま清算価値とはみなさない。DOEに基づく配当も減益で維持できなくなり、新株予約権の業績条件は満たせないため希薄化は生じない。
- ふるさと納税・コンシューマ:数量 350(年間寄附受付件数(万件、実質、周辺事業も件数当たり収入に換算))× 価格 0.14(寄附受付1万件当たりの連結認識売上(億円、名目))→ 売上 49 億円・営業利益 −1 億円。350万件×0.14億円/万件。2026年推計561.5万件、単価0.348億円からの数量・制度手数料変化を分けて計算。
- 広告配信・広告支援・自社アプリ:数量 7.0(当社相当の有効広告表示換算量(10億回、未開示のため推定))× 価格 0.95(有効広告表示10億回当たりの同社認識収入(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 −1 億円。推定広告表示7×1表示束当たり0.95億円。AIエージェント代替による配信数量縮小と単価上昇限界。
- グリーンエネルギー:数量 60.0(稼働する太陽光発電所数を基準にした電力設備・顧客基盤の施設等価量(設備換算件、実質))× 価格 0.08(施設等価1件当たりの電力・調整力・小売の年間認識売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。電力設備・顧客の施設等価60×年0.075億円。蓄電池と小売増による構成変化込み。
倍率:2036年の営業赤字では純利益にPERを適用できないため、SCHEMA §1-3に従って、悲観の価値評価に使う自己資本は添付factsの2025年7月期末161.6億円とする。PBR0.45倍を現在の自己資本161.6億円に掛けた72.72億円を時価総額とし、2036年の自己資本233億円には掛けない。後者は10年間の利益・還元を反映する期末の帳簿上の自己資本であり、事業が構造的に敗れた際の清算価値や株式価値を保証しない。建設仮勘定や回収不能なソフトウエアを清算価値に加えず、預り金控除後の現金と売れる資産の約70億円を床とする。
確率:下に寄せる理由:ふるなびの手数料が構造的に崩れて競争で会員が離れ、同時に蓄電池市場の単価下落で投資を回収できない複合事故。信用不安は乏しいが制度依存のため無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ふるさと納税・コンシューマ
ふるなびを通じた寄附受付、旅行・飲食向け独自返礼品、自治体の業務代行、周辺広告。
| 数量年間寄附受付件数(万件、実質、周辺事業も件数当たり収入に換算) | 価格寄附受付1万件当たりの連結認識売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 562 | 0.35 | 195 | 41 |
| 10 年後 中立 | 700 | 0.24 | 168 | 34 |
取り方:2026年7月期決算説明資料のコンシューマ売上195.38億円、営業利益41.01億円を使用。2029年の寄附受付目標610万件と計画年平均増加率2.8%から2026年受付件数を610÷1.028³=約561.5万件と逆算した推計で、同社が直接開示した確報の件数とは扱わない。平均認識売上は195.38億円÷561.5万件=約3,480円/件。これは寄附額そのものでもポータル手数料率でもなく、旅行・自治体代行を含む混合単価。総務省の2025年度全国受付5,963万件を使うと件数シェアの便宜推定は約9.4%だが決算期が一致しない。会社のシェア20%は目標。2025年10月のポイント規制と総務省の手数料引下げ要請を反映し、2036年中立の実質件数は700万件、名目の収入単価は1万件0.24億円とした。
広告配信・広告支援・自社アプリ
広告ネットワーク、企業の広告運用支援、媒体の収益改善、オーテの懸賞アプリ運営をまとめた開示セグメント。
| 数量当社相当の有効広告表示換算量(10億回、未開示のため推定) | 価格有効広告表示10億回当たりの同社認識収入(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 20.0 | 1.16 | 23 | 1 |
| 10 年後 中立 | 14.0 | 1.16 | 16 | 1 |
取り方:2026年7月期の広告事業売上23.16億円・営業利益0.74億円は会社開示。配信表示回数とアプリ課金の内訳は開示がなく、200億回の有効広告表示相当を仮定し、23.16億円÷200億回=実効CPM約116円(表示千回当たりの会社収入)に変換した分析上の等価数量であり、実際の表示回数とは主張しない。2025年国内ネット広告市場4兆459億円と比較して売上換算比率は約0.057%だが、広告取扱総額と認識収入の概念が違うため真の市場シェアではない。AIエージェント代替の型は広告制作・運用・仲介を工数/広告運用型とし中立数量を20億回単位から14(0.70倍)に、名目の単価を物価1.34倍にはせず1.16億円(ほぼ横ばい)とした。自社アプリは媒体型だが売上構成比が非開示であり、両者の独立した市場シェアは推定できない。
グリーンエネルギー
太陽光発電所、系統用蓄電池、ふるなび電力の小売を統合した新規事業。
| 数量稼働する太陽光発電所数を基準にした電力設備・顧客基盤の施設等価量(設備換算件、実質) | 価格施設等価1件当たりの電力・調整力・小売の年間認識売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 51.0 | 0.06 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 250 | 0.15 | 38 | 10 |
取り方:2026年7月期決算説明資料で太陽光発電所51か所稼働、計画中64施設が完成すれば10MW超、系統用蓄電池は2026年3月需給調整市場参入と開示。新中計のFY26グリーン売上約2.9億円、営業利益0.56億円を51施設で割った0.0573億円/件は「発電所の厳密な単価」ではなく電力小売と蓄電池も含む施設等価の推計。現段階で発電量・蓄電MW・小売契約数・市場シェアのそれぞれの正確な内訳は開示されていない。将来の施設等価量は増設に加え蓄電池・小売が増える分を含み、価格は調整力収入と売電収入が重なる経済性を示す。現在の0.0573億円から中立0.15億円への上昇は単なる物価上昇ではなく事業構成の変化であり、低収益発電所の換算と混ぜる推定誤差が大きい。
リスクと懸念
ふるさと納税の手数料規制
総務省は自治体の寄附募集費用を問題視し、2026年にポータルサイトへ手数料引下げを要請した。2025年のポイント付与禁止と合わせ、サイトによる利益獲得の手段が狭まる。寄附件数が増えても1件当たりの会社収入が先に下がれば、広告・代行などの周辺収入を積み上げても利益率を維持できない。
AIエージェント代替
ネット広告の制作、入札調整、配信先選別、レポート作成はAIが自律的に処理しやすい。広告枠の仲介・運用を売る部分は中立で実質数量を10年で約7割に、実効単価は物価を下回るとした。ふるなびの寄附手続きもAIによる直接申込みが増える可能性があるが、税制度と自治体への集客は消えない。蓄電池の現物の電力供給はこの型に当たらない。
蓄電池の投資回収・系統接続
会社は2029年に電力事業の営業利益18.5億円を計画するが、2026年の実績は0.6億円程度にすぎない。設備建設の遅れ、需給調整市場への参入増加による価格下落、保守・蓄電池更新費用が重なると追加投資利回りは資本コストを割る。借入枠の存在は資金繰り余力である一方、実際に借りれば金利負担が生じる。
預り金と現金の取り違え
2026年7月末には現預金と流動有価証券が約225億円あるが、同時に預り金158億円と販売促進引当金12億円がある。受渡しの時期で現金残高が膨らむため、単純に純現金を時価総額から引いて事業価値を小さく見せてはいけない。預り金を控除した自由な現金だけを余剰資産として扱う。
条件付き新株予約権と資本配分
2026年の新株予約権は約343.5万株分に相当し、その中心に大株主に関係する法人への割当がある。業績条件を満たせば権利行使資金が会社へ入るものの、既存株主の持分は薄まる。自己株式の消却を中止したことも踏まえ、自社株買いの金額だけで実質的な株主還元を評価しない。
大手プラットフォームとの競争と利用者の流出
楽天、さとふる、ふるさとチョイス、Amazonが利用者を奪い合う。自治体契約の広さは強みだが、他サイトとの併用が容易で価格の引上げを強制できない。特に高所得者向け控除枠の見直しや旅行返礼品の需要後退が起きると、同社の1件当たり売上が市場全体より早く低下する可能性がある。
今後の分かれ目
- 2029年7月期のふるなび寄附受付が610万件を達成し、コンシューマ営業利益も33.5億円を超えたら
- 制度対応後の顧客獲得力と単価維持が確認できるため、主力事業の2036年数量と利益率を上げ、やや楽観の確率を増やす。
- 総務省が仲介サイトの手数料上限を法令で固定し、実効手数料がもう一段低下したら
- 受付件数が維持されても件数当たり収入を下げ、コンシューマ利益率を引き下げる。やや悲観・悲観の重みを上げる。
- 系統用蓄電池の稼働施設が着実に増え、開示上の営業利益と設備投資回収率が連続して改善したら
- 設備等価数量を上げ、電力事業の追加投資利回りが資本コストを超える範囲を広く認める。資本コストそのものは機械的に下げない。
- 需給調整市場の約定価格が下がり、電力事業の営業利益が計画を継続的に下回ったら
- グリーン事業の施設当たり価格と利益率を下げ、建設仮勘定の回収可能額も保守化する。返済負担が増す場合は還元総額も下げる。
- 広告事業でAI関連サービスの有償契約売上が個別開示され、既存広告減少を上回ると確認できたら
- 初めてAIサービスの独立した数量と単価を評価する。それまではAI活用の紹介だけで中立数量を増やさない。
- 役員等の新株予約権が大量行使された、または予定された自己株取得が取り消されたら
- 発行済株式から自己株式を除いた実流通株数と条件付き希薄化率を更新し、既存株主の取り分と株主還元の実質効果を見直す。
見ておくもの
- ふるなび寄附受付件数、総務省の全国受付件数、自治体契約数および寄附金額シェア
- コンシューマ売上高÷寄附受付件数で測る混合単価と営業利益率
- 総務省の手数料引下げ要請と2025年ポイント禁止の定着後の料率
- 広告事業の売上・営業利益と自社アプリ・広告運用・AI有料製品の内訳開示
- 蓄電池の連系MW、稼働率、調整力約定単価、設備投資額、EBITDA対維持更新支出
- 預り金・販促引当金・未収入金の増減と、真に自由な現金残高
- DOE5%以上の履行、株式報酬の行使条件、自己株式の増減、実株数
倍率と資本コストの決め方
現在の499円を使ったのは比較する時価総額約273億円の計算だけである。2026年7月期の実績に更新した部門別売上を、寄附件数×混合単価、広告表示等価量×実効収益単価、電力施設等価量×年売上で予測した。広告と電力は真の数量開示がなく、推定の不確実性を明示した。将来倍率は現行PERや同業株価でなく、資本コスト7.75%、10年後のROE、堀が薄まる比率、名目長期成長1%から定めた。現金は預り金を差し引き、利益と二重に足さない。悲観の純現金175億円割れは2025年の預り金47.69億円と販促引当金29.44億円、および2026年の拘束資金増加、10年間の還元74億円と設備投資95億円をfloor_assets_whyで分解した。帳簿上の純現金を清算時に株主へ全額配れると仮定していない。新リース基準の形式的なBS変化は価値増減とみなさず、賃借固定費は利益側に含める。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に4つの品質要因の純上乗せ0.25ポイントを加えた7.75%とし、個別規制・投資実行の失敗は筋書きと確率で評価する。